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Never Been Kissed
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ドリュー・バリモア嬢、そこまでやるかの大奮闘、その頑張りにちょっとホロリ。
Jun.18,1999
神奈川 川崎チネBe
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聞社につとめるジョージー(ドリュー・バリモア)は一度は記事を書いてみたいと思っていたのですが、社長の気まぐれからそのチャンスがやってきます。それは、高校へ潜入して記事を見つけるという企画。ジョージーはちょっと無理して、高校生になりすまして潜入には成功。でも彼女の高校時代って「ブスのジョージー」とみんなにバカにされてばかりいた悲惨な日々だったのです。今回こそうまくやりたいジョージーですが、やっぱり変な奴としてバカにされちゃいます。それでも、小娘にはない知性とやさしさが、男性教員を振り向かせ、そして、要領良しの弟(デビッド・アークエッド)のバックアップで彼女は段々周囲の人気者になっていくのですが、肝心の記事が書けないのだな、これが。どうする、ジョージー、そしてプロムの夜がやってくるのですが.......。
入取材ったって高校に25の女性を紛れこませるなんて、かなりムチャな企画ではあります。それに選ばれたのが、コピー・エディターのジョージーこと、ドリュー・バリモアちゃんだからOK、ということになってしまう、いわゆるまず彼女ありきの映画でした。彼女が製作総指揮も兼ねているとのことで、一体どういう映画になってしまうのかしらという不安と期待があったのですが、見終わった感想は、「うーむ、自分の仕切った映画でそこまでやるか」という感じでした。何しろ、彼女はヤクにアル中という悲惨な10代を過ごして、最近カムバックみたいな形でスポットライトが当たってきたところです。「スクリーム」の一番コワいシーンの被害者、「ウェディング・シンガー」のひた向きでいい娘さん、「エバーアフター」の知的ですごみのあるシンデレラとメジャーな映画での活躍ぶりは、まるで別人のごとしとの評判です。ともかくも、あの笑顔がメチャかわいくて、ちょっとタプタプの体型すらチャームポイントになっている、今が旬の女優さんです。
んなバリモア嬢が、自分が製作総指揮&主演の映画で演じたヒロインというのが、なかなかすごいのですよ。冒頭の冴えないヒロイン部分は徹底してさえないです。キャリアウーマンというには、今一つピリっとしたところがなくって、今だにロマンチックなキスを夢見る少女の心を持ちあわせたジョージー、でも、高校時代は「ブスのジョージー」と呼ばれてバカにされ放題、実際に回想シーンで登場するときはホントに不細工だもの。また、潜入取材で、ヤク入りケーキを食べてラリってしまい、下品に踊り狂うあたりは観ていてハラハラしましたもの。アビー・コーンとマーク・シルバーステインによる脚本がいいのかって言うとそうでもないようですし、ラジャ・ゴズネルの演出も折角の個性的な脇役陣を使い切れていないようです。それでも、彼女のクルクルと変わる表情を観ているだけで、何となくモトが取れてしまうという不思議な映画でした。それくらいヒロインの魅力で持たせる映画なのに、そのヒロインが結構トロくてブサイクなのです。ファッションセンスにしたって、見た目の若さにしたって、ホントの十代にはかなわないのに、でも要所要所で彼女がすごくチャーミングに見える瞬間があるのです。これが演出力の賜物だとしたら、ゴズネルは只者ではないことになるのですが、やはりバリモア嬢のオーラのせいかなと私は思っています。
して、クライマックスで、プロムのクイーンに選ばれてしまうあたりはご都合が良すぎるのですが、その後に切るタンカがかっこいいんですよね、「こんなプロムクイーンなんてくだらない。みんな、人をバカにしたり貶めることばかり、ここでかっこよくきめたって、実社会にでればそんなの何の意味もない!」うーむ、悲惨な10代を送ったドリュー・バリモアのセリフだからこそビシっと決まったという感じでした。私には、これって、今、頑張りながらも落ち込み気味の20代の女性たちへのエールのようにも思えました。また、彼女の幸せそうな笑顔は、ダイエットヒロインへのアンチテーゼのようであります。普通なら、TBCのスペシャルコースに送り込まれそうな女の子(25だけど)がプロムクイーンになっちゃうのですから。ただ、ラストの恋愛ドラマの趣向は、ちょっと蛇足のような気もしました。とはいえ、ここまでヒロインをムチャクチャさせただけに、甘くまとめる必然性はあったかなという気はします。
役陣では、ジョン・C・ライリーがいい味を出し、「ディープ・インパクト」の若いヒロイン、リーリー・ソビエスキが美しいオタクヒロインを演じました。それでも、ドリュー・バリモア嬢に霞んでしまうという、彼女ならではの映画となりました。困った顔、怒った顔、微笑む顔、彼女が見せる表情の豊かさが、ストーリーの隙間をきっちりと埋めてくれたという印象でした。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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映画の内外両方にヒロインの頑張りが感じられてマル。
映画としてはそこそこのレベルなのかな。
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