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ジャックナイフの
1997年の映画ベストテン

もう今年も終りに近づいたということで、ベストテンを作ってみました。今年劇場で観た映画96本(ほとんど洋画)の中から、独断と偏見で、「好き」を基準に10本プラスアルファを選んでみました。

第1位「ウォレスとグルミット危機一髪」
私の好きな映画のジャンルはSFとサスペンスとアクション、それ全部まとめて、クレイアニメーションで最高に面白い映画にしたのがこれです。ホント、映画館で一番楽しくて幸せな時間を過ごした映画だから、これが一番。
第2位「クルーシブル」
現代にも通ずる、魔女狩りの恐怖を描いた力作です。小娘の戯言に、大の大人が振り回されて、人が死ぬ、その狂気の様の中で、貫かれる愛とプライド。ダニエル・デイ・ルイスの二枚目ぶりもさることながら、ウィノナ・ライダーの演技力を再認識してしまいました。この映画はすごいです。有名な舞台「るつぼ」の映画化ですが、今の自分が正気かどうか、考えさせられてしまいました。魔女裁判を正当化する判事のその説得力の不気味さがまた現代を感じさせる力作です。
第3位「グース」
アンナ・パキンがかわいいとか、マーク・アイシャムの音楽がいいとか、見所が色々ある映画ですけど、やはりミニ飛行機と雁が編隊飛行をする、その絵の美しさが最高でした。環境保護とか、父娘の情愛とか、テーマはあることはあるけど、そんなことをどこかへ吹き飛ばしてしまう、視覚的説得力が素敵な作品です。
第4位「ボディ・バンク」
重いテーマをエンターテイメントに仕上げてしまうアメリカ映画の底力を感じる、スリラーの逸品です。映画のラスト近くで、主人公がベッドで動きがとれなくなるシーンの絶望的な怖さ。ジーン・ハックマンの信念に満ちた演技が、狂気を運んで来ないだけ、さらに増幅される恐怖。観客を恐怖と葛藤に追いつめながら、ラストで見せる希望。娯楽映画とヘビーなテーマの見事な融合。同様な仕掛けの「NY検事局」を押しのけての4位です。
第5位「ザ・プロデューサー」
ミステリー映画という事では「バウンド」「目撃」とか面白い作品が色々あったのですが、ゾクゾクする面白さということでは、これが一番でした。ケビン・スペイシーとフランク・ウェーリーの演技合戦が見物ですが、普段虐げられていた人間が逆ギレするコワサというところに、今日性を感じてしまいます。
第6位「マキシマムリスク」
今年も色々とアクション映画があったのですが、ジャン・クロード・バン・ダム主演、リンゴ・ラム監督のこの作品が映画として一番まとまっていたように思います。ラストを爆発で決着つけないとか、アクションシーンのカット割りが丁寧とか、意外なほどの細やかさがこの映画を並み以上の作品に仕上げています。「ネゴシエーター」とか「ダブルチーム」「ザ・ターゲット」とその類の作品はいろいろあるのですが、「丁寧さ」というところでこの映画が頭一つリードしていたように思います。
第7位「マイケル・コリンズ」
好戦的な若者だった主人公が、年を取ってからは停戦のために奔走する。そんな主人公を撃つのは、かつての彼を思わせる若者でした。この繰り返しがいつまでも闘いを終らせないのだと思うと悲しすぎる物語なのですが、実話の持つ説得力から、目を背けられなくなる映画でした。それなのに娯楽映画としての見応えも十分なんですよ。
第8位「秘密と嘘」
どうみても、お近付きになりたくないオバハンが、どういうわけか、幸せになっちゃうという、私のイメージでは、「あっけらかん」とか「ぬけぬけと」という言葉があてはまる妙な映画。でも、家庭の事情を題材に、2時間半を一気に見せるパワーは只事ではありません。
第9位「乱気流・タービュランス」
「コン・エアー」「エア・フォース・ワン」とハイジャックものが3本もあったわけですが、この作品が一番シンプルな構成で面白くできていたように思います。特に登場してくる色々な人間が、何らかの形で、ヒロインを助けたり、足を引っ張ったり、きちんと本筋に絡んでくるところが好感を持てました。ラストの盛り上がりとエピローグの余韻もこれが一番だったし、定番をきちんと押さえている映画です。
第10位「ベスト・フレンズ・ウェディング」
女の子の扱いで、本パーティでも、一部で異常に議論が盛り上がった作品です。でも、保守リベラルを置いといても、面白いコメディでした。ゲイの扱いも「バードケージ」よりスマートで、しかも笑えますもの。本当は「素晴らしき日」も好きだったんですが、私から見ると、あの親は子供に甘すぎるんでないの?ってところで、こっちの勝ち。
ムチャクチャ無様なヒロインを、見捨てないお友達(ベスト・フレンズ)の皆様がエライなーと感心してしまった、人情モノの一編。
というわけで、「フェイク」「エア・フォース・ワン」「百貨店大百科」「ザ・エージェント」「マーズ・アタック」「コーカサスの虜」「ある貴婦人の肖像」といったところがこぼれてしまったのが残念です。あと、邦画をめったに観ない私なので、以下の2本を別格で特別賞。

「もののけ姫」
とにかく、絵、音、物語と、全てに渡って隙がない作り方がお見事な映画です。それにこれだけヒットしちゃうんだもんなあ。何がすごいって、あの主題歌がカラオケにあるんだもの。重いテーマと娯楽性が、うまくバランスをとっていて、本当に大人から子供まで、楽しめる映画になっているのはすごい事だと思います。
「女優霊」
今年の映画じゃないけど、今年、劇場で観たので入れておきます。とにかく、こわくて面白い。よく見ると因縁話じゃないってところがまたうまい。また、すごく絵づくりに凝っていて、ホントに名シーンと思えるカットが結構ありました。この映画の監督が今度は「らせん」を撮ります。普段は邦画は観ない私も、これは観に行こうかな。
そんなわけで、本年、結構10本に絞るのが大変でしたから、なかなか粒そろいだったのかもしれません。来年も今年のベストワンのような映画に巡り会いたいものです。

ジャックナイフ