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written by 澤井 隆 ■1.Magnolia(マグノリア)自分の中ではなんだか99年の映画という意識があるのですが、実際に見たのは米国で拡大公開になったあとなので、2000年映画でいいや、と選びました。映像と、音楽と、人生の壮大なコラージュとして大変完成度が高かったと思います。心が痛くなるような最悪の瞬間のスナップショットでありながら、後味がよいのです。PTアンダーソン監督、会心の作品。■2.Gods and Monsters(ゴッド・アンド・モンスター)これなぞ98年の映画なんですけども、ファンの熱意によって劇場公開されるという画期的な出来事もあったことですし、実際に私が見たのも今回が初めてということで、ここに座らせるのも良いだろうと思います。映画監督ジェームズ・ホエールの晩年を描いたドラマですが、とても端正で美しいフィルムで、映画館の暗闇が似合う作品です。イアン・マッケラン卿、一世一代の名演。■3.Straight Story(ストレイト・ストーリー)これもなんだか99年の映画なんですけど、私が見たのも日本公開も2000年なので、まあ、いいや。シンプルで淡々とした作品ですけど、リンチの前では普通の人も障害を持った人も等価になってしまうというのを再確認できた作品で、その人物観察と描写の確かさには頭が下がります。故リチャード・ファンズワースの演技を超えた存在感が素晴らしい。■4.Peppermint Candy(ペパーミント・キャンディー)この韓国映画は、一応、2000年製作のようです。一人の男の人生を20年に渡って描いているのですが、彼が無垢を失って壊れていく姿を、謎解きさながらに時間を遡って描いていく奇抜な手法が見事にはまった傑作です。韓国現代史を背景にしてエモーショナルに力強いドラマに仕上がっています。公開規模が小さかったので見損なったかたも多いでしょうが、これは絶対のお勧め。■5.Space Cowboys(スペース・カウボーイ)これはまだ記憶に新しい、2000年の新作米国映画ですね。かつて宇宙飛行を夢見て訓練を重ねた老人たちが、思いがけず到来したチャンスをものにするために奮闘する、もうその姿の格好よさ。老け込んではいけないのですね。凡庸な監督なら延々と描くに違いない「見せ場」をどんどん省略していく小気味よさと潔さが見ていて心地よい快作、イーストウッド。万歳!■6.Keeping the Faith(僕たちのアナ・バナナ)これ、国内ではまだ映画祭での上映だけなのですが、近日一般公開予定だということです。曲者若手俳優エドワード・ノートンの初監督作は、幼馴染のラビと神父が、これまた幼馴染のキャリア・ウーマンをめぐって三角関係になるというコメディ。何度も見返すと、笑いのネタも実によく作りこまれているのがわかります。とても楽しい作品、大好きです。■7.ジュブナイル今年の夏公開になった邦画。これがヒットしなかったのは全く不幸としか云いようがないと思います。これこそが、ファミリーピクチャーの新基準。楽しくも、どきどきさせる大長編ドラえもんテイスト全開のアドヴェンチャー、最後は少しほろりとさせます。特撮も見せ場を絞って大変に効果的に使われていて感心しきり。やればできるじゃん。■8.バトルロワイアル年末の世を騒がせた1本は、暴力エンタテインメントの衣をまとった、真摯で真っ当なメッセージ映画。読むに耐えない素人小説から、よくここまでの作品を絞り出したものだと思います。深作監督個人の熱い思い入れが、少なくない欠点を軽く凌駕して、驚くべき力強さを獲得してしまった驚くべき作品。真剣勝負、つべこべいわずに見るべし。■9.Dancer In the Dark(ダンサー・イン・ザ・ダーク)これ、2001年最初に見た映画なのですけど、公開は2000年に始まっていたのでここに入れます。お話的にはどうでもよいのですけど、中盤、列車の音をきっかけにして始まるミュージカル・シーンで訳もなく心揺さぶられてしまったので。悲痛で頑なな思いこみが爆発し、手持ちカメラ・自然光撮影の世界が突如として生気を帯びていく様は凄いの一言。■10.Center Stageニコラス・ハイトナー監督による2000年の新作で、日本ではまだ公開されていません。厳しいクラシック・バレエの世界に賭ける青春群像を描いた作品です。ある意味で何の変哲もない作品ですけれど、とても丁寧に正攻法で作られており好感を持ちました。これを見てしまうと、エセ青春サクセス・ストーリーである J・ブラッカイマー製作の某近作など、恥ずかしくて見ていられたものではありません。以下は2000年に日本公開された作品ですが、個人的にはどうしても1999年以前の作品という印象が抜けきらないために、10の候補に含めなかったお気に入りです(順不同)『アメリカン・ビューティ』『インサイダー』『遠い空の向こうに』『トイストーリー2』などは99年の10本に入れた覚えがあります。どれも未見の方にはお勧めしたい佳作・力作です。 ・アメリカン・ヒストリーX(98) ・遠い空の向こうに(99) ・スリーピー・ホロウ(99) ・トイ・ストーリー2(99) ・インサイダー(99) ・アメリカン・ビューティー(99) ・サウスパーク 無修正完全版(99) |
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