エアー・フォース・ワン |
大統領機ハイジャックのサスペンスアクションというだけに、音楽を担当しているのは名匠ジェリー・ゴールドスミスです。金管が鳴り響くオープニングはちょっと戦争映画を思わせますが、その後はストリングスが秒刻みの緊迫感を盛り上げ、パーカッションとホーンがスペクタクル部分のインパクトを奏でます。いつもより音の厚みが今一つと思うのはオケの人数の問題でしょうか。そういえば、彼特有のオケとシンセサイザーのゴージャスな競演というのが今回はないのがちょっと残念です。代打で急遽依頼された仕事らしいのでそこまで手が回らなかったのかもしれません。ともあれ、緩急自在これぞサスペンスアクションの音楽だぜという音を堪能できます。
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タイタニック |
色恋沙汰と船が沈むのを3時間も見せられるのかと思うとちょっと腰が引けちゃう映画の音楽を担当しているのが、今年は「デビル」「身代金」で結構いいところ見せたジェームズ・ホーナーです。今回は甘いアイリッシュ風サウンドで始まり、エンヤ風サウンド(予告篇で印象的な曲ですが、ちゃんとこれサントラにも入ってます)沈没シーンのスペクタクルサウンドまできっちりと聞かせてくれます。特にヒロインのテーマなのかな「ローズ」という曲が印象的です。オーケストラ、コーラス、シンセサイザーをうまく使い分けて厚みのある音楽です。派手めな宣伝の割には音楽は地味に抑え気味ですが、ホーナー自身の作曲によるラブテーマ(唄セリーヌ・ディオン)まで、なかなか細やかな音作りで映画の中でどう使われているか楽しみになります。
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ノーマ・ジーンとマリリン |
お正月映画の大穴的存在ですが、この映画の音楽を「ホワイトハウスの陰謀」のクリストファー・ヤングが手がけました。今回は珍しく全体をジャズ・タッチにまとめて、要所要所の盛り上がりどころを小編成オケによるシリアスサウンドで、ドラマをサポートしています。ソプラノサックスをフィーチャーしたメインテーマから段々とドラマチックなスコアへ展開していくのが聞き物です。夜のBGMとでも言ったらよいのでしょうか、ジャズタッチのマーク・アイシャムのファンの方にはお薦めの都会派サウンドの一枚です。
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私家版 |
これまた、お正月映画の風穴的存在のミステリーですが、音楽をフランスのジャン・フィリップ・グードという人が担当しています。陰気なピアノソロにオーボエが加わり小編成オケの音にまとまっていく不思議なタッチです。予告篇に流れる曲もサントラに収録されていまして、この音楽が映画全体のムードを表現しているようです。個人的にはこういう音楽がかなり好きなほうでして、いわゆるイメージをかきたてられるサウンドとでも申しましょうか。予告篇の曲を聞いて、CDを購入してよかったと思った一枚です。
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ピースメーカー |
お正月映画の予定が、もののけの祟りか年明けに公開が伸びてしまったアクションもの。音楽をアクションものならこの人という「グリムゾンタイド」や「ブロークンアロー」のハンス・ツィマーが手がけています。(「ライオンキング」もこの人)オーケストラとコーラスにシンゼサイザーを厚く積み重ねて、そこへスピード感をくわえ、重量感のあるアクションサウンドを作り上げています。ハッタリとも思える音が映像とマッチするとそのパワ−を最大限に発揮する典型と申せましょう。ただし、予告篇で流れるテンポのいい曲はサントラ盤には収録されていません。あれより、もっとダイナミックで重厚で迫力満点の音楽がサントラ盤では聞けます。アクション映画のファンの方は、この血沸き肉躍るサウンドに結構はまるかもしれません。(実は私もその一人です)
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パットン大戦車軍団/トラトラトラ |
これは、サントラではないのですが、最近発売になった、作曲者自作自演のサントラスコア盤と呼ばれるものです。作曲者のジェリー・ゴールドスミスがロイヤル・スコティッシュ・ナショナル。オーケストラを指揮した、なかなかの聞き物です。特に「トラトラトラ」はサントラが出ておらず、他人が演奏したものにもロクなものがなかっただけに今回の収録はうれしいものがあります。メインテーマの重厚なオリエンタルタッチの音楽も聞きごたえありますが、録音に問題があるのかビデオやLDに比べて重量感が今一つってのが残念です。それよりも、奇襲の準備シーンにながれる、サスペンスに重厚さを加えたらこうなるんだぜという音楽に、興奮させられてしまいました。
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