チアーズ
Bring It On


2001年08月25日 静岡 静岡ミラノ2 にて
チアリングの名門高校の振り付けが実はパクリだったんですって。


written by ジャックナイフ
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チアリングの名門ランチョ・カルネ高校のトレスは新キャプテン、トーランス(キルステン・ダンスト)のもとで猛練習中。ところが新入部員のミッシーがトレスの振り付けは他校の盗作だと暴露します。前のキャプテンがクローヴァーズという無名チームの振り付けをパクっていたのです。急遽、新しい振り付けを作ることになり、怪しげな振り付け師スパーキーに依頼したら、こいつは同じ振りをあちこちの高校に売り歩いていたのです。おかげで地方予選で大恥をかいたトレスの面々はもう辞退しかないと言い出すのですが、トーランスとしてはここで引き下がるわけにはいきません。再度、新しい振り付けを考えて全国大会に臨むことになるのですが、果たして、その結末は?

「インタビュー・ウィズ・バンパイア」から「ヴァージン・スーサイズ」まで割とクセのある映画に出演してきたキルステン・ダンスト嬢が、こんどはチアリーダーをやるというので、また社会派青春ものかと思っていたのですが、これが直球勝負の青春コメディになっていたのがまず意外でした。さらにそういう内容のドラマにダンスト嬢がきっちりとはまっていたのに、またびっくりで、これなら十分アイドル路線もいけるじゃんと思ってしまいました。一生懸命だけど、またキャプテンとしてのリーダーシップが十分でないあたりのかわいさも買いでしたが、講師料を稼ぐためにビキニの水着で洗車サービスするあたりも健康なお色気で好感が持てました。

映画の方は、「チアリーダーのキャプテンの恋にチアリングに大奮戦」というシンプルな内容ですが、ペイトン・リードの演出はテンポよろしくドラマをうまくはずませています。そして、アメリカのチアリーダーってこんな感じなのかというお勉強にもなる内容です。チアリングのパワーアップのためか、チームには結構男子生徒も混じってますし、アメフトはダメでも、チアリングがいいから、試合に人が集まるなんていうエピソードもおかしかったです。また、その動きが半端じゃなくすごいのです。体操、武術、ダンスなど体技と言えるもの全てを要素として、チアリングの演技としてまとめあげるあたりは、感心を超えて、感動すら憶えましたもの。

また、ライバルチームというか、前キャプテンが振り付けをパクっていたクローヴァーズの描き方も、敵役ではなく、ラストへ向けての和解の展開で、両方のチームが引き立つようにしてあるのには好感が持てました。クライマックスでの両チームのチアリングは観ていて拍手したくなりましたもの。(アメリカのチアリングのレベルはよく知らないので、この映画での演技がどの程度のものか、私には見当がつかないのですが)

また、ヒロインの恋模様の方も、ありがちな展開だけど、過不足なく描かれていまして、普通の女の子の揺れ動く恋心をダンスト嬢がきっちりと演じています。あんまり深刻にはならないけど、でもマジメに恋してるという節度ある展開が刺激先行の映画が多い中では、かえって新鮮に感じられました。ヒロインの彼氏として登場する二人の野郎どもも、とんでもない二枚目というわけでもないけど、そこそこのルックスかなと言う位のアンチャンなので、恋のレベルで話が収まってしまい、愛情どろどろの話になりようがないのですよ。そして、ラストもいい雰囲気になっておしまい。大フィナーレというわけでもなくて、長いエンドタイトルでは、登場人物たちが踊りまくり、NGカットまではさんで和気あいあいの中で大団円です。観終わって、あー、面白かったと思った時、こういうノリの映画って最近あまりないことに気付きました。日本のテレビドラマだと時々観るのですが、それでも青春ものでは、こういう和気あいあいの感じはないです。やたら、揉め事とシリアスな社会問題とドロドロの愛憎関係に終始して、こういう直球勝負の青春ドラマはあまり作られなくなってしまいました。今度、男子シンクロの「ウォーター・ボーイズ」が公開されるようですが、これもスポーツ青春ものとしては、変化球に属する題材であることを考えると、こういうストレートな企画自体が難しくなっているのかもしれません。


お薦め度×何か楽しそうな雰囲気がマル。
採点★★★☆
(7/10)
ありがち青春ものだけど飛形もきれいで着地も決まりました。

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