written by ジャックナイフ E-mail:njacknife@aol.com
ジェイク(エドワード・バーンズ)率いる詐欺師チームがまんまとせしめた金が、何と街の黒幕キング(ダスティン・ホフマン)の金だたったからさあ大変。チームの一人が殺されて、後のメンバーも命がやばい。そこで、ジェイクが先手を取って、キングに一緒に大仕事をしようと持ちかけます。キングは自分のライバルである銀行屋の金をせしめろということで契約成立。いよいよ、銀行の金の横領作戦が開始されます。一方、FBIのビュターン捜査官(アンディ・ガルシア)がジェイクを追ってやってきます。ここで邪魔が入ったら、金と命の両方が危ないジェイク、果たしてどう出るの?
詐欺師犯罪ものというジャンルになるのでしょう。最近はあまりこのジャンルでヒットした映画というのは見たことないです。「オーシャンズ11」がキャスティングの豪華さで印象に残るくらいでしょうか。地味なジャンルなのかもしれません。この映画もプログラムも作られていませんで、劇場ではプレスシートを売ってました。主演がエドワード・バーンズというのも地味ですし、ヒロインがレイチェル・ワイスというのもちょっとマニアック。一番、メジャーな名前のダスティン・ホフマンがマフィアの親分というのですから、確かに売りがない映画なのかもしれません。で、結局どんでん返しを売りにしてはいるんですが、ラスト10分だまされる云々は去年の「アイデンティティ」や「閉ざされた森」の三番煎じにしか聞こえないという、何か気の毒になってくるような映画です。さらに、邦題の「コンフィデンス」も去年の「コンフェッション」と混乱するし、主演のエドワード・バーンズが同時期公開の「ペイチェック」のベン・アフレックとキャラの混乱を招くという具合。(実際に劇場で両方の予告編を流された時は、私もどっちがどっちかわからなくなってしまった。)
それで、この映画がつまらなかったら、まあ分相応な売り方ということになりますし、とてつもなく面白かったら、配給会社にちゃんと扱ってやれよという突っ込みになるのですが、これが、とびっきりじゃないけれど、滅法面白いという、半端なところにまとまっているので、ますます、「何だかなあ」の気分になってしまいました。二転三転する騙しあいのストーリーそのものは、それほどの斬新さはないのですが、ジェームズ・フォーリーの手堅い演出と、適役適演の演技陣のおかげで、なかなか楽しめる映画に仕上がっています。
まず、オープニングの詐欺シーンが調子よくって、要は「騙される奴以外は皆騙す側の人間だ」という詐欺の常套手段を見せておいて、その後もセオリーにのっとって物語が進行していきます。銀行員に取り入って、不正に金を出させようという展開そのものは物語のメインではなく、ジェイクが自分を追うキングやビュターン捜査官をどうやって出し抜くかという駆け引きが中心となります。レイチェル・ワイス扮するリリーが一体どっち側の人間なのかなかなかわからないというサスペンスや、詐欺師チームのお目付け役としてキングが無理やり送り込んだルーパスという男の働きっぷりなど、一筋縄ではいかない面々の見せ方はなかなかにうまく、地味目のキャスティングの旨味もあって、ラスト近くまで、ストーリーの全貌がわからない仕掛けになっています。
ジェームズ・フォーリーという監督は、「摩天楼を夢見て」で、曲者演技陣を使った舞台劇のようなサスペンスを作った実績のある人で、今回も役者の使い方がそれぞれに見せ場を作って、各員が印象に残るような見せ方をしています。特に詐欺師チームを演じたポール・ジアマッティ、ブライアン・ヴァン・ホルトのプロフェショナルぶりですとか、お目付け役をフランキー・Gのどっちつかずのキャラクターなど、脇の人間の動きをきちんと押さえて、ドラマを面白くすることに成功しています。これら脇役の間で、ほとんど演技の見せ場のないアンディ・ガルシアの方にいいところをさらわれてしまい、敵役となるダスティン・ホフマンが役者としては損な役回りになってしまったのはお気の毒というべきか
お薦め度 | ×△○◎ | 意外性よりもリズム感のある見せ方のポイント高し。 |
採点 | ★★★☆ (7/10) | 地味な小品だけど、滅法面白い映画。ロードショーされただけ良しとすべきか。 |
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