使用CADはRhinocerosです。標準的な流れは (1)デザイン、仕様の打ち合わせ (2)CADで「完成状態」の設計 (3)三面図、レンダリング画像等でのチェック (4)CADで「原型」の設計 です。 完成状態、原型と二度手間になりますが、いきなり原型設計をすると「爪が立っている」「減り分の上乗せがある」等の理由から、お客様やデザイナー様の方で イメージをとらえにくいという問題があります。又、これまでに「完成してみたらイメージが全然違っていた」「腕のラインがおかしい」といったトラブルの経 験がある為、この様な流れを採っています。 もっとも、個人でやっていますので「定型でしか請けない」ということは一切ございません。様々なご要望、例えば「石目違いをまとめて作りたい」「石が綺麗 に並ぶフルエタニティの条件を知りたい」といった特殊な内容にもお応えしますので、何なりとご相談下さい。 又、「石座のパーツデータだけが欲しい」「綺麗にウェーヴした腕のデータが欲しい」「スキャンしたメッシュデータに近いサーフェスモデルが欲しい」といっ た、部分的な案件にもご協力も致します。 因みに、トップのこの画像は、 「Rhinocerosで設計→Blenderでレンダリング→Photoscapeで画像加工→GIMPでマスク合成→Inkscapeで文字合成」と いう手順で作っています。 PCの使用歴は30年ありますので、様々なアプリケーションソフトを組み合わせて使うことも得意としています。 ※このページに掲載しているのは、ごく一部の公開許可を頂けた実績に過ぎません。設計や制作の受託では、多くの場合表に出るのは「先方のブランド」であ り、荒井技巧は裏方に徹する為です。 ※データ作成に関するご相談(作り方等)にも乗りますので、お問い合わせ下さい。 |
■角石サイズ基準で設計したレール留フルエタニティリング / CAD→実作 フルエタニティの指環を創るには、指環のベースを設計した上で石を平均的に並べる方法と、石の間隔をきちんと決めてからベースを設計する方法があります。 前者は大変進め易く、指環の厚み等「数値的」な仕様も押さえ易いのですが、石は二次的な扱いになりますから、妙に間が開いてしまったりと、仕上がりの美しさには難が出る可能性があります。 後者は石の並びを優先する為、最終的に石の間の隙間は殆ど目立たず、大変綺麗に仕上がります。代償として、指環の厚みがリングサイズによって変わってしま うことが挙げられます。ただこれは、非常識な厚みでなければ、問題になることはないでしょう。身に着ける人は、厚みが仕様通りなものを着けたいのではな く、「綺麗なもの」を着けたい筈ですから。 この制作では後者の方法を採用し、レール留の構造も一考しました。 その為、「綺麗な石留」がし易く、結果的に仕上がりも良くなります。 実は「作り易い」「加工し易い」というのは、「制作者サイドのみの都合」ではありません。 加工し易いということは、制作途中で制作品に加えるストレスが小さく、加工量も少なくなる為、綺麗なものづくりへとつながるのです。同時に修理等のメンテナンスもし易くなります。 画像上:シェーディング(完成イメージ) 画像中:レンダリング(原型イメージ) 画像下:完成品 |
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■文字や図形のテーパ化 / CAD Rhinocerosには「押し出し」という便利な機能があるので、文字や平面図形を簡単に立体にすることができます。しかし、それを実作に応用しようとすると、中々上手くいきません。 たとえばアルファベットの「A」や「B」には、文字の内側に「抜き」があります。図形をそのまま押し出して立体化すると、この部分は細長い穴となって貫通することになります。 造型物の大きさ次第ですが、指環に使う様な大きさにこの貫通穴があると、 1)造型出力時に穴が埋まってしまう。 2)鋳造時に鋳型が壊れて形が再現されず、鋳造品の中に壊れた鋳型が介在物として入り込む。 といった障害が出てしまうのです。 又、単純に真っ直ぐ立ち上げただけだと、造型として安っぽく見えるというイメージ上の問題もありますね。 このページの下にも紹介している「全周文字のリング」では、文字を全て2段のテーパ化してあり、貫通穴は全くありません。更に仕上げ減りも考慮し、極僅かの肉付けをしてあります。それにより、確実な造型出力と鋳造、強度の向上、仕上がり品質の向上が実現されています。 Windowsで使えるフォントであれば1文字単位で対応致します。 又、手描きイラスト等の様々な図形にも対応することが可能ですので、その様な案件がありましたら、是非ご相談下さい。 |
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■画像からの立体化 / CAD→実作 題材としては物騒ですが、「画像から立体化した実作例」として見て下さい。 これはM4A1アサルトライフルです。 当然ながら設計図等は手に入りません。ですので、入手可能な画像を基に作り出さなくてはならないのです。 幸い、画像はネットに多量に出回っていますので、その中から三面図に近いものと構造が分かるものを幾つか拾い出し、立体像を再現します。 これは「チャームを創りたい」という要望を請けて作ったデータで、全長は2cm足らずです。その為、実際には穴が開いている部分を、印象のみを残して塞いでいる箇所が多数あります。又、ハンドガードの部分等、実際の大きさを考えて簡略化している部分もあります。 こういった点は、造型や鋳造も絡めたノウハウで、単に「データを作る」だけでは実現できません。 画像上:シェーディング(原型イメージ) 画像中:完成品(ピアス) 画像下:完成品(ピアス) |
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■レンダリングアニメーション / レンダリング 「5本立爪V字リング / CADによるデザイン検討→実作」で紹介しているリングをベースにしたもので、ダイヤモンドが弾みながら転がってきて、それが指環へと変わるイメージアニメーションです。 単にCADデータをレンダリングするだけではなく、この様なアニメーションを制作することも可能です。 ダイヤモンドが転がり落ちてくる場面は、PCの中でダイヤモンドを転がすシミュレーションを行い、それを取り入れていますので、動きは大変にリアルです。 尚、このアニメーションのBGMはフリー音楽素材 Senses Circuit様の「静かな夜に」を使用させて頂いております。 BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit 「静かな夜に」 ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■指に着けたイメージ / レンダリング デザインをされている方、特にオーダージュエリーのデザイナーさんは、お客様から「指 に着けたらどんな感じかを見てみたい」と要望されることはありませんか? そんなご要望にお応えする一つの案です。 正直、今のところあまり良い質感とはいえません。爪もありませんし、マネキンの手の様ではあります。しかし、実際に指に着けるとどんな感じなのか、指環単 体の画を見るよりもイメージし易いでしょう。 今後は手の質感向上と、並行して実写画像への合成も試したいと考えています。 Rhinocerosで読み込める指環のデータがあれば、こういった画像の生成のみをお請けすることもできますので、是非ご相談下さい。 画像:レンダリング(完成状態の指環と手) ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■ピアスのデザイン / CAD→実作 製品完成状態のCADデータは、下に書いた「実作前に完成イメージを得る」為に必要ですが、それをそのまま原型データとすることはできません。 何故なら、石を留める為の爪は原型では真っ直ぐにしておかないとなりませんし、鋳造時に出る「縮み」、仕上げ時の「減り」を考慮した補償を盛り込まない と、折角作った「実作前の完成イメージ」と「実作」が違ってきてしまうのです。 荒井技巧は、ご案内をしている通り、石留を始めとした実作加工も承っておりますの で、それらの経験に基いて「完成状態」から「原型」のデータを起こします。 この画像は「にくきゅ〜ピアス」の原型イメージと完成イメージ、そして完成品です。 原型イメージと完成イメージが全く異なり、一方で完成イメージと完成品がほとんど同じであ るのがお分かり頂けるでしょう。 画像上:シェーディング(原型イメージ) 画像下/左:レンダリング(完成イメージ) 画像下/右:完成品 ◆ブログ掲載記事(1)はこちら ◆ブログ掲載記事(2)はこち ら |
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■ルースのレンダリング / レンダリング 実作前に完成イメージを得られるというのは、CADの大きなメリットです。 しかしその質感が実物と大きくかけ離れていては役に立ちませんし、逆に実物に近ければ実作に先立って宣伝広報に利用することも可能になります。 これはカボションのムーンストーンとダイヤモンドを使った「にくきゅ〜ピアス」のレンダリング画像です。ムーンストーンの中にうっすらと浮かび上がる青、 光の分散によりダイヤモンドの中に見える青や黄色、いずれも表現できています。 荒井技巧では、表現の難しい色石もできる限り「それらしく」見える様なレンダリング を目指しています。 画像上:レンダリング 画像下:レンダリング ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■フルエタニティ / CAD→実作 受託内容:石サイズと個数に合わせたフルエタニティリングのCADデータ作成、制作(石留含む)全般 石座を連ねたタイプのフルエタニティです。 この制作では、まずデザイナーさんが大まかに作ったレイアウトに沿って詳細な寸法(石の高さ、間隔等)を割り出し、それに合わせたメレの石座を連ねていま す。 メレの石座も立爪石座同様にテンプレートは用いていません。石の寸法、必要な高さ、丸みの感じ等、条件に合わせて作ります。例えばこの例では、単純に下を 絞っただけの石座を連ねると、リングの内側にも石座間の溝が入ってしまいますし、絞られていない石座では側面の溝が入らずにのっぺりとしてしまいます。 「できあがれば良い」ではありません。 「デザイナーさんのイメージ通りに創り上げる」ことが大事なのです。 画像上:設計時シェーディング 画像下/左:レンダリング 画像下/右:完成品 ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■5本立爪V字リング / CADによるデザイン検討→実作 例えば腕をV字にしたりウェーヴさせたりする場合、単純にその流れに腕を曲げただけだと非常に不恰好になってしまうのをご存知ですか。 腕は環形ですが、通常指輪を見るのは上から。「設計し易い方向」と「見る方向」が全く異なる為、幾ら腕の断面を細くしても、単純にそれを丸めただけでは細 く見えないのです。 荒井技巧ではこういった腕の流れにも配慮し、適度な変形を加えることで、細い腕は綺 麗に細く見える形を創ります。 又、テンプレートを使用ない為、石座の形も自由にできます。画像の例 では、中石座の爪を5本にし、V字の腕と組み合わせました。 画像上:レンダリング 画像下/左:光造型樹脂 画像下/右:完成品 ◆ブログ掲載記事(1)はこち ら ◆ブログ掲載記事(2)はこち ら |
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■立爪リング / CAD→実作 カットリングや規則的なパターンの並びといった、いかにも設計、構築的なデザインが「CADには向いている」と誤解されがちです。 勿論そういったデザインも得意ですが、それら以外が向いていないということはありません。 この画像は少し小さめの中石を載せたソリテールですが、滑らかに絞った腕、整った石座等、従来は地金加工で作ることが多かったデザインを再現しています。 荒井技巧では、CADソフトウェアに予め組み込まれているテンプレートは全く使って いませんので、全ての形が自由になります。「石座にもう少し丸みを持たせたい」「いや、逆にシャープにしたい」「照り返しの深さを変えた い」「腕の絞り加減を変えたい」といった、些細な、でも表現上重要なご要望に細かく お応えします。 尚、荒井技巧ではレンダリングは「完成状態のイメージをつかむ為」という位置付けとしています。あくまでも実作に至る途中工程ですね。 ですから、基本的に背景は凝らず、通常は白です。 しかし、ご要望があれば背景の作り込み等もしますので、何なりとご相談下さい。 画像:レンダリング |
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■マリッジリング / CAD再編集→実作 資料提供:ポンデュプレジー ル様 受託内容:提供されたCADデザインデータを元にした原型データの作成、制作(石留含む)全般 ポンデュプレジール様が2011年に開催されたスワロフスキージュエリーデザインコンテストに出品した作品です。 提供されたCADデータは、あくまでも「デザイン」であった為に石留の構造等は作り込まれていませんでした。実作する為に必要な編集を加え、制作面で仕上 げ、石留も併せて受託しました。 レディースはφ2.0mmの石がぐるりと一周、メンズはφ2.0mmの石がワンポイント、それぞれレール留めで留まっています。 CADは「綺麗なレンダリング画像」が得られる為、それがそのまま実作になると勘違いしがちです。しかし、現実には「仕上げ減り分が乗っていない」「構造 的に綺麗に磨けない」「石を留められない」といった壁にぶつかることも多々あります。 荒井技巧では「実作する為にはどういう形状である必要があるか」も把握していますの で、早い段階からデータをやりとりして打ち合わせをすることで、そういったトラブルを未然に防ぐことが可能です。 この案件でも、初期のデザインには「仕上げ上の無理」があった為、先方と相談しつつ解決を図りました。 尚、この作品は同コンテストでブライダル部門1位を受賞しました。 ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■全周文字のリング / CAD→実作 受託内容:希望文字並びを立体化したCADデータ作成、制作(石留含む)全般 前の制作記事をご覧になったお客様からお問い合わせを頂き、制作したものです。 この案件では、お客様の希望する文字を並べただけでは 1)文字が横に伸びすぎるか、 2)リング幅が広くなりすぎるか、 という課題が早々に見付かりました。 お客様が「石好き」であることを知っていましたので、「それでは途中に石を入れてみてはどうでしょう?」と提案し、お客様から支給頂いた石(カボションの サファイア)を採寸してデータに組み入れました。 画像上:設計時シェーディング 画像下/左:光造型樹脂 画像下/右:完成品 ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■全周文字のリング / CAD→実作 受託内容:希望文字並びを立体化したCADデータ作成、制作全般 かなり実験的な内容で、直接お客様からご相談頂き、制作したものです。 お客様のご希望は「リング全体隙間なく文字が連なっていること」でした。 「CADで文字のパターンを立ち上げれば簡単では?」思われるかも知れませんが、その様な創り方をすると非常に安っぽい造型になってしまうばかりでなく、 鋳造も仕上げも困難な「細かい隙間」が多数生じてしまうのです。 その為、それぞれの文字にテーパを付けて立体化してあります。勿論そ れらの文字は「立体文字パターン」として応用が利く様にデータ管理をしています。 造型出力は、ハードワックスの切削加工です。この方法は後にある「壁」にぶつかってしまうのですが… 画像上:設計時シェーディング 画像下/左:ワックス 画像下/右:完成品 ◆ブログ掲載記事はこちら |
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■ダイヤモンドのレンダリング / レンダリング CADでジュエリーをデザインする為には、そこに留められる「石」の形も正しく把握していなくてはなりません。 荒井技巧では様々なデザインに対応できる様、例えばダイヤモンドであればラウンドブリリアント、マーキーズ、ペアシェイプ、ハートのデータを用意してあり ます。色石の場合は、かなり形状にばらつきがありますから、何らかの形状をベースに新たに作ることも多々あります。 さて、これらのデータは、「形状」面ではそのままレンダリングに利用できます。 しかし「光学特性」という面は、石の種類によって全く異なり、例えばダイヤモンドでは光の分散の影響で無色の中に黄色や青が浮かびますし、ペリドットでは 複屈折という現象があります。 こういった特性もできるだけ再現し、実作のイメージに近付けられる様、常にデータの 改良を行っています。 画像 上:様々なカットのダイヤモンドのレンダリング 画像 下:ラウンドブリリアントカットのピンクダイヤモンドのレンダリング |
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