スターシップ・トゥルーパーズ2
Starship Troopers 2


2004年08月08日 神奈川 横浜日劇 にて
昆虫軍団と人間軍団の戦いはまだまだ続いていたのです。


written by ジャックナイフ
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昆虫(バグ)軍団と地球連邦軍の戦いはまだまだ続いておりまして、敵側の惑星で戦闘を続けるある中隊も、数で攻めてくる敵軍に押されて、既に撤退して無人の前哨基地へ撤退することになります。人がいない筈の基地に上司を殺した前科のある歴戦の勇士ダックス大尉が閉じ込められていました。敵の襲撃に対して、レイ二等兵が独断でダックスを解放、結果としてダックスの活躍によってバグたちを撃退することに成功します。そこへ撤退時にはぐれたシェパード将軍と他部隊の生き残り3名が避難してきます。これで後は救援隊を待つだけなんですが、新たにやってきた3人が妙な動きをし始めます。

この後、若干のネタばれがありますので、ご注意下さい。

前作「スターシップ・トゥルーパーズ」を観たのがずいぶんと昔のことで、基本設定もバグ軍団と人間軍団の闘っているくらいの印象しか残っていません。後、前作は悪趣味ポール・バーホーベン監督が兵士募集の広告を前面に出したり、超バイオレンス描写で、虫けらと人間がお互いを虫けらのように殺しあうという図をブラックユーモアを前面に出して描いた快作でした。その続編ということですが、今回は視覚効果のスペシャリストのフィル・ティペットの初監督作品として、いかにもB級映画という作品になっています。

前回が戦争全体を描いた作品だったのですが、今回は局地戦の1中隊の物語として、こじんまりとまとめた感があります。その分、シリーズものの1エピソードといった味わいとなりました。前作のようなモブシーンもなく、登場人物も限定されていて、舞台も一箇所ということで、「エイリアン」や「遊星からの物体X」といった密室型SFホラーの味わいとなりました。軍隊が主人公とは言え、男女混合部隊でカップルのいるという設定なのでミリタリーものというよりは、「13日の金曜日」に連なる連続殺人もののようなホラー色が強くなってしまいました。まあ予算がない分、コストパフォーマンスの高いホラー的趣向を強めたのでしょうが、前作でも脚本を担当したエド・ニューマイヤーの苦労の跡が伺えます。

今回の新趣向は、これまで単に群れで数にものを言わせて攻めてきたバグ軍が、ちっこい奴で人間に寄生するというもの、ってこれ全然新趣向じゃなくて、散々これまで観てきたパターンです。誰が寄生されているのかわからないサスペンスと絶望的な展開の中で一発逆転を狙うというのも定石ですが、それでも臆面もなくやってくれて、そこそこ面白くまとめているので、映画としての出来はB級SFゲテモノとしては悪くありません。ただし、前作にあった、虫けらが大挙して人間を虫けらの如く殺しまくるという皮肉な面白さはもはやなく、単なる血みどろホラーになってしまいました。特に今回は、人間とバグに寄生された人間が殺しあうので、単なる殺人鬼ものと大差なくなってしまいました。オープニングとラストだけバグの群れが登場しますが、カット数も少なく、いかにも安く上げた続編の典型という印象は否めません。フィル・ティペットの演出が初監督という割には手堅くまとまっているのが強みでしょうか。でもこういう映画は大はずれでない限り、結構いい気分で映画館を出られるのですよね。大きな期待がないから、余程のスカでないと期待を裏切られることはなく、ちょっとでもいいところあると、得したような気分になれます。

前作は原作を知るSFファンから総スカンを食ったそうですが、考えてみれば、歩兵部隊がバグ軍団と肉弾戦をやるというのは、こういうバジェットの少なくなった続編のための設定だったようです。

演技陣も私の知らないメンツばかりですが、唯一、お久しぶりのエド・ローターが将軍という役どころで登場してました。70年代から80年代のアクション映画でよくお目にかかったバイプレーヤーですが、まだ現役だったとはうれしい限り。ただ、今回は前作に比べて女性陣にきれいどころが少ないというのは減点です。ここだけリアルにミリタリー色を出してもなあ。そんな中で音楽だけは、ジョン・モーガンとウィリアム・ストロンバーグがモスクワ・シンフォニー・オーケストラを使って前作の雰囲気を踏襲した音作りで頑張っていました。


お薦め度×予算と相談して作ったストーリーがB級っぽさ満点で結構好き。
採点★★★
(6/10)
こういう映画をもっと公開して欲しい、でもR15指定はやめてね。

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