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written by ジャックナイフ 映画のベストテンを挙げたら、やはりサントラのベストテンもということで、挙げさせていただきます。ここで挙げているサントラは最近の歌を集めたコンパイレーションものではなく、映画のために作曲されたスコアサントラを対象としています。基本的には私の好みでして、さらにオーケストラもの、重厚なサウンドには点数が高くなるという傾向があります。 ■第1位「プランケット&マクレーン」これは映画を観ていないのですが、サントラ盤だけを聴いての強引なベストワンです。この映画の作曲者であるクレイグ・アームストロングという人はロック系の出身だそうですが、今年も「完全犯罪」「ボーン・コレクター」などで見事な音を聴かせてくれました。「パトリオット」などの映画の予告編でも使われているコーラスとオケにさらにビートを効かせた重厚サウンドが、私のツボにはまってしまいました。今年はハンス・ツィマー一派のトレバー・ラビンが大活躍という感じでしたけど、仕事的にはアームストロングが光っていたと思います。■第2位「イグジステンス」そのクセのある音に好みの別れるハワード・ショアの重厚オーケストラサウンドですが、おなじみクローネンバーグ監督作品では、フルオケを思いきりうならせて、悲劇のような音作りをしています。その思いきったハッタリが映画に奥行きを与えていて、冒頭から観客を別世界に連れ込んでしまうのですから、大したものです。■第3位「シャンドライの恋」音楽が映画の中で重要な位置を占める映画です。サントラCDにはアフリカ民謡のような歌や、ピアノソロなど、劇中で実際に聞かれる音としての音楽が収録されているのですが、これが映画の空気を見事に運んできます。また主人公の演奏するピアノの曲が、クラッシックとアフリカ音楽を融合したような、ダイナミックさと繊細さを併せ持つ魅力的な曲になっていました。音楽担当のアレッシオ・ブラドは、今年はこのほかにも「ムッソリーニとお茶を」が公開されましたけど、音楽的にはこちらの方が数段聴き応えがあります。■第4位「狂っちゃいないぜ」航空管制官のハードな日常を描いた作品に、アン・ダドリーが印象的なサウンドをつけました。彼女の今年の公開作には、力作「アメリカン・ヒストリーX」があったのですが、音作り的には、こちらの方が大変そうでした。とにかくイメージがつかみにくいドラマにノリのよいテーマ曲、ちょっとファンタジーの入ったコミカルな音などを提供し、映画をまとめた彼女の手腕は高く評価されてよいと思います。■第5位「ヒマラヤ杉に降る雪」ジェームズ・ニュートン・ハワードという人は、担当する本数は多いのですが、サントラファンの間での評価は今一つのようなところがあります。でもこの映画のように、色々な内容を盛り込んだ映画では、彼の場面場面に柔軟に対応した音作りがうまくはまったように思います。コーラスを交えた重厚なサウンドから、シンセを使った幻想的な音まで、映像を的確にフォローしていました。■第6位「インビジブル」SFスリラーの音楽を名匠ジェリー・ゴールドスミスがスリリングな音をつけました。タイトル曲の静かなタッチから、サスペンスを盛り上げて、クライマックスでは活劇音楽に展開するという映画音楽の王道を行く音作りは、さすがにベテランのうまさと厚みをかんじさせます。■第7位「サン・ピエールの命」シリアスドラマの音楽をパスカル・エステーヴが手がけました。オーケストラ音楽の中に男性ハミングが入ってくるのがアクセントになっていて、一癖ある音になっています。こういう重厚ドラマに情感を入れるとどうしても歌い上げる形になってしまうのですが、この映画はギリギリのところで理性が感情をコントロールしているという感じです。■第8位「オータム・イン・ニューヨーク」コテコテのラブストーリーでなんですが、ガブリエル・ヤードの音楽が静かに心にしみる音楽をつけています。その透明感のある音が甘味に走りがちな本編をセーブして、映画に風格を与えています。この音楽を聞くと主人公二人のアップよりも、ニューヨークの風景が浮かんでくるあたりが聞き物です。■第9位「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」ジョン・バリーが抜群のうまさでシリーズを引っ張ってきたのですが、最近は別の人が担当するようになりました。今回は前作に引き続いて「インデペンデンス・デイ」のデビッド・アーノルドが担当しました。基本的にオーソドックスな音作りながら、いざというところで、モンティ・ノーマンの007のテーマを贅沢に使うところが見事です。■第10位「季節の中で」ベトナムを舞台にした群像ドラマの音楽をリチャード・ホロビッツが手がけています。シンセサイザーやベトナム民謡風の歌など、今年静かなブームだったエスニック系ヒーリングミュージックの趣もあります。去年の映画ですが、去年のベストテンに間に合わなかったので、ここで挙げさせていただきます。この他にも、ビリー・コーガンとエリア・クミラルによる「スティグマータ聖痕」の神懸りホラー音楽、エールによる「ヴァージン・スーサイズ」、ビル・コンティによる「コヨーテ」などが印象的でした。あとステファン・ニルソンの「ロッタちゃん」のテーマなんか耳に残っています。それでもって、洋画ばかり並べてしまったので、邦画から特別賞を一つ。 ■特別賞「リング0・バースデイ」映画も面白かったのですが、尾形信一郎の音楽は、ホラーとラブストーリーを両立させることに成功しています。孤独なヒロインの静かなテーマから活劇調の音楽まで、バラエティ豊かな音作りをしながら、きちんと怖いというところが見事でした。こういう恐怖映画の音を聞きたいというマトをついてくるあたりで特別賞にしちゃいました。てなわけで、21世紀もどうぞよろしくお願いします。 |
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