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A Bug's Life
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思わず顔がほころぶチャーミングな面々によるムシムシCG大行進。
1999.3.22
神奈川 ワーナーマイカル茅ヶ崎シネマ1
にて |
るところにアリの王国がありました。ここでは、バッタたちに貢ぎ物をしなければいけなくて、それが滞ると連中に何されるかわからないもので、アリ達はいつもビクビクものでした。ある貢ぎ物の季節、働きアリのフリックがせっかく集めた貢ぎ物を全部ダメにしてしまい、バッタ達からは目一杯脅された挙げ句、2倍のノルマを課せられてしまいます。フリックは街に助っ人を求めようと提案し、アッタ姫以下のアリ達もこの疫病神を追っ払おうということで、フリックに助っ人捜しを命令します。街に出かけたフリックは、何やら、戦士だと名乗ってケンカしてる連中を見つけ助っ人を頼むのですが、彼らはサーカス団の芸人たちだったのです.......。
イズ・ストーリー」に続く、ディズニーとピクサー社によるオールCGによるアニメーションで、今回の舞台は虫の世界です。アリたちがせっせと働いて蓄えた食料を横からかっさらうバッタ達に業を煮やして、街に助っ人を頼んだのはいいのだけれます。サーカス団も余興か何かの仕事かと思ってのこのこと付いてきてしまい、いざ仕事となったら、ちょっと待て、話しが違うということになってきます。でも、そこで小鳥に追われたドット姫をサーカス団の連中が体を張って助けたものですから、段々と連中もアリ達に協力するようになります。そして、クライマックスはアリとサーカス団の連中がバッタ達と一戦交えることになるわけですが、その辺は劇場でご確認ください。アリとの関わりで段々と自信を取り戻していくサーカス団の連中や、彼らを慕うアリの子供たちなど、細やかな演出のうまさが光ります。
して、サーカス団の面々がみんな何だか心和むような連中ばかりなのがいいんですよ。てんとう虫、いも虫、くも、ダンゴ虫といった面々が大変チャーミングに描かれています。おじさんがピカチューを見て思わず「かわいい」と言ってしまうあれを同じような感覚です。一方、闘う当事者のアリは一見没個性に描かれているのですが、よく見るとキャラクターの区別がつくようになっているというのがお見事でした。敵役のバッタは徹底的に悪役ヅラになっているのは、まあ仕方ないのでしょうね。
人公のフリックが、ラスト近くまでいいとこなしというのも面白いと思いました。お調子者で、かなりいいかげんなキャラクターでして、こいつが成り行きでヒーローになっちゃうのかと思いきや、クライマックスできちんと自力で頑張りを見せるあたりが見物です。とはいえ、この映画に大きなテーマとか言ったものは感じません。むしろ、徹底してお客さんに楽しんでもらおうというのがメインで、ディティールのおかしさを積み上げ、「お話」として成立させたという印象です。「美女と野獣」以降のディズニーアニメは「トイズ・ストーリー」も含めて、愛や友情といったものをドラマの柱に据えていたのですが、今回はそういうものがありません、確かに弱者と強者の関係といった面白い視点もあるのですが、それは物語の核を成すものではなく、あくまでサブプロットとしての位置づけです。じゃあ、物語の核は何かと言うと、まあ強いて言えば「ダメな奴の存在価値」ということになるのかもしれませんが、そんなことより、「笑いと冒険のおとぎばなし」こそがこの映画の中心なのだと思います。むずかしい理屈を抜きにして、笑える、かわいい、ハラハラする映画になってるのです。
の連中のおかしさは格別で、ダンゴ虫コンビの人を食ったような顔、照明係のホタルとか、キャラクター作りに抜かりはありません。ワンカットのみ出演でも、サーカスの客のシラミの親子とか、都会の街のパントマイマーとか、おかしな連中が笑いをとります。ランディ・ニューマンの音楽は画面の動きに合わせてカートゥーンらしい音をつける一方、盛り上げどころはドラマチックに謳いあげています。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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ラストのNG集まで、とにかくエンターテイメント。
アリの群衆シーンはすごいぞ。
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