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written by ジャックナイフ 2002年のベストテンを作ってみました。今年はこれといった飛び抜けた映画がなくて、かなり無理なランキングになってしまいました。順位というよりは印象に残った10本を並べたという感じのベストテンになってしまいました。 ■第1位「イン・ザ・ベッドルーム」隣人の暴力夫に息子を殺された夫婦のお話。映画としての出来よりも、とにかく観ていて痛い映画で、その痛みに共感できてしまったところに、強烈なインパクトを感じてしまいました。主演の二人の好演もあって、もし自分がこの立場になったら、と、考えさせてくれたところに、この映画の価値があるのではないかと。■第2位「ゴースト・オブ・マーズ」ジョン・カーペンター監督によるSFバイオレンスホラー。実際、殺し合いに徹したドラマなのに、隅々までかっこよくできているのです。面白さということでは、今年のピカイチということで、ここに挙げます。B級娯楽職人であるカーペンターには今後も期待したいところですが、今回は役者が揃っている分、点数も上がってしまいました。■第3位「フレイルティ・妄執」今年は「ジーパーズ・クリーパーズ」や「アザーズ」「ザ・リング」などホラーに佳作が多かったのですが、怖さと面白さでは、この一本が抜きん出ていたように思います。二転三転するストーリーですが、なかなか結末までは読めないというところも良く出来ています。相手を悪魔の手先だと信じ込めれば、人殺しだってできるという、身近にありそうな恐怖度も飛び抜けていました。地味な公開が惜しまれる佳作です。■第4位「ズーランダー」今年はコメディがたくさん公開されまして「ハートブレイカー」「キューティ・ブロンド」「ラット・レース」「メルシィ人生」など面白かったのですが、バカ度とぶっ飛び度でこれが一番インパクトが強かったです。シリアスなような、大バカなような、でも、おかしくて、映画として破綻していないという、離れ業の映画。■第5位「きれいなおかあさん」現代の中国を描いて、コミカルだけど切実、重いようで軽やか、耐えることを美化しない視点が快い佳品でした。コン・リー扮するおかあさんに共感できるからこそですが、こういうおかあさんは日本ではどう受け入れられるのはちょっと気になるところです。■第6位「レプリカント」今年もアクション映画は何本もあったのですが、手堅さを買って、これをベストテンに入れました。ジャン・クロード・バン・ダムとリンゴ・ラムのコンビがきちんと仕事してますというB級アクションのお手本というべき映画。ラストのオチも楽しく、映画館に入ったら「とりあえず」観たいと思う娯楽映画と申せましょう。■第7位「家路」自分が年をとったせいなのか、老優の日常を追ったマノエル・ド・オリヴェイラのこの作品が妙に印象に残ってしまいました。ラストの少年の長回しショットの向こうにあるものを考えると、ぞっとするものもあるホラー映画のようでもありました。■第8位「サイン」ゲームを映画化するといった最近の風潮とは逆に、映画で遊んでしまおうという心意気が成功している珍しい作品。映画を娯楽の仕掛けとして使うという視点は結構斬新なのではないかしら。ただし、この手は二度は使えないでしょうから、次はどう出るのかという興味も尽きません。■第9位「エンジェル・アイズ」今年のラブストーリーの中で一番好きな作品。傷を持った二人が、お互いに依存せずに共に歩みだそうという決着のつけ方がすがすがしかったです。また、家庭内暴力についてシビアな視点も盛り込まれているのが、印象的でした。甘めの題名や宣伝とは裏腹に、ピリリと辛くて切ない一編に仕上がっています。■第10位「容疑者」父と子の絆を扱った映画ではありますが、その描き方はシビアで容赦がありません。息子の犯した罪を父はどうやって償うことができるのか。結末に見られる希望には、甘いと思いつつもすがりつきたくなるような切実さがありました。最近あまりぱっとしないデ・ニーロの映画の中では、地味だけど良質な佳作と申せましょう。また、ベストテン以外でも、ドラマとしての面白さという点で「ディナー・ラッシュ」「アバウト・ア・ボーイ」「金色の嘘」「サンキュー・ボーイズ」などが漏れてしまい、またサスペンスものの佳品「スパイダー」「サウンド・オブ・サイレンス」「パニック・ルーム」「スズメバチ」がはみ出してしまいました。 そして特別賞 ■「リーベンクイズ 日本鬼子」戦時中、日本軍、いや日本人が中国大陸で何をしたかを旧日本兵が語るという衝撃のドキュメンタリー。世界各地で行われている残虐行為は決して他人事ではない、条件が揃えば、隣のオヤジだって、そして自分だってやってしまうかもしれない。そういう怖さを実感させてくれたという点でこの映画の存在意義は大きいです。イデオロギーを離れて、人間心理のサンプルとして一見のオススメです。さらにもう一本 ■「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ戦国大合戦」戦国時代にタイムスリップしたクレヨンしんちゃんと野原一家のドタバタを描く一方で、本気でラブストーリーを、そして本気で合戦を描いてしまった、とんでもないアニメ。泣かせるシーンがてんこ盛りで、一体誰をターゲットに作っているのかよくわからない、やりたい放題の一品。でも、私にはすんごく面白くて、泣けたので、特別賞。後、映画全体としては今一つかもしれないけど、ここだけはということでピンポイントのベスト5を挙げさせて頂きます。 ■第1位「ノーマンズ・ランド」の結末映画本体もベストテンに入れていいのかもしれませんけど、内容の痛さと半端にコミカルなのがどうもしっくり来なかったのでベストテンから外れてしまいました。でも、この結末はすごいです。そう言われて観ると「なーんだ」と思うかもしれませんが、思い返すたびにその不気味さがじわじわとボディブローのように効いてきます。(その結末をここでは書けないので、半端な説明になってしまいました、ビデオ等でご確認下さい。)■第2位「ロード・トゥ・パーディション」の映像物語は私との相性がよくなかったのか、今一つ胸に届いてこなかったのですが、コンラッド・ホールの手になる映像は、横長フレームを最大限に生かし、奥行きと潤いのある油絵のような見事な出来栄えになっていました。これは絶対に映画館の大スクリーンでないと堪能できない映像です。■第3位「キル・ミー・レイター」のセルマ・ブレア今年のヒロインはなかなか豊作でして、「プリティ・プリンセス」のアン・ハサウェイ、「マルホランド・ドライブ」のナオミ・ワッツ、「ゴースト・オブ・マーズ」のナターシャ・ヘンストリッジ、「ラット・レース」のエイミー・スマート、「スズメバチ」のナディア・ファレス、そして久々のスクリーン再会がうれしかった「スパイダー・パニック」のカリ・ワーラーなどが印象的でした。でも、今年の収穫はセルマ・ブレア嬢ですね。「キューティ・ブロンド」でもかわいかったですもの。「キル・ミー・レイター」は大して面白いとは思いませんでしたけど、彼女をたっぷり見られるというだけで印象に残ってしまいます。2003年はキャメロン・ディアスとの共演作が控えているようで、これにまず期待ですね。■第4位「メルシィ人生」の皆様ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・トパルデュー、ミシェル・オーモン、ティエリー・レルミットといったシリアス系の面々が、かなりおバカでコテコテのサラリーマン喜劇を演じていたのがまずびっくり。また、それぞれが面白かったのですよ。バカバカしくて、でもサラリと笑えるあたりのセンスが買いです。■第5位「プロフェシー」の特撮これもネタバレになるから、あまり言えないのですが、この映画のクライマックスに崩壊スペクタクルを見せてくれるのです。ミニチュアとCGを組み合わせた見せ場が珍しかったですし、リアルな効果もよく出ていました。そんなわけで、2003年もどうぞよろしくお願いします。 |
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