夢inシアター
みてある記/No. 111

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6デイズ・7ナイツ
6デイズ・7ナイツ

- Six Days, Seven Nights -

これはお正月のおせちのような、定番娯楽映画、面白いですよ。

1998.12.31 静岡有楽座 にて


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誌編集者のロビン(アン・ヘッシュ)は恋人のフランクとタヒチでバケーション。ところが急に仕事が入ってしまって不本意ながら、急遽飛行機をチャーターして引き返すことにします。クイン(ハリソン・フォード)の操縦するおんぼろジェット機で出発したはいいものの、嵐に巻き込まれ、よくわからん島に不時着しちゃいます。わけのわからん島に取り残された男女二人、最初はいがみあっているのですが、そこはこの類の映画のお約束は裏切りません。キャリアウーマンとちょっとくたびれた中年男の恋の成り行きは如何に?

ょっとじゃじゃ馬系ヒロインと、あまりパっとしない中年男が南海の孤島に不時着してからの冒険アドベンチャーロマン、なんてありきたりな表現ですが、そのまんまの映画になっています。アイバン・ライトマンは妙な小細工をしないでライトタッチのコメディにこの映画を仕上げました。しかし、要所要所のツボははずしていません。頼りないようで、そこそこカッコいいヒーローに、鼻っ柱は強いけど、その分頼りにもなるヒロインという取り合わせで、予定調和だけど、退屈しないできっちり楽しめる娯楽作品に仕上げています。各々のシーンが丁寧に撮られているからでしょう。

リソン・フォードはいつものようなスーパーヒーローじゃなくて、呑気な世捨て人のパイロットを楽しそうに演じています。一方の相手役のアン・ヘッシュは整った美形というのではないけれど、気の強い女性だけど、そこそこ弱いタイプのヒロインを好演しました。彼女の全体の「そこそこ感」はアクの強くないフォードとうまくバランスを取っているあたりにこの映画のセンスを感じます。おかげで、ヒーローだけ、ヒロインだけということでなく、両方のキャラがうまく引き立ちました。

ブプロットとして登場するヒロインの恋人とヒーローの女友達のエピソードもあくまで主人公たちを引き立てるため、ずっと主人公二人にドラマが偏ってしまわない、一種の息抜きのようなものとしてうまく機能しています。特に墜落シーンでの、主人公二人の右往左往と、そのお相手達とのカットバックも、ドラマ的には、まるで意味がないのに、何だか盛り上がってしまうあたりがおかしくもありました。趣向としては、地割れとか、海賊とか、墜落飛行機改造とか、目新しいことはしてないのですが、各々のシーンはなかなかに盛り上がるし、全体のテンポも快調です。

もかくも、何となくいい雰囲気になった二人ですが、それでも、バリバリのキャリアウーマンと世捨て人とでは、折り合いがなかなかつきません。それでも募るお互いへの想い、その結末は劇場でご確認ください。とはいえ、ほとんどの人の予想を裏切ることはいたしません。その分、安心して観ていられる映画とも申せましょう。

「レ
イジング・ブル」のベテラン、マイケル・チャップマンのキャメラはシネスコの画面をシネスコとして使いこなして、妙な上下の圧迫のない画面が映画館で観るための絵を作りました。また、この映画を盛り上げたのがランディ・エデルマンの音楽でして、要所要所に冒険音楽らしいテーマ、ラブロマンスらしいテーマ、南国っぽいテーマを鳴らして、単なる映画をサポートする以上の仕事をしています。また、最近の映画にありがちな、音楽が効果音にかき消されるようなことがなく、音楽を音響の中心に設計されているのが、うれしい映画でもありました。ホントにいい曲がよく鳴っているんですよ。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 刺激の映画が苦手な人にはオススメのライトコメディ。
アン・ヘッシュって不思議な色っぽさ。
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