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我是誰
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ジャッキー・チェンの海外ロケアクションはすごい。でも大味。
1999-11-6
神奈川 平塚シネプレックスシネマ2
にて |
台は南アフリカ、膨大なエネルギーを持つ隕石の研究チームが隕石ごと誘拐されてしまいます。この誘拐劇に参加していた一人の男(ジャッキー・チェン)が重傷を負って原住民に助けられます。彼は記憶を失っていましたが、サファリレースの車を助けたことから、一躍有名人になってしまいます。ところが彼が生きているのを知って驚いた連中がいたのです。彼らは男を亡き者にしようと殺し屋を差し向けてきます。一方、彼の失われた記憶が少しずつ甦り始めます。一体この男の持つ秘密とは何なのでしょうか。
ャッキー・チェンの映画を最初に観たのは「プロジェクトA」でして、その後も全部の映画を観ているわけではないので、ディープなジャッキーファンではないのですが、それでも、毎度彼の体を張ったアクションには驚かされ、かつ楽しませてもらってきた一人です。80年代にハリウッド進出を狙った時はうまく行かなかったのですが、90年代になってようやくアメリカでも人気が出てきたようです。そんな、彼が脚本・監督・主演の3役を兼ねて、アフリカとオランダに大ロケーションを敢行したということで、相当気合が入った映画のようです。確かにオープニングのコマンド部隊の活躍から、そこまでやるかのカーアクション、追い込まれたジャッキーの奇想天外な脱出アクションなど、見せ場をたっぷり盛りこんでいます。また、屋根から屋根への飛び移りや壁を伝い降りるシーンの小技もなかなかに見事でしたし、カンフーアクションの見せ場もたっぷりと、2時間を飽きさせないサービス精神は相変わらず見事です。
が彼の映画で最高と思っていますのは、「ポリスストーリー3」でして、これはジャッキー主演作品ですが、ミシェル・リー以下、悪役も含めた脇役にもきちんと演技のしどころが与えられていて、かつ脚本がきちんとしていたところが、他の作品とは一線を画していました。特にクライマックスの畳み込みは見事でして、この作品でスタンリー・トンという監督の名前を覚えてしまいました。この映画はジャッキー主演作という枠をとっぱらっても、屈指の娯楽アクションとなっています。以降の作品群でもこの作品を凌ぐものが出ていないと思うのは私だけでしょうか。映画としてのまとまりとしてまずまずだった「新ポリス・ストーリー」、スキーチェイスのカッコ良さは007をも凌ぐ「ファイナル・プロジェクト」もいいのですが、他の作品に「ポリスストーリー3」以上を期待するのは難しいのかなあって思っていました。
こで、この作品にも期待するところがあったのですが、確かに面白いけど、あの感動をもう一度というところまでは行きませんでした。何よりもストーリーが行き当たりばったりなのですよ。そこを目くじら立てる人間にジャッキー映画は観る資格はないと言われてしまいそうですが、この映画で結局、ジャッキーの正体が何者なのかはよくわかりませんでした。題名が「Who Am I?」なのにその肝心なところがはっきりしなくていいのかと思うのですが。また、陰謀の全貌もよくわからないのですよ。あれよあれよという間に、とにかく悪がやっつけられていくという展開は嫌いではないのですが、冒頭で色々と謎を振っておいて、それが放っておかれるのは、観ていて気持ちのいいものではありません。
た、ジャッキーに絡むヒロイン二人もこれまでのジャッキー映画のヒロインに比べると今一つという印象でした。山本未来は騒がしいだけのネエちゃんになっちゃってましたし、ミシェル・フェレはどうも頭よさそうに見えないのですよ。ずいぶんな言い方になってしまいましたが、まあ、恋愛モノの展開もありませんし、いわゆるドラマの彩りにしかなっていないのは事実ですが、だったらもっと美形を連れて来て欲しいなあってのは失礼にあたるのでしょうか。
ャッキーの体を張ったアクションは素晴らしいのですが、やはり、アクションはそれを生かす物語がないと、映画としては成り立たないように思えます。野暮な言い方をするなら、この映画そのものよりも、この映画のメイキングの方が物語があって、ずっと面白いのではないかという気がするのです。その昔のドラゴンもののように、カンフー道場の争いというのは、陳腐ではありますが、アクションを生かすお膳立てとしては大変有効だったと思います。今回の設定はそれなりに面白いのですが、やってることは、追われるジャッキーの逃げ回るアクションから、ラストは立ち向かって勝つというパターンです。これでは、これ以上、映画を面白くさせるためには、ジャッキーのアクションの危険度をエスカレートさせる方向にしか向かないような気がします。同じアクションでもドラマとの絡ませ方で十分観客を納得、そして感動させるものを持っているジャッキーだけにちょっと惜しいような気がしてしまいました。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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映画としてはモトの取れる出来栄えになってます。
アクションだけの映画では物足りない。
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