夢inシアター
みてある記/No. 185

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裸の銃を持つ逃亡者
裸の銃を持つ逃亡者

- Wrongfully Accused -

映画のパロディを徹底して盛り込んだバカコメディ、結構好き。

Sep.25,1999 東京 銀座シネパトス3 にて


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バイオリニスト、ライアン・ハリソン(レスリー・ニールセン)が、コンサートの後、妖艶な人妻ローレン(ケリー・ルブラック)に誘惑され、彼女の家に行ってみたら彼女の夫が殺されていて、ライアンは犯人にされてしまいます。しかし、護送バスが事故になり、彼は逃亡者になってしまいます。彼を犯人に仕立て上げたのは果たして誰なのか、そしてライアンの無実は証明されるのか。

「フ
ライング・コッブ」「裸の銃を持つ男」などにタッチしてきたパット・フロストが製作・脚本・監督までしたワンマン映画です。「ケンタッキーフライドムービー」から始まる「フライングハイ」「ホットショット」「裸の銃を持つ男」などの一連のシリーズはデビッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、ジム・エイブラハムズのトリオが中心に製作されましたが、その流れをくむ作品でして、作家は変われどやってることはほとんど同じ。徹底してアタマ使わない笑いとパロディテンコ盛りで、一つのギャグやパロディで笑えなくても、とにかく数がたくさんあるからどれかで笑えるのではないかしらという作りなのです。そして、これらの映画の特徴は、そこそこの中堅俳優を使うということ。この映画のレスリー・ニールセンやウィリアム・シャトナー、故ロイド・ブリッジスなんてのは「フライング・ハイ」に出てしまってからはこういう映画の常連になってしまいました。「禁断の惑星」「ポセイドン・アドベンチャー」などで普通の人を演じ、「アニマル大戦争」や「シティ・オン・ファイア」なんかで悪役を演じてきたニールセンが50を過ぎてからこういうバカ映画のスターになってしまうというのは、アメリカってホントに面白いところです。コメディアンからシリアス俳優というのは日本でも藤田まことや片岡鶴太郎など、いくらでも例があるのですが、シリアス中堅俳優が年をとってからこういう路線に入ってそれが本業になってしまったのですから。そして、今回はリチャード・クレンナが変な人になってしまっていまして、この先こういう路線に染まってしまうのかちょっと不安です。名バイプレーヤーなのに勿体ないなあって思ってしまいますもの。

回はタイトルで映画のパロディを中心にした映画だと宣言していまして、確かに映画のパロディ満載で、大筋はハリソン・フォード主演「逃亡者」のパクリで、そして各所に色々な映画のパロディを盛り込んであります。それが必ずしも新作ばかりでないのが面白いところで、「北北西に進路を取れ」のような古典みたいな作品はともかく「ブレイブハート」「ユージュアル・サスペクツ」「フィールド・オブ・ドリームス」「今そこにある危機」なんて結構半端なタイミングの映画が出てくるのですよ。まあ、モトネタ探しを楽しむ映画ではなく、これだけ並べておけば、誰でもどこかでパロディに気付いて笑うのではないかしらという作り方ですから、この無節操なトッピングは結構いい線いっているのかもしれません。

いの取り方はあくまで泥臭く、演出のテンポは志村けんのバカ殿さまとほとんど同じですから、アメリカ映画だから洗練されてるだろうと期待すると大ハズレということになります。でもその程度のものだと思ってみれば、これはそれなりの憂さ晴らしとしてはそこそこの出来栄えになっています。志村けんのバカ殿との違いがあるとすれば、一つのお笑いネタに拘泥しないで、すぐ次のネタに移行していくというくらいでしょう。でも、その程度の違いです。志村けんやドリフの笑いにお金を払って劇場で観てもいいとおっしゃる方にはそれなりのオススメできる内容にはなっています。ただ、映画のパクリが出てきただけでは笑えない、その上にキチンと笑いネタを盛り込んでくれなきゃヤダとおっしゃる方には物足りない出来栄えと申せましょう。

々のビル・コンティが「スパイ・ハード」に続いてこのバカ映画にシリアスなスコアをつけています。でも、最近、彼のスコアを劇場で聞く機会がないのがちょっと残念です。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点0点0点 バカですねーと広い心で楽しめる方にオススメ。
こういうのに点つけるのも結構しんどい。
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