written by ジャックナイフ E-mail:njacknife@aol.com
ロッタちゃんは、パパとママ、そしてお兄ちゃんとお姉ちゃんの5人暮し。ピクニックに出かけた一家ですが、お兄ちゃんは湖で溺れそうになるは、ロッタちゃんはブタのぬいぐるみバムセがどっかへ行っちゃうわで、大騒ぎ。ロッタちゃんの5歳の誕生日、プレゼントには自転車が欲しくて仕方ありません。でも、パパとママはロッタには自転車は無理だと言って、三輪車に乗りなさいですって。そこでロッタちゃんは、お隣のベルイさんの物置にある大人用自転車を引っ張り出して乗ろうとするのですが、うまくいくのかな。ロッタちゃん一家はおじいちゃん、おばあちゃんの家にお出かけです。農場をやってるおじいちゃん、そこでもロッタちゃんは、いつもどおりに暴れてくれるのでした。
スウェーデンの童話作家アストリッド・リンドグレーンが作り出したロッタちゃんは日本でも翻訳されて出版されているそうですが、前作の「ロッタちゃん、はじめてのおつかい」は、邦題のうまさと、秀逸なイメージイラストで、イメージ戦略が見事に当たったというべきものでした。それに、映画自身も面白かったです。3つのエピソードが入っていて、そのどれも、独善的で、年中膨れっ面のロタちゃんが、やりたい放題した挙句に、ハッピーエンドになってしまうという、一種のファンタジーともいうべき映画になっていました。今回も設定は同じですし、スタッフキャストもまるで同じなのですが、若干違ってくるのは、前作が完全にロッタちゃん中心だったのに、今回は、ロッタちゃん一家の物語になっているということです。ですから、前作がお子様ムービーならば、今回は、ホームドラマということになります。ですから、前作のように、ロッタちゃんの中で強引にクローズする、いわゆるロッタちゃんワールド(ロッタちゃん小宇宙と言ってもいいです。)は今回はあまり登場しません。天上天下唯我独尊だった、前作のロッタちゃんは、今回は、一家の構成員として登場することになり、その分、ロッタちゃんならではの面白さは少なくなってしまったという印象でした。
例えば、今回のロッタちゃんは、おじいちゃんの家に出かけて、にしんのフライが食卓に出たとき、それを嫌って食べようとせず、それを外の水桶に捨てようとします。これは、単なるわがままなガキの所業でしかなく、映画の中でも、わがままなガキとしての扱いを受けるハメになります。こういう客観的に、ロッタちゃんをつきなはして見るという視点は、前作になかったものです。確かに、前作の最初のエピソードよりは、ロッタちゃん大きくなってますから、それなりの成長が、ドラマにも変化をもたらすのは、当然といえば当然です。しかし、その変化が段々とロッタちゃんから離れて、普通の女の子へと近づきつつあるのかなという印象を持ってしまいました。前作のファンタジーがらリアリティの世界に入りこんだということでしょうか。前作では明らかに脇役でしかなかったロッタちゃんの家族も、ロッタちゃんと同列の描かれ方をしています。
物語のおかしさは、前作と同様、ロッタちゃんのセリフでかなり笑わせますし、ロッタちゃんの動きの面白さでの笑いもあります。今回は特に大人用自転車を相手に悪戦苦闘するロッタちゃんの長回しショットが圧巻でした。また、お隣のベルイさんというおばあさんの存在が、妙に印象に残りました。自分の幼い頃にこういう近所のおばあちゃんみたいな人がいたよなあって気分になるのです。ですから、幼い頃を思い出させるという点では前作と同じなんですが、ロッタちゃんがリアリティを持って画面を闊歩しているのを観ているうちに、自分があまり子供好きでないことも思い出してしまったのでした。
お薦め度 | ×△○◎ | 昔のチャコちゃんシリーズ思い出しました。 |
採点 | ★★★ (6/10) | ロッタちゃんって、やっぱり困ったちゃんだよなあ。 |
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