written by ジャックナイフ E-mail:njacknife@aol.com
84カラットのでかいダイヤを盗み出したフランキー(ベネチオ・デル・トロ)がそのダイヤをさばくべくロンドンへとやってきます。このダイヤを武器屋や宝石屋がねらっているのです。その一方、闇ボクシングでかせごうというターキッシュとトミーの二人が、しこんだボクサーをバイキー(流浪民)のミッキー(ブラッド・ピット)にコテンパンにされ、逆にミッキーをスカウトして試合に出させようとするのですが、これが八百長試合。ところが八百長を無視してミッキーがあっさり勝ってしまうので、ターキッシュとトミーはボスに命を狙われるようになります。この八百長ボクシングと84カラットのダイヤ争奪戦の最終的に行きつくさきは何処?
「ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ」とやたら長ったらしいけど、かなり面白い映画がありました。金を巡る若いチンピラと悪党どもの血まみれ争奪戦をユーモアと意外な成り行きで見せる映画で、その脚本監督のガイ・リッチーがブラッド・ピットやベネチオ・デル・トロなどをメジャーなメンツも交えて作った新作です。画面が早回しになったり、紙芝居のような展開を見せたり視覚的なアソビ感覚も前作を踏襲していますし、いわゆるギャングの抗争を見せて、滅多やたらに人が死んでいく展開も前作と似たような感じです。ボタンの掛け違いによって、予想がつかない展開を見せたのが前作ですが、今回は、登場人物の出しぬき合戦がメインとなり、前作の落語のような味わいはなくなっています。前作と似ているようで実は違う線を狙っているなという印象でした。
さて、お話の方は、84カラットのダイヤを巡る争奪戦と、ボクシングの賭け試合の八百長が並行して描かれていきます。あまり関係なさそうな話が、強引に一本の話にまとまっていくあたりはなかなか面白くはあるのですが、どうもお話がブラックユーモアというよりは陰惨な印象があって、バカばっかの殺し合いをこれでもかと見せた前作ほど、話が弾まないのです。特にネームバリューのある役者が意外なところでドラマから退場してしまうのですが、これも役者のネームバリューがある分、ドラマの中で妙に浮いてしまいました。基本的に欲にかられた連中のドラマなので、誰にも肩入れしないで観るのが正解な筈なのですが、ここでも、ブラッド・ピットがやはりスターのご威光で、ヒーローっぽく見えてしまうのも気になりました。
登場人物が多すぎて、誰が誰やらと思っているうちに終わってしまった前作に比べると、今回はキャラクターの交通整理はかなりうまくなっています。ボクシングプロモーター、元締めのボス、マイキーという流浪民、宝石商、武器商人、さらに質屋という面々が、命のやりとりをするわけですが、ブラック笑いは控えめで、八百長ボクシングのシーンなど、かなりシリアスな撮り方をしているという印象でした。
お薦め度 | ×△○◎ | 物語をぎゅっと詰め込んだ面白さはあります。 |
採点 | ★★★☆ (7/10) | でも、前作の面白さを期待すると、ちょっと期待ハズレ。 |
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