ブラックダイヤモンド
CRADLE 2 THE GRAVE


2003年04月06日 東京 銀座東劇 にて
ダイヤ強盗の裏に潜む国際的な陰謀とは?


written by ジャックナイフ
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フェイト(DMX)はダイヤ強盗の仕事を引き受け、手際よく事を進めたものの、何者かの密告により、警察につかまりそうになってしまいます。フェイトの前に現れたスー(ジェット・リー)は台湾の秘密捜査官ということで、フェイトの盗んだ黒いダイヤモンドを追っていました。一方、リン(マーク・ダカスコス)一味も同じダイヤを狙っていて、フェイトの娘を誘拐し、ダイヤを渡せと迫ってきます。娘を取り戻したいフェイトとダイヤを追うスーは手を組んでリン一味に戦いを挑むのですが。

撮影監督として有名なアンジェイ・バートコヴィアクが「ロミオ・マスト・ダイ」「電撃」とアクション映画を立て続けに発表しているのは意外な感がありました。「ロミオ・マスト・ダイ」では、アクションシーンの比率が少なくて、ドラマがややたるいという印象も受けたのですが。「電撃」では見せ場を心得てきて、この作品でも娯楽アクションとしては、面白くまとまっています。

この作品は常に複数のドラマを並行して描いていくという、アクション映画には不向きな構成をとっています。DMX扮するフェイトの動きと、ジェット・リー扮するスーの動きを並行して描いているのは、主演二人の両方のバランスを取る都合もあるのでしょうが、意外とドラマはだれることなく、両者の動きを追っていくことに成功しています。また、コメディリリーフに白人のトム・アーノルドを持ってきたのは正解で、東洋人、黒人が活躍するドラマの中で、妙に外した笑いが生まれました。

アクションの見せ場をつなげる見せ方は趣向をこらして快調でして、シリアスドラマ志向だった「ロミオ・マスト・ダイ」に比べて、だれるところなく、全体的に動きのある絵が多いというのが面白さにつながっているのでしょう。今回はDMXもアクションを披露しますし、敵役に長身で動きの鋭いマーク・ダカスコスを持ってきたことで、アクションの動きにもコントラストがついて、全編に渡って趣向がこらされているという印象なのです。ただ、複数のアクションシーンを並行してカットバックで描く演出は、せっかくの動きのよさを殺してしまった点も否めません。各々をまとめて描くとドラマの比重がジェット・リーにかかってしまうことになるので、そのあたりの選択は微妙なものがあります。まあ、オープニングからクライマックスまで、カットバックによる並行描写を徹底して、それでも娯楽映画としてきちんと楽しめるものになっているのですから、バーコヴィアクの演出は評価できると思います。

エンドクレジットの後に本編と直接関係ない、トム・アーノルドとアンソニー・アンダーソンによるチョー下らない会話が、かなり笑えますので、最後までご覧になることをオススメです


お薦め度×二枚目、三枚目の役どころを踏まえたまっとうな娯楽映画。
採点★★★☆
(7/10)
ダブルヒーローの映画ながらスムースに展開していくところは評価大。

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