プラクティカル・マジック
プラクティカル・マジック
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Practical Magic
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美人姉妹は実は魔女、そして後半はエクソシストになっちゃいます。
1999.5.22
神奈川 藤沢オデオン2番館
にて |
ーウェンス家は代々女系家族、魔女の家系なんですって。愛した男は長生きできず娘に魔術が受け継がれていきます。サリー(サンドラ・ブロック)とジリアン(ニコール・キッドマン)の美人姉妹の母親は、その家系の呪いで父親を失った時に自分の命を絶ってしまい、以降叔母二人に育てられ、魔術も使えるようです。奔放な妹ジリアンは家を出て男をとっかえひっかえして暮らし、一方の姉サリーは恋はあきらめているのですが、叔母二人のおせっかいな魔法で、結婚し娘二人をもうけたのですが、血は争えずダンナは急死。そんなある日、ジリアンは変な男に引っかかって、姉のサリー助けを求めてきます。その凶暴な彼氏から、ジリアンを救おうとサリーは妹のもとに駆けつけるのですが......。
ンドラ・ブロックとニコール・キッドマンの美人姉妹が実は魔女、愛した男は長生きできないというハンディキャップに、姉はもう恋なんかしないと決意し、妹は奔放に生きようとします。ところが、妹の恋人が狂暴なアブナい奴だったばっかりに、姉も事の収拾に巻き込まれてしまいます。設定の面白さはありますし、ブロック、キッドマンという華のある二人が主演ですから、まず娯楽映画としての面白さはクリアしてます。さらに叔母二人がダイアン・ウィーストとストッカード・チャニングという芸達者が演じて、「恋におぼれて」のグリフィン・ダン監督は設定と役者で逃げ切ったというところでしょうか。展開の面白さと言った部分が今一つでも、尋常でないハンディを持ってしまった美人姉妹のシリアス3分コミカル7分のドタバタで、モトのとれる映画に仕上がっています。
わゆる魔女ってのが、悪魔崇拝と一線を画す、魔術を使う民間治療師という設定なのが面白いと思いました。例えば、ネットワーカーもその能力を使えば情報収集ということでお他人様の役に立てる一方、その知識を悪用することで、犯罪に手を貸すこともできるわけですから、そういう意味ではネットワーク知識も魔術もそれほど大きな違いはありません。でも、世間の目は、彼女たちを魔女だと言って白眼視してますので、社会的には孤立しています。叔母二人はそういう境遇に慣れっこになっているのですが、娘二人はまだまだ世間に未練たっぷり、普通の生活にあこがれがあります。そんな二人の取る選択の結末は劇場でご確認いただきたいのですが、成り行き以上のものになっていないのが、ちょっと残念でした。これでは、宣伝文句にあるような「女性の共感を呼び、元気になる映画」というには少々苦しいかもしれません。魔女のパワーを持ってしても太刀打ちできない恋の魔法を期待したのですが、そのあたりはうまくはぐらかされてしまいました。それとも、女はみんな魔女なのよという映画なのかなあ、うーむ、あんな美人姉妹なら、恋の魔法にひっかかってみたい気もしますが、そんじょそこらのネエちゃんの危なげな呪文に右往左往させられたらかなわないという気がします。
ういえば、一時期、女子中高生の間にはやった「おまじない」の類はもうすたれてしまったのでしょうか。某女の子向け雑誌で通販の「呪いの藁人形」の公告を見て仰天した事がありますが、ああいうのは、女性から見た時、それなりに前向きな意志の表現の一つとみなされているのかどうか、興味があります。魔術を使えるというのは、考えようによっては、他人との差別化、特別な自分の発見ということになるわけですから、自分捜しの結末の一つとして、魔女というのもありなのかなと思ってしまうわけです。魔女の血筋である自分に何か引け目のようなものを感じていたこの映画のヒロインも、最後には自分が魔女であることと折り合いをつけます。それでも恋に生きることをあきらめないというところが、女性に対する励ましになるのかもしれません。
半に登場するのが、ちょっといい男の刑事さん、これを演じるのがアイダン・クインという、いつも貧乏クジを引くいい人を演じている役者さんです。「妹の恋人」「レジェンド・オブ・フォール」では困った兄弟の尻拭いばかりやらされ、「アサインメント」でもテロを罠にはめるために家庭を失いかけるという、お気の毒パターンの多い人でして、今回もどうなるかと思っていたのですが、今回は珍しくひどい目に遭わずにエンディングを迎えますので、彼のファンの方(いるのかな?)、安心してくださいね。また、彼が登場するあたりから物語がオカルト風になってきまして、クライマックスはエクソシストみたいになるあたりは、意表を突いた展開と申せましょう。とはいえ、そんな展開の中でも、ブロックとキッドマンは奇麗に撮られていますから、あまり陰惨な印象にならないのがいいところです。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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女性が虐げられてる社会なら魔女の存在もありですが、今は....
モトのとれる映画としては及第点の出来栄え。
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