夢inシアター
みてある記/No. 161

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メッセージ・イン・ア・ボトル
メッセージ・イン・ア・ボトル

- Message In A Bottle -

これってメチャメチャロマンチックじゃんと思ってたら不覚にも泣かされました。

Jul.3,1999 神奈川 シネプレックス8平塚シネマ8 にて


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聞社に勤める、子持ちバツイチのテリーサ(ロビン・ライト・ペン)は休暇中に海岸で手紙の入った瓶を拾います。そこにつづられていたのは、亡き妻キャサリンへの熱い想いでした。それをボスに報告すると、「瓶の中の手紙」は新聞のコラム記事となり一躍評判を呼びます。そして、同じ差出人らしい手紙が他にも2通見つかります。そこでテリーサはその手紙の主に会って追加取材をしようと便箋やタイプライターまで調べて現地に赴きます。そこにいたのは、2年前に妻を失ったギャレット(ケビン・コスナー)という中年男、テリーサは彼と接していくうちに心をひかれていきます。でも拾った手紙のことを切り出すことができません。いいのか。テリーサ、いずればれる時がくるぞ......。

告篇で観た限りは、いわゆる絵に描いたようなラブロマンス、こてこて大甘ドラマのような気がしたのですが、映画としては意外とまっとうなドラマ作りをしています。物語としては出来すぎの展開なのですが、「男が女を愛する時」でいいところを見せたルイス・マンドーキ監督が個々シーンじっくり見せる丁寧な演出でドラマとしての厚みを出しました。

ロインを演じるロビン・ライト・ペンがシングルマザーでキャリアウーマンというキャラクターを好演しました。前半でオフィスでの彼女の仕事ぶりをきちんと見せることで、後半の恋に落ちたヒロインの揺れ動く心に説得力が出ました。単にハーレクインロマンスのヒロインになりたがってるわけじゃないってところが、好感のもてる地に足がついたヒロインになっています。一方のケビン・コスナーは何だか今一つかっこよくない主人公を、あまりキャラクターを明快にしないまま演じています。まあ、ドラマの展開上、煮え切らない男を演じているわけですが、その分、ヒロインのきりっとしたカッコ良さが際立ってしまいました。亡き妻に心を奪われたままのギャレットに対するテレーサの想いと行動は応援したくなるところ多かったです。

ラマチックな見せ場も見応えがありました。後半、瓶に入った手紙のある秘密が明かされ、それに伴う亡き妻の家族との和解のシーンには、かなり泣かされてしまいました。ここも、マンドーキ監督のじっくりとタメの演出が効いています。そのおかげで出番が少ない脇の面々もなかなかに印象に残るところ多くて、ビリング3枚目のジョン・サベージはちょっとの出番で画面をさらいますし、イリアーナ・ダグラスやロビー・コルトレーン(ギャレットの事をエイハブ船長と呼ぶあたりがおかしい)はいかにもオフィスにいそうなキャラクターで、テリーサの同僚を好感の持てる形で演じきりました。また、もうけ役とはいえ、ギャレットの父親を演じたポール・ニューマンがいいところを見せています。下手をすると、コスナーが霞んでしまう危険のあるキャスティングだと思ったのですが、なるほど、ラストで彼がどうしても必要だったのかと感心してしまいました。

愛ドラマから言うと、ヒロインの方がどう見てもオトナで、ヒーローは少年みたいな関係です。この映画は女性向けを意識したそうなんですが、女性からみたときの理想の恋愛って、少年のような心を持った男を包み込むような女性の愛っていうのなのかしら。こんな関係では、女性の方が気苦労が絶えないようにも見えるのですが、これがロマンスの一つの理想形なのでしょうか。確かにギャレットよりも、テリーサの方が積極的なのですが、こういう展開が今風なのかなっていうところも興味深い一篇でありました。また、ヒロインに生活感があるのに対して、ヒーローはあくまで愛の記憶に生きてるっていう図式なんですが、こういうのが、女性にとって受け入れやすいものなのかなって気もしてしまいました。「マディソン群の橋」でも同様な設定だったと記憶しています。

ープニングとエンディグは海の絵なのですが、これが大変美しかったです。シネスコの大画面に展開する風景の美しさは、スクリーンで、それもできるだけ大きな劇場で御覧になることをオススメします。この映画、どのカットも絵が大変美しいです。室内シーンの光の使い方から、ロケシーンの落ち着いた色使いまで、ケイレブ・デシャネルの撮影は、隅々までロマンチックにまとめ上げました。クライマックスの嵐のシーンだけは、セット撮影のためか全体のトーンから少し外れていたように感じてしまいましたが、この映画、ホント、オフィスやヒロインの家のシーンまで、見事な絵作りをしています。

た、「シティ・オブ・エンジェル」で透明感のある音を聞かせてくれた、ガブリエル・ヤレド(昔はフランス風にヤーレと書いてあったのが、アメリカ映画に進出し始めたら、ヤレドとか、ヤーレドと書かれるようになってきました。)が、ギターにオーケストラを絡ませて大変美しい音を作り上げました。劇場ではオーケストラ音楽の音質が今イチよくなかったのが残念です。サントラCDも歌がほとんどで、彼のスコアは3曲のみでした(でも、これがまた絶品)。完全なスコア盤は出ないのかなあ。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点2点0点 カップル向けというより、女性同士で御覧になるのがいいかも。
コスナー抜いたら☆もう一つつけます。
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