夢inシアター
みてある記/No. 124

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地球は女で回っている
地球は女で回っている

- Deconstructing Harry -

何だか情けない主人公のグチと言い訳と、後、うーん何だろな。

1999.2.20 静岡東映パラス にて


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リー(ウッディ・アレン)は売れっ子小説家ですが、私生活は何だかだらしないようです。要は抜き差しならぬ色の道、何度も結婚しては、浮気もするし、娼婦も買いまくり、酒、クスリ、精神科医から抜けられません。果ては自分の情事やら私生活のゴタゴタを小説にしては、昔の恋人や妻から、あきれられたり、殺されかかったり。そんな彼がかつて講師をしていた大学から表彰されることになりましたが、連れがいなくてどうしようか困ってます。一方、自分の現時点での恋人が自分の友人と結婚することになったら、今度は未練タラタラで結婚中止しろとか無理言い出すし、どうにも困った奴なんだよなー、このハリーってオヤジは。

本、監督をウッディ・アレンが手がけたちょっと変わった味わいのコメディです。ウッディ・アレンの映画って、一口にどういう映画かって説明しようとすると、結局「ウッディ・アレンの映画」に落ち着いてしまいます。この映画もコメディの体裁はとっていますが、現実とハリーの創作の世界が混同されていくという構成をとっていまして、そして、「自分の女性遍歴を小説にするハリーの物語」をウッディ・アレンの私映画のような形にしてしまったという感じなのです。まあ、そんな現実のウッディ・アレンの事を知らなくても楽しめる映画にはなっていますし、不自然なくらい豪華なキャスティングを楽しむ映画でもあります。

レンを中心に脇を固めるのが、ロビン・ウィリアムス、デミ・ムーア、ジュディ・デイビス、ビリー・クリスタル、エイミー・アービングなどなど、チョイ役もありますが、ゲスト格の役者の顔ぶれを見ているだけでも壮観です。また、劇中劇のように挿入される、ハリーの小説の世界ってのが、何だかバカバカしくて笑えてしまいます。それがみな、ハリーの体験に基づいているというあたりが、おかしくも、「このハリーってホントに最低じゃん」と思わせるあたりが、この映画の見所です。また、その最低なハリーがクドクトと言い訳するのをエンエンと見せるあたりは、まるで映画の作者であるアレンのグチを聞かされているような気分になってきます。そして、「ああ見苦しい奴だ、このハリーって野郎は」って思ったら、アレンの術中にはまったのかなって気がしてくる映画です。

にかく、ハリーはオンナ好き、セックス好き、それなくては人生なし、衝動に勝る行動の動機なしというようなキャラクターです。一方、それを客観的に小説に書いてしまうあたりに、なんとなく彼の言い訳のよりどころがあるようです。小説書くしか能がなくて、他はまるでダメの男が、そんな自分のダメさ加減とどこで折り合いをつけるのか、というところがこの映画の見所です。ハリーがどこで折り合いをつけるか、それは実際に御覧になってご確認下さい。

のキャラクターでは、主人公と関係を持つ女性陣で、ジュディ・デービスがヒステリックで切れまくるキャラクター印象的です。また、エリザベス・シューが華麗なヒロインを魅力的に演じています。後、ほんのちょっとだけ登場するマリエル・ヘミングウェイが懐かしかったです。

ラマの途中で、彼の小説のエピソードが色々と挿入されるのですが、その中で特におかしかったのが、姿がピンボケになってしまった俳優の話です。ストレスのせいか姿がピンボケになってしまった主人公(これがロビン・ウィリアムス)が家族と一緒に病院に行ったら、「大丈夫ですよ、ただのピンボケですから」って医者に言われて、家族みんながメガネをかけて一件落着してしまうというもの。ちょっと、水木しげるの短編漫画を読んでいるような味わいが捨て難いものがありました。ずっと、顔がボケたままのロビン・ウィリアムスが何だかおかしくて、笑えてしまいます。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 まったく持って情けない主人公の言い訳をどう受け取るか?
どうして、こんなのがオンナにもてるの?
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