動物や植物等の造型も、CADを使って作ることは可能です。しかし、こういった「微妙な凹凸や曲がり方」「テクスチャ」で表情が変わってしまうものは、「実際に手に取れるモノ」で進める方がより適切といえます。
又、CADはあくまでもバーチャルな世界ですから、実作には「造型出力」という工程が不可欠で、形状によってはこの費用がばかになりません。
一見ワックス原型制作とCADはバッティングする様ですが、そんなことはありません。
つまりは「適材適所」ということです。

標準的な流れは

(1)デザイン、仕様の打ち合わせ
(2)ワックスの粗仕上げ、裏抜きなし態でのチェック
(3)ワックスのテクスチャなし仕上げ、裏抜きなし状態でのチェック
(4)裏抜き、テクスチャ入れ、仕上げ

です。

※このページに掲載しているのは、ごく一部の公開許可を頂けた実績に過ぎません。設計や制作の受託では、多くの場合表に出るのは「先方のブランド」であり、荒井技巧は裏方に徹する為です。





■たこのリング
自主制作

「蛸が前後に脚を伸ばして泳いでいる姿」を創りました。

「具象もの」を創る場合には、いくつかのアプローチがあります。
この指環も下のうさぎ同様に
「仕上がりが綺麗にできる様な造型」を目指していますが、当然ながらその際に「特徴を損なわない」ことは重要です。更に実用面では「邪魔にならない」ことも大切ですね。ボリュームがある様でいて、指に着けたときにあまり出っ張りません。

又、後々の展開として胴体部分にカボションの石を入れることも考えていますので、それができる様な大きさ、形にすることも忘れてはなりません。

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■うさぎリング
自主制作

「うさぎが飛び跳ねている姿をリングにしたい」という思いで創ったリングです。

「具象もの」を創る場合には、いくつかのアプローチがあります。
例えば「できる限り正確、忠実に」「詳細なデフォルメ」「シンプルにデフォルメ」等です。
今回の制作は「シンプルにデフォルメ」して創りました。そういったデザインにしたかったからというのは勿論ですが、「仕上がりが綺麗にできる様に」という制作上の理由もあります。
このリングはデザイン的にかなりのボリュームとなりますから、基本的にはシルバーでの制作を前提としています。ということは、火斑をきちんと落として綺麗に仕上げる為には、磨き易い造型になっていなくてはなりません。当然テクスチャも後入れになります。

良い完成品を得る為には、単に形を作るのではなく、仕上がりまでを見越してトータルに「創る」ことが重要です。

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■丸みのある「葉っぱ」のパーツ
受託内容:パーツとして使う為の「葉っぱ」のワックス原型の制作

ジュエリーに同じモチーフを複数取り付ける場合、それが有機的なデザインか否かで扱いが変わります。
有機的でない、機械的なパーツであれば揃った形状でなければ不恰好になります。逆に有機的なデザインの場合、同じパーツのコピーを用いてしまうと、あからさまに「使い回し」になってしまい安っぽくなってしまうのです。

この案件では葉の大きさ、丸みの付く向きや加減の異なるワックス原型を合計9点分制作しました。こういった形状はCADを使うよりもワックスを直接削ってしまった方が良いですね。

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■リーフシードラゴンのペンダントトップ
受託内容:ラフスケッチを基にしたワックス原型の制作、制作(石留含む)全般

リーフシードラゴンはタツノオトシゴの一種で、体中に海草の様な「ひらひら」が付いた不思議な生き物です。
実作のポイントは「デザインを重視する」ということです。これはつまり「生物模型を作ることが目的ではない」ということで、生物学的な正しさはあえて追求せず、外観的なバランスや綺麗さを優先するのです。具体的には、例えば本来は対になっている「ヒレ(?)」を、片側しか作らない、等です。

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■ローマ風リング
資料提供:FLEDERMAUS様
受託内容:ラフスケッチを基にしたワックス原型の制作

構成としては前のアンモナイトリングと似ていますが、ローマ遺跡の柱をモチーフにしたリングです(これも資料を調べる内に「ギリシャ風」といった方が適切と判りましたが…)。

このデザインを制作した当時はCADは使っていなかった為ワックスで制作しましたが、形状が機械的で、かつ対称性が重要ですから、どちらかというとCAD向きのデザインです。

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■アンモナイトリング
資料提供:FLEDERMAUS様
受託内容:ラフスケッチを基にしたワックス原型の制作

最初に「ワックス原型作成」として受託した案件です。

個々のアンモナイトの造形はそれ程難しくないのですが、四隅に同形状で作るとなると話は別です。どの方向から見ても均一で、かつ機械的なコピーであってはいけないのです(デザイナー様の希望)。

このデザインは造型に多少の「ゆらぎ」が欲しいものですから、この様にワックスによる制作が向いていると思います。
或いは、CADで整った形状を作り、造型出力後に手加工で少し揺らぎを加える、という方法も有効です。

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