恋はワンダフル

恋はワンダフル

ボ

ストンで上院議員事務所で働くマーシー（ジャニーン・ガラファロ）は、スキャンダル続きの議員のイメージ回復作戦として、彼のルーツを探ることになり、アイルランドへと旅立ちます。行った先の田舎町では、丁度「お見合い祭り」の真っ最中、マーシーもそんな婿取り女と間違われてしまうのですが、ともかく議員のルーツ探しが始まります。一方見合い斡旋業のダーモット（ミーロ・オシーア）は彼女を宿屋のバーテン、ショーン（デビッド・オハラ）と結び付けようと画策します。マーシーとショーンはなんとなくいい雰囲気になるのですが、肝心の議員のルーツ探しは難航し、遂には議員本人がその街にやってきてしまうのですが.......。

ジ

ャニーン・ガラファロがキャリア・ウーマンとして主役を張るようになったというのが、まずうれしい驚きでした。「好きと言えなくて」の小柄な切ないヒロインや、「Dear フレンズ」の怪しい呪い師、「ロミーとミッシェルの場合」のヒロイン達の同級生、でも変人。と、まともな役柄ではまずお目にかかったことがない人です。もとはコメディアンで有名だったそうで、映画に出るようになったのは割と最近のようです。近作「コップ・ランド」では珍しくマトモな婦警さんでしたが、マトモな分ほとんど出番がありませんでした。今回の彼女はラブストーリーのヒロインを軽やかに演じきりました。絵になる美人ではないけれど、愛敬に頼らないで、きちんと生身のヒロインを演じられるのは、やはり演技力なのでしょうか。

そ

んな彼女が訪れた町では、「お見合い祭り」の真っ最中。これって、テレビでやってる島の青年団が女性を招く「お見合い大作戦」みたいなもののようです。ともかく、その街に出会いを求めて老若男女が集まってくるのです。出会いの場がないってのは世界中どこにでもある話なのねえ、と妙に納得してしまったのですが、そんな中でアメリカからやってきた彼女が人気者になってしまうのがおかしかったです。そこで出会ったショーンという中年男とヒロインがなんとなくいい関係になっていくのがアイルランドの美しい景色に映えるっていうとかっこいいけど、これっていわゆる旅先のロマンス（旅先がスキー場ならゲレンデの恋）じゃないの。なんだか、いつもと違う非日常の中で盛り上がる恋なんて、結局旅の終わりに冷める恋、とても一生を決める出会いとは申せますまい。これがハーレクインロマンスなら運命の出会いとでも言えるのかもしれませんが、どっこい見た目ぱっとしない、ヒーローとヒロインの成り行きはなんとなーくホンワカムードの中に軟着陸します。このあたりは、深入りしない、かといって無理に弾ませないマーク・ジョフィの演出がうまくバランスをとっています。

脇

役に、ジェイ・Ｏ・サンダース、ミーロ・オシーア、デニス・リアリーといった渋い面々を置いて、彼らのキャラクターをきちんと描いてドラマに奥行きを出したのは成功していますが、その分、映画の後半で、ヒロインが影が薄くなってしまうのは、ガラファロのファンである私にはちょっと残念でした。確かのこの映画はクセのあるキャラクターばかりで、ヒロインにしても、いかにも等身大で過去に万引きくらいやっていそうな印象ですし、お相手のショーンも押しも引きも中途半端で二枚目というにはドロ臭いキャラクターです。そんな連中の織り成すドラマが軽いタッチにまとまっているのが、ちょっとミスマッチ的な面白さはあります。書き込みの薄いキャラクターで波瀾万丈のドラマを展開していく映画もありますが、ここでは細やかに描かれた人間のささやかなドラマ、サビ（シリアス度）抜き風味という感じです。ラストの処理も、「ま、そんなものかな」という感じのあっさりとしたもので、感動的とは程遠いものなのですが、全体のホンワカ度にはうまく合っていると言えます。

ジ

ョン・アルトマンの音楽がケルト風サウンドや、シンセによる幻想的なサウンドも加えてなかなか魅力的な音に仕上げています。また、シネスコ画面はロケシーンに美しさを発揮しましたが、「メッセージ・イン・ア・ボトル」という絵の美しい映画を見た直後だけに「まあ、そこそこ」くらいの印象にとどまってしまいました。また、折角のガラファロの主演作なので、彼女をもっと丁寧に追って欲しかったようにも思いました。彼女の普段はブスッとしてるけど、何かのきっかけで見せる笑顔がキュートというのは、なかなか魅力的なキャラクターですもの。そんな彼女の揺れ動く心をもっと見たかったのですが。

お薦め度	採点	ワン・ポイント
		江戸川区はこの映画を後援しないのか?「小岩ワンダフル」.... ガラファロがもう少し活躍してくれれば