2時間以上をあっという間に見せるサスペンスものの快作。
Jul.3,1999
シネプレックス8平塚シネマ1
にて |
カゴ警察の人質事件の交渉人として優秀なダニー(サミュエル・L・ジャクソン)はある日友人のネイサンから、障害年金の不正な横領があるという相談を受けますが、その直後、ネイサンは何者かに殺されてしまいます。そして、その容疑がダニーにかかってしまい、またどこからか彼の不正な預金口座が見つかってしまい、ますます容疑が深まってしまいます。窮地に立たされたダニーは、内務調査局に乗り込み、居合わせた連中を人質にとって立てこもってしまいます。そして、彼はこの事件の交渉人として隣の署の人質交渉人であるクリス(ケビン・スペイシー)を使命します。一方周囲を固めたダニーの同僚達は隙あらば彼の命を取ろうとします。果たしてダニーの運命は、そして事件の真相は?
告篇が劇場にかかるようになってかれこれ1年、やっと劇場でお目にかかることができました。スタッフは知らない人が多いですが、役者の顔ぶれとその設定からなかなかに期待させるものがありましたもの。2時間19分という長さにちょっと不安になったのですが、ドラマはテンションを維持して突っ走ります。
てこもったダニー、それをおさえようとする署長を筆頭とする署の仲間たち、そしてそこに割り込む第三者のクリスという設定がスリリングです。特にダニーを罠にかけた人間が誰かわからないので、チャンスがあれば突入しようとする連中がみんな怪しく見えてくるあたりの展開がサスペンスを生みます。また、クリスは犯人人質共に犠牲者を出さないというのがポリシーなので、おりあらば突入しようとする署の連中と衝突し、段々クリスが孤立していくあたりが面白いです。
にかくダニーにとっては最悪の状況です。その中で自分の無実を証明しなければならないのですが、このあたりは若干のご都合主義で事件の全貌が見えてきてしまうのは、今イチという印象でした。むしろ見所はダニーがいかに自分を生き延びさせるかと知恵を絞る部分にあります。ダニーがそれまで自分の使ってきた人質交渉術を逆手にとって警察側を翻弄するあたりは、なかなか見応えがありました。特に、それが危機一髪の彼の命を救うところまできちんと見せるあたりが見物です。一方のクリスも自分のノウハウをフルに使って事態を収拾させようとするのですが、こっちはあまり思うようにいかないあたりがちょっと気の毒でした。交渉人としてのクリスにもう少し華を持たせてもいいように思ってしまいました。
てくる連中がいかにも悪役な顔ぶれを揃えて、ダニーとクリス以外はみんな悪者みたいに見せるあたりがうまいです。署長のジョン・スペンサー、同僚のロン・リフキンとかはいかにも悪党風ですし、この人の出る映画にハズレなしのJ・T・ウォルシュは、やっぱりこの人という役を手堅く演じてます。また、「コンタクト」「ロングキス・グッドナイト」と善悪両方こなすデビッド・モースは、うまい配役だと感心してしまいました。
ネスコの画面ながら、どうも上下が狭苦しい印象を持ってしまったのは、「タイタニック」のラッセル・カーペンターの撮影のせいでしょうか。F・ゲイリー・グレイの演出はストーリーの運びは快調なのですが、ディティールまで手が回りかねたのか、要所要所に突っ込みところができてしまいました。(書くとネタバレになるので具体的に突っ込めないのですが)とはいえ、全体としては、役者のうまさもあって、意外なラストまでドキドキハラハラさせて見せてくれます。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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ゲーム感覚になりすぎないセンスが好き。
役者で楽しむのが正解かもしれません。
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