written by ジャックナイフ E-mail:njacknife@aol.com
マックス(シガニー・ウィーバー)とペイジ(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)の母子はコンビで結婚サギにいそしむ日々。でもそろそろペイジも1本立ちして親離れしたいお年頃。それで、最後にでかく行こうと目をつけたのが老富豪テンジー(ジーン・ハックマン)。マックスは彼を虜にすることに成功、後は結婚して、離婚かテンジーの寿命を待つという段取りです。一方ペイジがバーのオーナー、ジャックにマジ惚れしちゃってラブラブ状態。さらに、前の被害者ディーン(レイ・リオッタ)がマックスを追いかけてやってきたものですから話はややこしくなっていきます。
一見つかみどころのなさそうな映画なんですが、いわゆる軽いコメディに仕上がってます。監督が「ロミーとミッシェルの場合」でまっとうなドタバタを見せてくれたデビッド・マーキンという人でして、今回もクセのあるキャストをうまくまとめています。オープニングが結婚式でして、誓いを立てているのがシガニー・ウィーバーとレイ・リオッタというのが、まず変です。そして、初夜のドタバタで笑いをとって、翌日、娘の方が色仕掛けで迫るあたりまでをテンポよくみせます。1日結婚して、30万ドルの慰謝料をせしめてしまうのですから、なるほど、結婚サギってのも結構商売になるみたいです。
でも、母親は娘をまだ手元に置いておきたい気持ちがあるし、娘は母親から独立したいと思っている、その二人の葛藤がドラマの核になっているのですが、ストーリー自体は、老富豪のハックマンをたらし込むのと、娘とバーのオーナーの色恋沙汰がメインに展開していきます。以降、ドラマとしてよりは役者のうまさで見せる映画になっていきます。
シガニー・ウィーバーは色仕掛けで迫る熟女をコミカルに演じて貫禄を見せます。でも、「死と乙女」のようなヘビーな演技とはうってかわった軽いフットワークに役者としてのうまさを見せます。ジェニファー・ラブ・ヒューイットは個人的にはどこがいいのかよくわからないのですが、人気者だそうで、ちょっと無理に背伸びしてしまう女の子を好演しました。さらに、ジーン・ハックマンの小汚いジジイぶりもここまでやるかという位に徹底ぶりで、その前代未聞の死に様が圧巻でして、「バードケージ」の女装の時も思ったのですが、ホントに何でもやる人です。さらに、おかしかったのが、レイ・リオッタでして、中盤ちょっとドラマがダレるのですが、後半、彼が再登場するとまた画面が弾んできます。妙な間のおかしさを持続させるあたり、見事なもので、後半の笑いは彼がほとんどさらってしまいます。さらに、ちょっとだけ顔を出すアン・バンクロフトもラストできっちり笑いをとりますし、いつもはシリアスなドラマをこなす演技陣がこういうコメディもさらりとこなすあたりは感心します。クドくならないところが見事だと思いました。
こういう役者のアンサンブルもあって最後のハッピーエンドまで楽しく観ることができます。母子関係の部分のウェットになりそうな部分をうまく切り上げて映画のテンポを落とさなかった演出は評価してよいと思います。また、ディーン・セムラーによるシネスコ画面がきちんと横長を意識した絵になっていて、ロングショットを大事に使っていることも好感が持てました。
まあ、男はみんな色仕掛けに弱くて、アホばっかという設定です。確かにシガニー・ウィーバーの絵に描いたような色仕掛けは端で見てれば笑えても、実際に迫られたら結構強力かも。中年以上の男性には、タバコを離さない小汚いジジイにはなりたくないと思わせる映画でもありました。
お薦め度 | ×△○◎ | レイ・リオッタのコメディ演技が光りました。 |
採点 | ★★★☆ (7/10) | 全体をサラリと仕上げて後味もよし。 |
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