夢inシアター
みてある記/No. 120

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ワイルド・シングス
ワイルド・シングス

- Wild Things -

学園ドラマ風な展開がだんだん血生臭い雰囲気に。

1999.2.11 東京 丸の内ピカデリー2 にて


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ルーベイ高校の人気教師サム(マット・ディロン)は、金持ちの娘ケリー(デニス・リチャーズ)からマークされててちょっとお困り状態。そんなある日、ケリーが彼の家を訪ねて素敵な先生に色仕掛で迫ります。ところがここで何がどうなったのか、サムがケリーをレイプしたという話になり、ついには裁判沙汰にまでなってしまいます。ケリーの同級生スージー(ネーブ・キャンベル)までがとんでもない証言をしたことから、サムはますます不利な立場に追い込まれてしまいます。一方警察のレイ(ケビン・ベーコン)はこの事件には何やら裏があるらしいことに気付くのですが、はてさてこのレイプ事件の顛末はいかに?

「恋
に落ちたら」「ヘンリー」などで知られるジョン・マクノートン監督のサスペンスものです。まず、オープニングのフロリダの沼沢地帯の描写が印象的で、ワニのショットが何度も登場します。このあたりの雰囲気作りで、まず独特の非日常的な空気を印象づけます。そして、高校教師と女生徒のアブナイ成り行きドラマが展開していきます。やたら、色目を使うケリーをつれない素振りであしらう二枚目サム。マット・ディロンという役者さんは、こういうマジメそうだけど、色仕掛けには弱そうというキャラクターをやるとピタリとはまります。その後レイプ事件が持ち上がるのですが、映画では肝心のところを見せてくれませんので、果たして本当にレイプがあったのか、それとも教師が小娘にハメられたのかが謎のままで物語は進みます。「スターシップ・トゥルーパーズ」のデニス・リチャーズが、頭空っぽそうなキャピキャピ娘、でもボディはすごいでしょうというケリー役にうまくはまりました。

して、さらにこの二人に絡んでくるのが、刑事のレイと同じ学校の女生徒スージーなのですが、この二人がレイプ事件の当事者の二人以上に胡散臭いので、お話が込み入ってきます。レイは何だか登場の仕方からして、腹に一物ありそうですし、スージーは厚化粧の不良娘、麻薬の前科ありという、これも一筋縄ではいかないキャラクターです。ケビン・ベーコンは善悪どちらもこなせる曲者だけに、このレイの本性が読み切れません。一方のネーブ・キャンベルは「スクリーム」の真っ当なヒロインとはちょっと違う、アヤシゲだけど一番マトモそうなキャラクターを楽しそうに演じています。

の他にも、年を取ったけどなかなか色っぽいテレサ・ラッセルとか、コメディ・リリーフとしてのビル・マーレーなどが脇を固めていまして、役者の適材適所のうまさがこの映画の面白さのカギになっています。お話が進むにつれて、何だか、みんなが怪しいという気分になってくるのですが、その時に役者のメンツがものを言いました。その上、観客の立場と同じ登場人物がいない、言いかえると感情移入できる人間が誰なのかわからないという、観客を突き放したような設定が面白い構成です。この映画でウソをついていないのは、沼のワニだけじゃないかって思えてきますもの。

て、この先の展開は是非劇場でご確認ください。二転三転するお話の面白さで見せる映画でもあります。ありがちな話を結構ドキドキハラハラさせてくれたのは、マクノートンの演出の力だと思いました。ストーリーだけなら、テレビの2時間ドラマでおさまってしまうような内容を、きちんとシネスコの大画面に展開するドラマに仕上げています。沼沢地帯を何度も見せることでの独特の雰囲気作り、教師と生徒のエロチックな関係、偶然を排した展開など、ゲームのような展開でありながら、きちんとドラマとしての見応えがあります。こういう映画をコンスタントに見せてくれるのなら、もっと劇場に足を運んでもいいのにと思える映画です。「The End」が出た後にタネあかしがあるという趣向も楽しい、娯楽映画の佳作と申せましょう。

談ですが、この映画で高校生という設定のネーブ・キャンベルとデニス・リチャーズは各々25歳、26歳、その上キャンベルはママさん女優だそうです。こっちの方がよっぽどビックリな映画でもあります。(でも、ネーブ・キャンベルはいいなあ。)

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 このメンツで一番賢そうなのは誰だ?!
何書いてもネタばれになりそうで。
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