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クリスマス前のデートはちょっとわくわく気分 「でも、三木さん、大蔵省って今年は色々あって大変なんでしょう。」 「ああ、金融破綻とか言われて、でもクリスマスはなんとか時間を作るよ。これ約束する。君のお父さんの会社だって大変なんだろう?」 「でも、私は本社じゃないし、父とはあまりそういう話はしないの。ねえ、クリスマスデコレーションって、街が着飾ってるのね。一年で今だけ。」 「おい、三木じゃねえか。何してんだって、おおこれが例の社長令嬢か? お前、会社の安月給で無理するなよー。」 「あ、先輩、あの、これは、その.....」 「え、会社?」 「というわけなんだ。大蔵省って顔じゃないのに、あのパーティの雰囲気でつい。まわりもエリートばかりって感じだったから。」 「だましてわけね、私を。」 「ごめん、こんな時にかっこ悪いし、迷惑かけて。」 「でも、私もごめんなさいなの。社長令嬢なんてウソ。手取り16万の給料で、4万5千円のアパートにいるの。どう見てもこんなちんちくりんの令嬢なんているわけないでしょ。OLっていうほどもパっとしない....。」 「そんな.....。」 「え、私を責めるの? あなただって私を騙したくせに。」 「ちがうよ、君はカワイイし、ほんと社長令嬢かと思ったんだ。だから、俺もガラになく無理しちゃって。」 「そう? あなたの大蔵省も今まで、信じていたわ。」 「あの、俺、君とはまだ付き合っていたいんだけど。もう、終りなのかな。」 「でも、私は社長令嬢じゃないわよ。会社の人にかっこ悪くない?」 「そんなのは大したことじゃないよ。でも、ひょっとして君も。」 「大蔵省の彼氏って言っちゃったわ。でも、大したことじゃないわ。私たちだけの秘密にしときましょうよ。」 「いや、隠し事は苦手だから。」 「あら、よく言うわねえ、今まで隠しておいて。」 「だから、ほっとしてるんだ。」 「ねえ、クリスマスはお互い彼氏彼女でいましょうよ。そして、大晦日に初詣に一緒に行くの。」 「いいね、それ。無理しないで分相応のクリスマスってどう?」 「それでね、神社で願をかけるの。次のクリスマスもまた二人で過ごせますようにって。」 「お互いに願をかけるってこと?」 「ううん、自分に願をかけるの。お互いを好きでいられるようにって。」 「そんなの、神様にお願いすることかい。」 「だって、もっと好きな人ができるかもしれないじゃない。」 「そうか、そうだよなあ。でも、その時はどうすればいいんだろう。」 「だから、神様にお願いするんじゃない。それに、ずーっとっていうのも、神様大変だから、来年のクリスマスまでなの。なんとかしてくれそうじゃない、期間限定なら。」 「じゃあ、来年の大晦日にはまた初詣に行って。」 「そう、同じことを願駆けするの。」 「なんだか、プロ野球の契約更改みたいだな。」 「そうね、だったらフリーエージェントもありよ。」 「言うなあ。でも.....うん? どうしたんだい、泣いてるのか?」 「うん、ちょっと。今日私変みたい。今まで付き合って3ヶ月以上続いたことないのに。こんな先の話までするなんて。ごめん、もう大丈夫。」 「こんなって高々1年だろう。その3ヶ月の付き合いってのを4倍に薄めたら、1年なんてあっという間だぜ。」 「何よ、それ。もう少しロマンチストかと思ったのに。」 「でも、悪い話でもないだろう。」 「うん、乗ったわ、それ。」 クリスマス2年分、ご予約承りました。 |