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The Sixth Sense
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静かな展開で、ゾッとさせ、そしてホロリとさせるスリラーの佳品。
1999-10-23
神奈川 藤沢キネマ88
にて |
童専門の精神科医のマルコム(ブルース・ウィリス)は、自分の患者を救えず、最終的に死に追い込んでしまったことで、心に傷を負いました。おかげで、奥さんとの関係もうまくいきません。そんな時に、コール(ハーレイ・ジョスル・オルメント)という少年を担当することになります。この少年は学校や家庭で奇行を見せますが、何やら彼は秘密を持っているようです。マルコムは少年を何とか治そうとするのですが、なかなかうまくいきません。でも、彼に心を開いた少年は、ついに秘密を打ち明けます。少年には、死んだ人が見えるというのです。精神科医がそれをまともに受け入れるわけにはいきません。でも、段々とマルコムは少年の言動に動かされていってしまうのです......。
だ無名の新人監督M・ナイト・シャマランが自ら脚本を書いて演出し、アメリカで大ヒットしたという作品です。ブルース・ウィリスが「マーキュリー・ライジング」に続いて子役と絡む映画ということでも興味あったのですが、予告篇がなかなかすごかったです。渋滞している車の中に母と子、子供が女の人が怪我して死んだと言います。なぜわかったのかと聞く母親に、子供いわく「窓の外に立ってる」振り返る母親ですが、そこに誰もいるわけがない。これには、ぞっとさせられるものがありました。アメリカ映画で怪談をやるのかという興味と、ひょっとしたらこれはマジに怖い映画かもしれないという期待とが入り混じった感じです。
て、実物を観たら、これがなかなかに怖いのですよ。日本で言う「霊が見えてしまう体質」の少年を主人公にした怪談モノの一篇に仕上がっています。前半は、静かな淡々とした展開ながら、何やら得体の知れないものの存在を感じさせるのですよ。これは、日本映画の「女優霊」を観た時と似たような雰囲気があります。恐怖の実体が見える前から何かがいるぞという予感を煽る演出が見事です。後半になると、少年の目に映る死んだ人が直接スクリーンの上に現れてきます。ただし、それは他の人には見えないという設定です。普通なら、見えた見えないでもめるような展開になるところですが、この映画では、そのあたりをすっとばかして、見える少年にドラマの焦点を絞り込んでいくあたりがうまいです。
はいえ、一応精神科医が主人公なのですから、もう少し科学的なアプローチをしてくれてもいいような気もしました。しかし、マルコムの方は奥さんとの間がうまくいってないことに心の半分は奪われていて、少年を本気で救う気があるのかどうか疑わしいのですよ。実際、少年を救うはずのマルコムの方が、少年に自分の境遇を語ったり、励まされたりしているものですから、力関係は五分と五分、少年を救うということで、マルコム自身も癒されているというあたりに、このドラマの一筋縄ではいかない味わいがあります。
た、スリラーとしての仕掛けも抜かりなく、ところどころにショッキングなシーンもありますし、音響効果もなかなかに不気味です。私が観た劇場はデジタル音響でなく、ドルビーSRでしたが、それでも、静かな部分や不安な効果音などの聞かせどころがありましたし、ジェームズ・ニュートン・ハワードの音楽も静かな部分で効果を上げています。タク・フジモトによるキャメラが、異様に対象に寄るカットが多く、場面全体をカバーしきれていないところに、フレーム外の怖さを感じさせる絵作りをしていて印象的でした。いわゆる一人称キャメラのようでありながら、その視点の実体は実在しないという画面作りが、見えないものの存在を暗示していて、なかなかに不気味なのです。とくに前半は「見せない」ことを意識した絵作りが多くありまして、観客の不安を煽るのに成功しています。
画の冒頭に、この映画の結末は誰にも話さないでねという字幕が出るのですが、このあたりであまり大きな期待をしないほうがいいです。この映画には、確かにラストでちょっと意外なオチがつくのですが、趣向としては過去にも何回も見たことありますので新機軸ではありません。それよりも、オチに絡めて、ちょっとホロリとさせる余韻が残るところがこの映画のオススメポイントです。
者では、ブルース・ウィリスが子供相手に健闘しています。今回は、少年を助ける立場でありながら、自分自身もかなり悩めるキャラクターという難しい役どころなのですが、子供に食われない好演ぶりでした。少年を演じたハーレイ・ジョスル・オルメントは、最初はまともに相手していなかったマルコムに「自分を治せるのはあなただけだ」と言うあたりにうまさが光りました。
メリカ映画でこういう題材を扱うということ自体、かなり意外だという印象を受けたのですが、それが大ヒットしてしまったというのも余計目に意外でした。とはいえ、この映画は「ユージュアル・サスペクツ」のように伏線を再確認する面白さも持ってまして、そういう意味でリピーターを作りやすい仕掛けの映画でもありました。また、いろいろなメディアからのネタばれがありそうで、早いうちに劇場で御覧になることをオススメします。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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日本人にはそれほど目新しいネタではないです。
ブルース・ウィリスはスターでかつ役者なんですね。
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