| ||
![]() ![]() ![]() |
written by ジャックナイフ すごく久々のサントラものでございます。サントラを買い続けているのですが、なかなか文章にならなくて。 ■「ビューティフル・マインド」オープニングの会社ロゴが3社もあって(長いぞ)、そのバックに流れるピアノの連弾は「アンドリューND114」まんまじゃんという感じです。音楽を担当したジェームズ・ホーナーは、パクリとか流用とかでサントラファンには評判が今一つよくないのですが、場面にマッチした音楽をはめるということにかけてはなかなかの才人です。「パーフェクト・ストーム」あたりではその才能に翳りが見えたのかなという気もしたのですが、今回の仕掛け付きのドラマでは、かなりうまく機能しています。特に前半のサスペンスフルな筈のシーンにどよーんとした情景音楽を流したり、わざと画面とのシンクロを避けたような音作りが映画の仕掛けとうまくマッチしています。確かにドラマに寄りそう音はいつもの毎度おなじみの音(イントロから盛り上げ方までが同じパターン)なんですが、それがきちんとドラマを支えているのは職人芸と言うべきでしょう。でも、それをCDで音だけ聴き通すのは結構しんどいってのが微妙なところですね。ホーナーの曲による主題歌をシャルロット・チャーチが歌っていまして、重いドラマにまろやかな後味を残すことに成功しています。■「シッピング・ニュース」豪華キャストで描く人間の悲喜こもごもの映画、音楽を担当したのが、スリラー系での実績が多いクリストファー・ヤングです。静かなタッチのドラマの中で音楽だけはかなりメリハリのくっきりとした仕事をしています。テーマ曲がドラムをドンドコ鳴らしてホイッスルがメロディを奏でるアイリッシュ風燃えるサウンドになっていまして、人生の大きなうねりのようなものを感じさせます。フィルハーモニア・オーケストラをバックにしているだけに音が厚く、劇場の大音響だと大迫力の音になります。一方、ドラマ部分では静かでそして幻想的な音になっていまして、ドラマチックなところにはストリングスが入ってきて盛り上げるというのは定番ながら、見事な音作りになっています。でも、幻想的な部分がスリラーっぽくなるのが、いかにもヤングらしい音になっていて、個人的にはお気に入りです。■「ムーラン・ルージュ2」最初に出たサントラ盤はいわゆるコンパイレーション盤ということでパスしたのですが、今回のパート2は映画で歌われたバージョンを聴かせるということで興味が出ました。「ユア・ソング」のインストバージョンなど、オリジナルフィルムバージョンが収録されています。私としては、クライマックス前に流れる「ショー・マスト・ゴー・オン」が収録されているのがうれしかったです。ラストでオーケストラがドラマチックに盛り上げるところが感動ものでした。また、かなりおマヌケな「ライク・ア・バージン」ですとか、伯爵にレビューの売り込みをかける「スペクタキュラー、スペクタキュラー」などのナンバー、さらにエンドクレジットに何故か大作風の余韻を残した「ボレロ」といったスコアまで入っており、映画を観てから買うサントラCDとしてはこちらの方が楽しいのではないかしら。■「コラテラル・ダメージ」テロネタということで公開延期になっていたシュワちゃん主演の映画の音楽を担当したのは、アクションものからサスペンス系を何でもこなす職人グレアム・レベルです。今回はエモーショナルな部分を排して、ドラマのサポート役に徹したという印象でして、音楽として強い印象を残すものではありませんでした。映画そのものが直球勝負だったせいかもしれませんが、音楽としてのハッタリをかますところがなかったようです。とはいえ、アクション部分は手堅く、コロンビアに舞台が移ってからは、パーカッションを前面に出した音作りが効果的に鳴っています。■「オーメン三部作(スペシャル・エディション)」もはや、第1作が公開されてから四半世紀も経ってしまったんですが、オカルト映画の名シリーズとしての地位は今だ揺るいではいません。音楽は3作とも名匠ジェリー・ゴールドスミスが手がけていて、1作目で彼はアカデミー作曲賞を受賞しました。各々の公開時にサントラ盤は出たのですが、今回は、1作目と3作目は曲を追加したバージョンで、そして2作目に関しては、発売当時のものがスコア盤(でも、ライオネル・ニューマン指揮でナショナル・フィル演奏)だったのに、さらに本当のオリジナル・サウンドトラック音楽を加えたバージョンでの再発売です。1作目は映画のバックに潜む巨大な邪悪なものをじわじわと感じさせるスリラー音楽になっていまして、静と動のコントラストが見事でした。それが、2作目ではダミアンが主役になることで、悪魔側のパワーを歌い上げる悪魔の応援歌みたいな音に変わっていきます。さらに、3作目になると、悪魔と神の対決へと風呂敷を広げた分、音楽も悪魔と神のさらに上に位置付けられ、恐怖よりもスケール感に重きを置いた音作りになってます。私は3作目の重厚にして燃えるサウンドが大好きなのですが、各々に異なるカラーを持った映画に、それにふさわしい音をつけているあたりが見事です。特に3作目は予算的には格落ちしてるのに、音楽と撮影の見事さのおかげで、前作に見劣りしないレベルになっているのですよ。上記CDは全て日本盤が出ている筈です。 |
![]() |
夢inシアター
採れたて情報館