夢inシアター
みてある記/No. 150

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スタートレック・叛乱
スタートレック・叛乱

- STAR TREK:INSURRECTION -

お約束の展開、シリーズ中の1エピソードの趣。

1999.5.22 東京 銀座東劇 にて


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る惑星のバクー族の文化調査団に参加した、アンドロイドのデータ(ブレント・スパイナー)が突然、調査団に攻撃をかけはじめ、ピカード(パトリック・スチュワート)はその事態収拾に乗り出します。現地調査団の宇宙連邦ドハティ提督(アンソニー・ザーブ)とソーナ人司令官ルアフォ(F・マーレー・エイブラハム)は何かを隠しているようです。一方、バクー族と接触を持ったは彼らが大変な技術を持ちながら、それを拒否し、あえて古風な生活をしていることを知ります。また彼らのいる惑星には、もっと大きな秘密があったのです。そのために連邦の後ろ盾をもって、ルアフォ達はバクー族を排除しようと企んでいたのです。この陰謀を知ったピカードは、ある決断をします.....ああ、それがタイトルだったとは。

「劇
場版・スタートレック」もかれこれ何本めになるのでしょうか。ニュー・ジュネレーションになってからもコンスタントに製作されているところから見ても、それなりの人気を維持しているシリーズのようです。私はテレビシリーズの方は全然観ていないので、「宇宙連邦があって、エンタープライズ号があって、ハゲのピカードが艦長で、ワープして、転送する」くらいの予備知識しかないのですが、それだけで、結構楽しめてしまいましたから、SF映画としては、それなりにまとまった作品になっています。この劇場版シリーズは作品毎にムラがあって、テーマとスケールをでかくしてテレビ版と一線を画そうというものと、テレビシリーズに延長上の1エピソードとしようとするものです。今回は後者と呼べるものでしょう。一見「不老不死」というテーマが出てくるので、「ジェネレーションズ」に登場した楽園に別の回答を見せてくれるのかなという期待もあったのですが、それは話の枕であって、後半は一種のお家騒動がメインになってしまっています。

場人物の細かいエピソードも散りばめられているのですが、私レベルの一見さんでも気にならないくらいに押さえてありまして、ひょっとしてディープなファンには物足りないのかもしれませんが、この位のバランス感覚が丁度いいのかなと思ってしまいました。今回ピカード艦長、バグー族の女性と恋に落ちるという設定なのですが、こういうオヤジの色恋沙汰を臆面もなくやるあたりがなかなか好きなんですよ。見た目は若いけど、実は年上の女性との恋に、オヤジのピカードがマジになるという手の込んだ設定が楽しい趣向でした。

た、今回の設定で重要なのは、他の部族への内政不干渉ということです。つまり、大多数の利益のために少数を犠牲にすることをやめようというもの。今回はいわゆる強制立ち退き問題ですので、成田闘争に通じるものがあります。とはいえ、このバクー族が平和志向の民族であるから、ピカードも介入する気になったのですが、これが人食い人種だったらどうなったのかしら。何しろ、個人の社会責任と社会正義を大事にするアメリカ人ですが、自分たちの社会正義と合わないものには、かなり排他的になる皆さんです。バクー族の皆さんが友好的なお人柄で、かつ好戦的でないのがラッキーだったというお話でもありました。

劇の部分は、今回はどちらかというと地味目です。それでも、エンタープライズ号とソーナ艦隊が一戦交えるというくだりはあるのですが、そこがドラマの山場にはなっていません。クライマックスはお約束の大爆発はあることはあるのですが、SFスペクタクルというのとは一線を画しています。ラストの処理にしても、「水戸黄門」と同様、道中ものの番外スペシャル編という感じで、テレビシリーズにつなげても問題ないような作りになっています。

者の中では、きついメイクで頑張った、F・マーレー・エイブラハムとグレッグ・ヘンリーが印象的でした。ただ、キャラクター的に奥行きが今一つでなかったのは、ジョナサン・フレイクス監督の責任でしょう。単なる悪役のくせにめちゃめちゃ存在感があった「スタートレック2」のカーンなんてのがいた実績のあるシリーズですから、この扱いは今一つでした。フレイクスの演出はオープニングとラストを同じレベルにまとめて、次回につなぐという、テレビシリーズの1エピソードという作りを踏襲していて、その点では成功しています。いわゆるお約束に縛られている部分があるのですが、そのお約束に対してなかなか健闘しているようです。ジェリー・ゴールドスミスの音楽もこじんまりとまとまった感があり、それはそれで映画とうまくフィットしたと言えると思います。バグー一族を描写する静かなテーマ音楽なんてなかなかいいのですが、活劇部分のメリハリが今一つで、音楽が映像を奮い立たせるシーンがなかったのが、ファンとしてはちょっと物足りなく感じました。

覚効果は今回はILMが参加しておらず、ブルースカイVIFXとサンタバーバラ・スタジオが担当しています。CGも多数使われているようで、エンタープライズ号もCGだそうです。今回のエンタープライズ号は全体に丸みがなくなって、直線的な印象となり、かつゴテゴテしたものが周囲についた分、かえって巨大感がなくなって、いかにもフィギュアが飛んでるという見た目になっていたのが残念でした。ミニチュアとわかっていながら感じる重量感といったものが、昔の映画にはあったように思います。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点0点0点 固定ファン以外の方は多大な期待をしなければ結構楽しめます。
アンソニー・ザーブが渋い脇役として好演。
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