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09-001 「アンモナイトリング」 2005年3月 ブランド/資料提供:FLEDERMAUS 様 受託内容:ラフスケッチを元にしたワックス原型の作成
最初に「原型作成」として受託した作品です。
渡されたラフ画は簡単なもので、リングサイズを除いて細部の寸法等は殆ど指定がありませんでした。イメージをよりはっきりさせる為、打ち合わせ時には「四隅のアンモナイトの向きはどうするか」「アンモナイトはつるっとした感じかごつごつし感じか」「リングにどの様に馴染ませるか」等、ラフ画からだけでは読み取りきれない部分を話し合いました。
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 個々のアンモナイトの造形はそれ程難しくないのですが、四隅に同形状で作るとなると話は別です。どの方向から見ても均一で、かつ機械的なコピーであってはいけないのです(デザイナー様の希望)。ひたすら彫っては盛りの繰り返しでした。又、渦の外側よりも内側の方が難しかったです。
ラフ画で横に付いているカボションメレの覆輪は、薄くする必要がある為にワックスでの作成は不向きです。デザイナー様との相談の結果、この部分のみは地金を鋳造してから後付けということになりました。
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   デザイナー様に大変に気に入って頂けまして、もともと予定していなかった型取りをされました。
ワックスパターンの修正(リングサイズ等)は継続して受託していますが、石留め、仕上げは危険回避の意味もあり引き受けていません。
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09-002 「ローマ風リング」 2005年4月 ブランド/資料提供:FLEDERMAUS 様 受託内容:ラフスケッチを元にしたワックス原型の作成
構成としては前のアンモナイトリングと似ていますが、ローマ遺跡の柱をモチーフにしたリングです(これも資料をあさる内に「ギリシャ風」といった方が適切と判りましたが…)。
前回同様、リングサイズを除いて細部の寸法等は殆ど指定がありませんでしたが、特に今回は渦の延長にあるエッジをどうリングに馴染ませるかが課題でした。又、多少異なったサイズの石を留めたいという希望にどの様に応えるかも、学校の課題には絶対に出てこない問題でした。
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紙と鉛筆ではやはり得られるイメージに限界がありますから、荒削りの早い段階でデジカメで様々な角度の写真を撮り、デザイナー様に送って作業を進めました。お互い場所が離れている為、打ち合わせの場を持たずに作業を進められるというのは大変に効率的です。もちろんそれで全て片付くことはありません。ポイントとなる箇所では必ず会って現物を見ながら進めます。
造形面での課題はやはり「四隅に同形状で作る」でした。しかも前回のアンモナイトと異なり機械的な形状である為、一層均質である必要があります。
こちらは銀原型になった直後のものです。ご覧の通り「石座(覆輪)」がありません。この状態で仕上げをし、ゴム型を取りました。
インジェクションワックスパターンになった後で、石に合わせた覆輪と接合します。何点か作成しましたが、その内1点は覆輪寸法が座面寸法を上回ってしまい、リングを縦方向に割って幅を広げる、という荒治療も行いました。
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この写真はYGにシーブルーカルセドニーという組み合わせで仕上がったものです。石留め、仕上げは担当外です。
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09-003 「バレットリング」 2005年4月 ブランド/資料提供:FLEDERMAUS 様 受託内容:ラフスケッチを元にしたワックス原型の作成
バレット(弾丸)形をした黒真珠を中石にしたリングです。何より真珠の形を活かしたいということで、この様なスケッチを渡されました。真珠を横向きに配し、それが上手く座る様に座を作らなくてはなりません。又、真珠の底面に当たる部分は「自然に」外に見えなくしたい、ということで、こちらも違和感なく馴染ませなくてはなりません。 |
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実際に作ってみると、背の高さにびっくりです。でも真珠の大きさが大きさなので、これはどうしようもありません。原型の写真を見てデザイナーさんも「うわぁ、大きいねぇ」と驚いていました。
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地金になってしまうと、意外と大き過ぎません。やはりワックスは「色」の影響が大きい様ですね。
この様な形の真珠はそうそう同じものがありませんから、この作品は一点ものです。真珠の孔開け工程も必要でしたので、石留め、仕上げは引き受けていません。
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09-004 「FLEDERMAUSペンダントトップ」 2005年5月 ブランド/資料提供:FLEDERMAUS 様 受託内容:ブランドマークをベースにしたワックス原型の作成及び地金パーツの作成、仕上げ
FLEDERMAUSとはドイツ語で「コウモリ」の意。ブランドFLEDERMAUS様のブランドマークをベースにしたペンダントトップです。
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ブランドマーク本体の部分はワックスの削り出しです。
一旦それを鋳造した後、地金で作製したカン部分と組み合わせて第2原型としました。カン部分を後付けにしたのは、デザインが後回しになっていたのと、槌目をなるべくシャープに出したかったからです。
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 まずこちらはプレーンな光沢仕上げのもの)写り込んでいるのはカメラのレンズです)。バチカン部分は更に別途作製し、組み合わせています。コウモリに作り付けのカンは片面槌目で、いぶし仕上げです。裏面にはモチーフと同じ形のコウモリの刻印が入っています。
 こちらは表面を荒らしてキラキラ感を出したもの。「06-035 表面仕上げサンプル2」と同じ荒しで、最初は実験的にやってみたのですが、デザイナー様の意図と異なり、こちらの人気が高い様です。
「FLEDERMAUS」の文字はレーザ刻印で、原型を渡した後にデザイナー様の方で加工されたものです。非常にシャープでしっかりと深く入っています。
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09-011 スプーンの柄のペンダントトップ 2006年4月 ブランド/資料提供:Maria Maria 様 受託内容:壊れたスプーンの柄を加工してペンダントトップに仕立てる
「壊れたスプーンの柄をペンダントトップに仕立ててほしい」という、変わった話が持ち込まれました。聞けばスプーンはCartierの銀製カトラリー。
安請け合いしてしまったのですが、ここから大変な道程が…。
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火を当ててびっくり、表面が剥離してくるではありませんか! でももう元には戻せませんし、加工に火は避けられません。
実はこれ「メッキ品」でした。母材はSV925らしいのですが、外側は皮のようにぶ厚いメッキ。サンドペーパ程度で落ちる代物ではありません。ヤスリと彫刻刀を手に格闘しましたが、谷間になる部分までは落としきれませんでした。
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先端部(器が付いていた方)を切り落とし、その端材を利用してカンにしました。元々テーパーの付いている状態だったので、フォルムとしても綺麗にまとまったと思います。
丁度デジカメが壊れていた時期なので小さい写真しか撮れなかったのですが、真っ直ぐに流れる様な線が綺麗です。
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09-012 スプーンの器のペンダントトップ(蓮) 2006年6月 ブランド/資料提供:Maria Maria 様 受託内容:壊れたスプーンの器を加工してペンダントトップに仕立てる
お察しの通り「09-011 スプーンの柄のペンダントトップ」とセットです。
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こちらは器表面にモチーフを付けるので、柄の方とは違って原型作製工程があります。デザイン画はFAXで送られてきましたので、それを原図にワックスを削りました。かなり細い部分もあるので、こういう場合はブリッジを残しながら作業する必要があります。って、そもそも青ワックス使った方が良かったのではないか、なんて後から思いましたが。
器も当然の様に厚いメッキがかかっていました。しかも器の内側にはヤスリが当てられません。相当な時間を掛けて、先端を丸くした彫刻刀で剥ぎ取りました。
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 器全体に火ムラが出てしまったのですが、それは全て取り除きました。おかげで見事な光沢に仕上がっています。裏面には丸みのあるカンを付け、お客様から指定された名前「MIDORI」を刻印しました。
モチーフはスポンジヤスリを使っての筋目仕上げです。
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09-013 スプーンの器のペンダントトップ(兎) 2006年6月 ブランド/資料提供:Maria Maria 様 受託内容:壊れたスプーンの器を加工してペンダントトップに仕立てる
こちらも同様に「09-011 スプーンの柄のペンダントトップ」とセットです。
ただ、出された指示は「月を見て踊っている兎」。あの、デザイン画は…?
そんな訳で、モチーフのデザインもやりました。
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こちらは蓮の花よりもモチーフの重なり具合が複雑なので、若干厚手です。
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指示をされた訳ではないのですが、ふとした思い付きでカンも兎のデザインにしてみました。又、写真はないのですが、こちらにはお客様から指定された名前「KAORUKO」を刻印してあります。
モチーフは、スポンジヤスリと粗しタガネ使い分け、部分部分の感じを変えています。
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09-022 リーフシードラゴンのペンダントトップ 2009年3月 受託内容:イエローサファイア(ダブルカボション、支給)+SV925(K18YGP)で、リーフシードラゴンをモチーフにしたペンダントトップを制作する
mixiの知人から依頼された「リーフシードラゴン」のペンダントトップです。
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依頼から完成までに随分と長く掛かってしまい(1年以上?)、先方には大変お待ち頂いきました。まずはデザイン画の持ち込みからのスタートでしたが、その時点では棘の様になっていた鰭を、より鰭らしく、更に本来であれば左右対称のものを片側のみにする(ごちゃごちゃしてしまう為)等アレンジしました。
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 母材はSV925なので、仕上げでかなり痩せています。仕上げはK18YGP(金メッキ)なのですが、生地の状態で火ムラを完全に取り除いておかないと、しみの様に浮き出てしまうからです(メッキでは絶対にごまかせません)。中石がダブルカボションで「リバーシブルに」という指定であった為、片面は光沢、もう片面はマット仕上げにしてあります。但し、全面マットになってしまうと締りがなくなるため、バチカンの一部と周りを囲むフレームは光沢にしてあります。この形状ですから、マスクに苦労したのはいうまでもありません。
●Googleでリーフシードラゴンを検索
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