written by ジャックナイフ E-mail:njacknife@aol.com
野原一家は豪華客船の旅「アクション仮面」試写会付きという旅行にご近所と一緒に参加です。ところがこの客船が、なんとサルの群れにシージャックされてしまいます。ひろしやみさえ、大人たちは南海の孤島に連れ去られてしまいます。残った子供たちはどうしてよいやら。しかし、ここでカスカベ防衛隊が立ちあがります。しんちゃん、風間くん、ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん5人は島に渡って大人たちの行方を追い始めます。その島は、アフロでファンキーなパラダイスキングの支配する島で、大人たちはキングの奴隷として連れ去られていたのです。果たして、カスカベ防衛隊の運命やいかに!
クレヨンしんちゃんは原作もテレビもなかなかに面白いのですが、映画シリーズも、長編にするにあたり、妙な趣味に走ったようなネタを盛り込んで一風変わったアニメに仕上げています。時代劇やら、コンピュータウィルスやら、怪獣ものやら、その目のつけどころの脈絡のなさが面白いのですが、今回は、敵役のパラダイスキングなるキャラに、アフロヘアのいかにも1970年代の黒人ファッションを持って来ました。最初、登場したときは何じゃこいつはと思いましたが、そのアフロへのこだわりの部分がまた笑えるのです。
映画の前半は、カスカベ防衛隊のジャングル探検のドタバタがメインで、これはテレビのしんちゃんの延長線ともいうべき、しんちゃんの大ボケぶりが見物です。それでも、ワニが出る、がけから落ちる、滝にはまるなど、ジャングルのお約束はきちんと踏まえて、楽しい見せ場になっています。後半は、アクション仮面が演じる俳優の郷剛太郎として敵と戦うというところがメインとなります。アニメの中で、アクション仮面というキャラクターを演じる俳優が、だんだんアクション仮面としてヒーローになっていくあたりが、なかなかの盛りあがりを見せます。毎回、しんちゃんが心を通わすキャラがこのシリーズには登場します。前作では、丹波哲郎でしたし、その前はぶりぶりざえもんでしたが、今回のしんちゃんの肩入れキャラはこのアクション仮面というわけです。また、今回はひまわりの出番がかなり多くて、要所要所をこの子がさらってしまうというのが面白いところです。そして、しんちゃんも今回はなかなかかっこいいのですよ。
また、クライマックスは、パラダイスキング対アクション仮面の空中戦となるのですが、これにしんちゃんも加わって、オゲレツなネタも盛りこみながら、迫力とスピード感あふれる見せ場が展開します。単純なマンガ絵で、よくこれだけの見せ場にするものだと感心してしまう展開は劇場でご確認下さい。
今回はしんちゃんとアクション仮面にドラマの比重がかかってしまい、ひろしとみさえはあまり活躍の場がなく、また、春日部の有象無象も顔見世だけになってしまったのが残念でしたけど、その分、番外編としての面白さが出ました。
お薦め度 | ×△○◎ | こんなマンガ絵の活劇で盛りあがるとは。 |
採点 | ★★★☆ (7/10) | アクション仮面の頑張りが泣かせます。 |
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