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written by ジャックナイフ 21世紀の最初の年のベストテンでございます。今年は観た映画の本数が今イチなので、かなり偏ったベストテンになってしまいました。ともあれ、このベストテンはあくまで劇場のスクリーンで観た時のベストテンですので、ビデオで観たらかなり順位が変わるであろうことはご了承下さい。毎度のことですが、選択の尺度は、観終わった時の満腹度と、単なる好みの羅列になってしまいました。 ■第1位「初恋のきた道」中国映画が1位です。たしかにチャン・ツィイーの美少女ぶりにノックアウトされたことも否定できないのですが、それ以上に、作者の教育に対する敬意と希望が感じられて、大変胸を打つ映画に仕上がっています。昨年の同じ監督の「あの子をさがして」でも思ったのですが、これらの映画には、私たちが、かつて持っていて、今忘れかけている希望が読み取れるので、ここで1位に挙げさせて頂きます。ラストシーンはメロメロに泣けてしまいましたもの。■第2位「ギャラクシー・クエスト」「スター・トレック」のパロディというのは一目瞭然。でも、そこで描かれる愛すべき人々のドラマは笑えて泣ける娯楽映画の逸品でした。豪華なキャストに、よく練られたドラマ、さらにオタクに華を持たせるラストまで、ホントに楽しさが一杯つまった映画になっています。社会派もいいし、ラブストーリーもいいけれど、こういう形で、大人から子供まで興奮させて楽しませてくれる映画って少ないですからね。「スパイ・キッズ」は意あって力足らずでしたけど、こっちは両方あったから大好き。■第3位「蝶の舌」ミニシアターの公開ながら大ヒットした一品。少年と老教師の触れ合いを軸にして、人間の悲喜こもごもを淡々と描いた作品です。ドラマもさることながら、シネスコの画面が大変美しく、横長画面をフルに生かした画面設計が見事でした。衝撃的なラストは観る人によって受けとめ方がいろいろあるようですが、私は少年は頭では理解できない何かを心で感じたのだと思いました。(観てない方には何のこっちゃですね、ども失礼しました。)■第4位「天使のくれた時間」人生に「もしも」はないけれど、あの時、彼女と別れていなかったら、というもう一つの人生を垣間見る主人公。でも、この映画のいいところはそこに逃げ込まず、現実も否定せず、未来への希望で締めくくるところ。ここ数年の映画の中で屈指のラストシーンがステキな余韻を残す映画です。カップル向けには最高の映画ですが、ちょっと人生お疲れめのミドル層の方(私もそうですが)にもオススメです。■第5位「フェリックスとローラ」パトリス・ルコントの映画って崖っぷちの恋愛ものが多いのですが、今回はミステリータッチで一見崖っぷちドロドロ恋愛もののように見せておいて、意外な展開を見せてくれます。その結果、洒落た恋愛ミステリー風の一編に仕上がりました。でも、そこに秘められた想いはかなり深いものがあるのですが、それをサラリと見せたセンスが好きです。奇妙な味わいの短編小説という感じでしょうか。■第6位「アンブレイカブル」列車事故で唯一無傷で生き残った男にまつわるスリラー。これはもう映画としての仕掛けの面白さですね。同じ監督の「シックスセンス」より、こっちの方を買います。また、主人公よりも彼の周囲の人間の方がずっと怖いという点がスリラーとして点数を稼ぎました。特に自分の父親に銃を向けるガキなんて、「ナイト・オブ・リビング・デッド」の親殺しゾンビ以来の衝撃ではないかしら。■第7位「山の郵便配達」現代の中国を舞台に父と子の葛藤を描いた感動作です。細かいエピソードの積み重ねで、父、母、子のそれまでの人生をさらりと見せるあたりのうまさが光りました。原作からの改変があるようですが、この映画はこれとして十分見応えのあるものになっています。また、山の空気感を見事に表現した、撮影、音響効果も特筆ものでした。■第8位「ブリジット・ジョーンスの日記」酒、タバコをカパカパやる太めの三十女なのに、なぜか魅力的なのが不思議な映画。キュートなヒロインや、ここまで徹底してカッコ悪くていいのと思うヒュー・グラントなど登場人物の魅力と、ラストの切なくもおかしい街中のラブシーンなど、見所多くて、楽しい映画になってました。■第9位「クレーブの奥方」今年一番の恋愛映画ですね。ストイックで純粋で、そして残酷な愛情が悲劇とそして不思議な癒しをもたらします。こんなのされたらかなわんなあ、と思いながらも見応え十分なドラマになってました。「秘めたる想い」ってのをカッコいいと思っていたのですが、秘めたるが故に周囲を傷付けてしまうあたりが圧巻でした。■第10位「タイガーランド」ベトナム戦争ものなんですが、アメリカ軍の訓練施設を舞台にしたところがユニークで、そこで描かれるドラマは普遍的な倫理観と自由の物語でした。その時々に流されている私のような人間には、かなり耳に痛い話になっているのですが、それでも逃げずに耳を傾けることができるのは、きちんと娯楽映画の体裁をとっているからでしょう。職人監督ジョエル・シュマッカーのうまさを再認識した映画でもありました。上記以外では、シニカルな視点がおかしい「テイラー・オブ・パナマ」、とにかくカッコいい「誘拐犯」、いわゆる犯罪モノの佳作「スコア」、オカルト風なのに役者のおかげで格が上がった「ギフト」、定番が楽しい「チアーズ」、さらに映画としてよく出来ていた「トラフィック」「ショコラ」「パン・タデウシュ物語」といった作品が印象に残っています。 そして特別賞は ■「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」毎度ながら見応えのあるクレしん劇場版なんですが、今回は、世代限定のスペシャル版を作ってしまいました。1970年の大阪万国博をリアルタイムで生きていた世代にはもう涙がチョチョぎれる展開になってまして、オヤジ相手にここまで泣かせる映画はまずないですよ。だからといって感動作品じゃなくて、ちゃんとおバカなしんちゃんになっているのですから、大したものです。ついに来るところまで来てしまったという感じですね。(ホント、次回作はどうするんだろう。)さらに、今年も「この映画の局部的にここが好き」というピンポイントベスト5も作ってみました。 ■第1位「クロコダイル・ダンディin LA」の「のほほん」癒しがブームになっているようですが、その意味では、この映画の呑気な展開は、捨て難いものがあります。悪役も登場するんだけど、殺伐とする前に事が収まってしまうおかしさは他の映画にはないものでした。極論すれば中身のあってないようなお話なのに、それが結構楽しくまとまっているというのは、考えようによってはすごい映画なのかもしれないです。■第2位「ヤングブラッド」のアクションピーター・ハイアムズ監督が撮影も手がけ、さらにアクション監督を香港から招いて派手なアクションシーンを作り出すのに成功しています。また、ハイアムズがシネスコ画面のロングショットを多用して陰影のある絵作りをしたおかげで、スタントがわかりにくいという利点もありました。■第3位「天使のくれた時間」のティア・レオーニ今年のヒロインは割と渋めが多くて「初恋のきた道」のチャン・ツィイーに始まって、「ゲット・ア・チャンス」のリンダ・フィオレンティーノ、「ギフト」のケイト・ブラシェット、「ポワゾン」のアンジェリーナ・ジョリー、「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルヴィガーなどがいましたが、かわいくていい女ということでは、何と行っても、ティア・レオーニが筆頭でしょう。「天使のくれた時間」で二つに時間を生きるヒロインを演じて両方とも惚れ惚れするほど魅力的でした。■第4位「ふたりの男とひとりの女」のやりたい放題ジム・キャリーが二重人格者を演じたコメディなんですが、「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟の監督だけに、差別ネタ、お下劣ネタのオンパレード。ここまでやると何だかうれし楽しと思ってしまうのは、私も主人公と同じく普段抑圧されてるからなのか。特に生意気な女の子を噴水の中に頭から突っ込むシーンが大拍手でした。よくやった、感動した!■第5位「アヴァロン」の意味不明押井守が監督した「アヴァロン」は最新技術を使ってポーランドで撮影したことが話題になったのですが、そういうメイキングの部分だけがメディアに展開され、肝心の中身の方はプログラムでさえ、まともに触れていないのです。確かによくわけのわからないストーリーではあるのですが、普通ならそれでも少しは解説とか絵解きをしそうなものなのに、そういう記事をまるで見かけませんでした。これは「ここが好き」とはちょっと違うのですが、映画も意味不明なら、その売り方、メディア展開も意味不明。でも、ある人に言わせると「押井守はみんなあんな感じ」なんですって。うーん、ますます意味不明。そんなわけで、2002年もどうぞよろしく。 |
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