夢inシアター
みてある記/No. 130

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ウェディング・シンガー
ウェディング・シンガー

- Wedding Singer -

ここ2,3年のベスト・ハートウォーミング・ラブコメディだ!

1999.3.13 日比谷みゆき座 にて


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婚式の場を盛り上げるウェディング・シンガーなる職業があちらにはあるようです。そんな中の優秀なシンガー、ロビー(アダム・サンドラー)は自分の結婚式の当日、フィアンセにドタキャンを食らってヨレヨレ状態です。そんな彼に新人の同僚ジュリア(ドリュー・バリモア)もなぐさめの言葉をかけようがありません。ジュリアにも長年婚約状態のフィアンセがいるのですが、こちらはようやく結婚が本決まりになってきました。でも、相手の男は彼女を放っていて、結婚式の諸々の準備は彼女に任せっきり。ロビーに協力してくれと頼むジュリアに、彼女を嫌いではないロビーも付き合ってあげるようになります。でもって、その先は、え、そう? あ、やっぱりという展開が待っているのです。

ープニングは結婚式を盛り上げるバンドのシーンから始まるのですが、これがすごくノリがよくってテンポが弾んで、結婚式のハッピーな雰囲気が観客にまで即伝わってきます。そして、スティーブン・ブシェーミが笑いをとって、どうやら、ハッピー気分で笑える映画らしいということになってきます。そして、オープニングの気分を裏切らない、幸せ気分の笑えるラブコメディが展開していきます。主人公のロビーは、いわゆるいい奴で、ヒロインのジュリアはいかにも普通な女の子、そんな二人が職場で出会い、なんとなく引かれ合う様子が丁寧に描かれていきます。ティム・ハーリヒの脚本とフランク・コラチの演出は、主人公二人を細やかに描いて、非常に好感の持てる感情移入しやすいキャラクターにしています。ですから、二人の恋に障害が発生すると、「あー、何とか応援してあげたい」と思わせて、画面の中でも、周囲の人々が二人の恋の成就を応援するという構成には、うれしくも感心してしまいました。

話としてはすごくシンプルなんですけど、主人公二人のよさが映画全体を暖かなトーンにしています。ロビーがドタキャンされて、友人から「彼女に言いたいことを全部言っちまえよ。」と言われて、「いや、もし彼女とよりが戻った時、気まずくなるからやめとく。」というあたりの節度。結婚に不安を抱いたジュリアが鏡の前で、自分を新しい姓で自己紹介する練習していて、感極まって泣き崩れてしまうあたりの切なさ。結婚式の写真の相談に出かけて兄妹と自己紹介してじゃれあうあたりの微笑ましさ。そんな二人を表立ってではないけど、サポートする友人たちの善意。こういった要素が、単なるラブコメディ以上にハートウォーミング(気障ったらしかったら、心暖まると言い直します)な味わいを持った映画にこの映画の格を上げています。映画中盤の子供たちのパーティで、ロビーとジュリアが見せるささやかな演出なんかホロリとさせるものがありましたもの。

た、コメディの方も手抜きなく笑わせてくれまして、特に一番のクライマックス部分に笑いをぶち込んだセンスは、なかなかにあなどれません。また、80年代という設定で、スパンダー・バレエ、カジャグーグー、カルチャー・クラブなどの懐かしいナンバーが並ぶあたりも楽しい聞き物ではありますが、それだけが先行している映画ではありません。ラブストーリーとして、コメディとして、娯楽映画として、よくできた作品です。ただし、「大好きな人と観ると幸せになれる映画」という宣伝文句は、ちょっと首をひねりました。うかつにカップルで観ると「この人、本当に私の運命の人なのかしら」と思ってしまう恐れもあるような、ないような。ちなみに私の場合は、独身オヤジが一人で観て、観終わって結構幸せ気分になれました。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点1点0点 とにかく笑えて楽しく後味ハッピーな映画。
ドリュー・バリモアがかわいい! 好き。
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