採れたて情報館 ロゴ25pt.

ジャックナイフの
ちょっとサントラ'97年10月

映画には音楽はつきものなのですが、その音楽のみをピックアップしたサントラ盤と呼ばれるCDが、世間に結構出回っています。最近の映画のサントラ盤で、ちょっと気になるところをご紹介させていただきます。

コンタクト ジョディ・フォスター主演のSF形而上的アプローチ映画のサントラを担当したのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレスト・ガンプ」でロバート・ゼメキス監督と組んでいるアラン・シルベストリという人でして、活劇アクションからライト・コメディまで手がける非常に間口の広い人です。今回は全体的にはおだやかなタッチでまとめた、静かな宇宙の音楽です。その中で、宇宙からの電波をキャッチするシーンの曲のみ西部劇調に盛り上がるのが面白いです。オーケストラを使ったスケールの大きな音になっていますが、映画を観ているとあま印象に残らず、CDで聞き直すと、へー、結構いい曲入ってたんだと気が付くパターンという感じ。クライマックスでも非常に落ち着いた音作りをしています。
危険な動物たち 「ワンダとダイヤと優しいやつら」の姉妹編ですが、音楽を名匠ジェリー・ゴールドスミスが手がけています。彼の場合「猿の惑星」「オーメン」「トータル・リコール」といった、スリラー、アクション系というイメージが強いのですが、こういう軽いコメディでもきちんと職人芸を聞かせてくれます。ロンドンのナショナル・フィルを指揮しながらも、音全体のタッチは小編成のそれもヨーロッパ風の味付けをして、ブラックコメディになり損ねた映画をうまくまろやかにまとめています。
日陰のふたり これは超不幸せ恋愛ドラマなのですが、音だけ聞くと何だか切ない気分になってきます。そんな音楽を手がけたのがエイドリアン・ジョンストンという人で、ケルトフォークの音楽でこの暗いドラマに暖かな灯りをともします。特に主人公のテーマには、胸締め付けるものがあります。また、オープニングクレジットの畑のロングショットのバックに流れる効果音のような音楽が大変印象的です。CDも完全にドラマの流れにそって曲を編集してありまして、映画を観た方はあの息苦しいほどの感情のほとばしりを再度体験することになりましょうし、映画を観ていない方はケルト音楽のアルバムとして楽しめる事と思います。
ボディ・バンク これは病院を舞台にしたスリラーものでして、音楽は「バットマン」や「マーズ・アタック」のダニー・エルフマンです。小編成のオーケストラを使い、ピアノやバイオリンのソロで不安感を積み上げていく音作りが見事です。いつものオーケストラをまとめてドッカンと鳴らす活劇調音楽とは少し趣が異なり、個々の楽器が聞き分けられるくらいに音を絞り込んでサスペンスを盛り上げます。また所々にコーラスも交えて、単なるスリラーじゃないぞって所も聞かせるあたりはうまいです。
アナコンダ 活劇音楽の典型を書いたのは、「デイライト」「ドラゴンハート」「ボルケーノ」と快調なペースの、ランディ・エデルマン。タイトルバックのドコドコドコドコとドラムが連打するスリリングなテーマから、パンフルートの静かなテーマへの展開が何か期待させるじゃありませんか。アマゾン河をゆく船のバックに流れる冒険映画らしいテーマ、そして、アナコンダの襲撃シーンはストリングスとホーンが一体となってパワフルに襲い掛かってくるという、娯楽映画の音楽とはこれだぜと言わんばかりの大サービスサウンドです。この人の音楽はスピード感のある部分でも低音部をきっちり鳴らすので、こういうアナコンダの動きをフォローするのにはピッタリなのでございます。

というわけで、歌無しの映画音楽もなかなか聞き物が多いです。この中では、BGM的な味わいもある「日陰のふたり」あたりがお薦めどころでしょうか。また、サントラオタクの方(いるのか?このパーティに)でしたら、「アナコンダ」はお聞き逃しのなきよう。全て日本版のCDが出ています。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp