夢inシアター
みてある記/No. 173

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恋は嵐のように
恋は嵐のように

- Forces Of Nature -

マリッジブルーのタイミングで運命的な出会い、その結末は?

Aug.7,1999 静岡 静岡ピカデリー2 にて


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リジット(モーラ・ティアニー)との結婚式を間近に控えたベン(ベン・アフレック)は、結婚式に向かう飛行機が事故を起こしてしまい、陸路を選ぶ羽目になってしまってしまいました。たまたま飛行機で隣り合わせたサラ(サンドラ・ブロック)という一風変わった女性と知り合いになり、同道することになるのですが、どういう運命の巡り合わせか道中は御難続きで、予定の日になっても、ベンはブリジットのもとにたどり着く事ができません。一方、結婚に若干の不安を持っていたベンはサラとの出会いでさらに心が揺らいできてしまいました。でも不安なのはブリジットも同じです。一体、ベンとブリジットは無事に結婚にこぎつけることができるのかしら。

婚を間近に控えたベンが、サラという女性と知り合ったばかりにこれまでの結婚への確信がなくなってしまいます。ふーん、離婚が多いと言われるアメリカでも、結婚を一生に一度の大イベントと考えてマジでブルーになっちゃう人もいるということなのか、それとも今時こういう「ウブなアホ」もいるんだぜと笑い飛ばすコメディなのか、アメリカの実状にくわしくない私には何とも言えないのですが、この映画の作りはかなりシリアスです。ベンは結婚に対する恐れをジュリエットに尋ねられ「そんなことないさ」と否定するのですが、サラに指摘されたときに改めて否定する元気はありません。自分の両親に「結婚してよかったか」と質問しちゃうあたりはかなり重症です。マリッジブルーどころかマリッジぐんじょう色みたいな展開なんですが、ブルーなベンをあおるのが、彼の周囲の人間の「結婚したら後悔した」という話の数々です。確かに結婚を控えたベンに「結婚なんかろくなもんじゃない」という話ばかり吹き込まれたら、だんだん不安になってくるのはごもっともなお話です。

かも、隣を見ればちょっと風変わりだけど魅力的なサラがいる。自分とブリジットの間の絆がそんなことでガタガタになってしまうなんて、頼りないことこの上ない野郎だなと思っていると、一方のブリジットも、迷いの感情が生じて、昔の友人スティーブンに言い寄られる隙を与えてしまいます。でも、ブリジットはそれをはねつけます。何だかカッコつけてる割には情けないベンには、あまり共感するところがなかったのですが、自分の不安と正面から向き合おうとするブリジットには大変好感が持てました。演じているのがごひいきのモーラ・ティアニーだからということもあるのですが、普通の女性の迷いを健気に見せるあたりは、主演二人よりもこっちの方を応援したくなりました。

ンとサラが段々ひかれあうようになる展開はブロンウェン・ヒューズの演出は荒っぽさと細やかさを交えてうまく笑いにつなげています。特に電報送金のオフィスが火事で金が出せないというご都合展開は画面の内と外で爆笑モノでした。ベンがストリップをするはめになるあたりのお笑いなど、楽しい趣向が盛り込んであります。しかし、ベン、サラ、ブリジットはいわゆる三角関係みたいになってます。一体この映画はどういう結末をつけるつもりなのか、中盤からそこが気になって仕方ありませんでした。

の結末は劇場でご確認いただきたいのですが、「え?」というラストを迎えることになります。結局ベンという子供を、サラとブリジットという大人の女が広い心で許したという結末ではないかと私は見ました。まあ、ベンという主人公の成長の過程を描いた映画だと思えば、それなりに納得できないものではありません。でも、マリッジブルーをリアルに描いた映画とすれば、こんな形でしか決着がつかないとすれば、女性が並の神経の持ち主なら、多分この世の結婚は破局ばかりになってしまうのではないかしら。

あ、善意に解釈すれば、人は出会いの中でよくも悪くも変わって行く、ベンとサラの出会いはそれはそれで運命的なものであったとしても、必ずしも成就する出会いとは限らないですし、ベンとブリジットとの結婚も一生添い遂げるものではありますまい。ですから、サラを知ったベンが、自分のその時の気持ちに忠実に行動しただけの話だと思えば、まあ、二日間の出来事で色々なことがあったベンが、揺れ動く気持ちの中で、各々のタイミングで最善の選択をしていった物語ということもできましょう。結論としましては、この決着の付け方を私は支持します。でも、人によっては納得いかないラストかもしれませんね、ところがこの後、何故か子供の出てくるエピローグでなんとなく話をまとめてしまうあたりはうまいと思ってしまいました。

者陣では、ベンの友人役のスティーブ・ザーンが印象的でした。サンドラ・ブロックはちょっとアブナイ奴みたいに登場して、実はそれなりの過去のある女性を軽やかに演じきりました。主人公の二人がどちらも、悪い奴じゃないけど欠陥のある人間に描かれているところに味があるのですが、ややデフォルメされたキャラクターの分、ブリジット役のモーラ・ティアニーに自然体の説得力の方が印象に残ってしまいました。やたらと既製曲が流れている映画なのですが、ジョン・パウエルのスコアはリズミカルな音楽でドラマをうまく弾ませています。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 この結末は賛否両論かも。ちなみに私は賛。
もっとティアニーをキレイに撮れ!
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