トーマス・クラウン・アフェアー
トーマス・クラウン・アフェアー
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金持ち泥棒と女賞金稼ぎの、ちょっとイケてるラブアフェアー。
1999-11-13
神奈川 平塚シネプレックス2
にて |
ーマス・クラウン(ピアーズ・ブロスナン)は投資会社の社長で大金持ちなのですが、その上何が楽しいのか泥棒もやってるみたいです。美術館から、あっと驚く方法で、1億ドルのモネの絵を盗み出してご満悦です。警察はこの事件で犯人の見当もつかないのですが、保険会社から来た賞金稼ぎキャサリン(レネ・ルッソ)は現場に居合わせた彼に目をつけて接近します。そして、二人は惹かれあうようになりますが、この道楽犯罪者とスゴ腕バウンティハンターの恋の成り行きは如何に?
の昔、スティーブ・マックイーンとフェイ・ダナウェイ主演の「華麗なる賭け」という映画があったのですが、そのリメイクだそうです。「華麗なる賭け」は、幼いころテレビで観た記憶があるのですが、中身はさっぱり思い出せなくてまるきり新作として臨んだ次第です。主演が007のピアーズ・ブロスナンというのはともかく、レネ・ルッソが相手役というのが意外でした。華麗な犯罪ラブストーリーというには、ちょっとキツめのヒロインではないかいという先入観がありましたもの。「リーサル・ウェポン」や「シークレット・サービス」でも色恋沙汰はおまけみたいな扱いでしたから。
ころがこの映画では、その彼女がラブストーリーとしてのいいところをさらってしまうのです。最初、颯爽と登場して警察の面々にその実力を見せ付けるのですが、その後、トーマスに接近するにつれて、恋する女になっていくあたりが見物です。妙にカワイコぶることなく、大人の女の激情も交えての色恋沙汰は最近の映画では珍しいと言えましょう。彼女は今年で45歳だそうですが、そういう大人の女性の現役バリバリラブストーリーというのはなかなかお目にかかれません。もっと、こういうヒロインの活躍するラブストーリーが登場すると面白いのにと思いました。40代の女性がヒロインの映画がみんな「マディソン郡の橋」ではつまらないです。「ダイ・ハード」や「レッドオクトーバーを追え」など硬派アクション映画で定評のあるジョン・マクティアナン監督がそういう題材を無難にこなしているのがちょっと意外でした。
罪サスペンス部分は、さすがにマクティアナンの腕が冴えます。オープニングとクライマックスの美術館を舞台にした見せ場は、軽快にしてスリリング。ビル・コンティの遊び心ある音楽のテンポに乗って展開する泥棒作戦はまさにゲーム感覚の面白さです。まず、一体何が始まるのかがわからず、ただ何かが動きだしたことだけを見せて、その後の展開の期待を積み上げるあたりが見事です。あまりコミカルにしないで緊張感を高めていく演出が成功しています。
の後の展開は、ブロスナンとルッソとの絡みがメインになるのですが、マクティアナンは揺れ動く女心を描ききるのは今イチ得意ではないのか、いつのまにかブロスナンにメロメロになってしまうヒロインの心の動きまではすくいきれなかったように思えます。しかし、その女心を後半のサスペンスに生かすあたりはさすがにうまいものです。派手なラブシーンもありますし、リゾート地でのお楽しみなども必然性はなさそうですが、それでも映画全体をリッチな気分にさせてくれます。
役で、ベン・ギャザラとかフリッツ・ウェーバーなど渋い顔ぶれを揃えたのにほとんど出番がないのが気の毒でした。ギャザラは編集で出番がカットされたのではないかと思うくらいの扱いでしたが、それだけドラマを主人公のラブストーリーに絞りこんだ結果のようです。ラブストーリーを絡めた犯罪ドラマかと思っていたら、犯罪ゲームを舞台にしたラブストーリーだったという印象でした。その結果、前作のヒロインであるフェイ・ダナウェイ演じる精神分析医の存在が浮き上がりました。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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きっちりまとまった娯楽篇はマクティアナンの職人芸。
リッチな気分でモトのとれる映画です。
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