マイ・フレンド・メモリー
マイ・フレンド・メモリー
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The Mighty
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原題が示すとおり「勇者」の物語になってました。
1998.12.29
東京 丸の内ピカデリー2
にて |
体はでかいけど、今イチ頭の足りないマックス(エルデン・ヘンソン)は、殺人犯の父を持つ複雑な家庭環境。そんな彼のとなりに越してきたのは、ケビン(キーラン・カルキン)という松葉杖の離せない病気の少年。読書クラスの先生(ケビン)と生徒(マックス)という関係で知り合ってからは、なんとなく意気投合、立派な体だけど内向的なマックスと、体は不自由だけど生意気なヤンチャ坊主のケビンはいいコンビになります。お互い普通じゃないけど、一緒になれば、「勇者フリーク(化け物)」という立派な騎士です。マックスの中で、それまで封印されてきた勇気と希望が、ケビンとの出会いによって目を覚ましてくるのですが.....。
告篇とかテレビスポットからすると難病友情映画みたいですけど、原題の「Mighty」が示すとおり、これは勇者の物語なのです。普段の生活の中で、勇気とか希望とかに縁のない私のような人間でも理解することができる、身近で普遍的な「勇気」の物語です。病気は確かに登場します。悲しいシーンもあります。でも、どのシーンでもこの映画は希望の灯を絶やさないでラストまで進みます。楽天的じゃないし、甘くもないけど、その視点は、主人公を、そして観客を励まし続けるのです。
ックスは図体がでかくて、いつもブスっとして無表情。近所で見かけりゃ、ちょっとヤバそうなタイプです。一方のケビンは頭はいいかもしれないけど、ちょっと生意気で向こう見ずなトラブルメーカー。二人とも、困ったタイプのキャラクターではあるのですが、マックスがケビンを肩車して(いわゆる合体ですね)「勇者フリーク」になると立派な正義の騎士になる。不思議な夢物語のようなお話ですけど、でもそのお話の主人公達も「アーサー王伝説」にインスパイアされているという設定が面白いと思いました。物語を読み、イメージする心が新しい物語を紡ぎ始める、そして「勇気」は語り継がれていくというテーマは、私にとっては、感動的でした。物語が「第一章」というマックスのナレーションと共に始まるところに要注意です。
ア・マイ・ソング」(この映画もオススメ)のピーター・チェルソムの演出は主役だけでなく、脇にいい役者を揃えて、主人公をとりまく環境に奥行きを出しました。タイトル・トップのシャロン・ストーンは脇役としての演技が光りました。できすぎ一歩手前の等身大の母親というキャラクターに血を通わせることに成功しています。また、ジーナ・ローランズ、ハリー・ディーン・スタントンといった名人上手といった役者の控えめだけど印象的な好演、さらに、「X−ファイル」のスカリーことジリアン・アンダーソンや「NY検事局」の汚職警官役が忘れられないジェームズ・ガンドルフィーニといったバイプレイヤーたちも印象的でした。こういった脇の人間が霞んでしまわないところにこの映画の底力を感じます。
た、ジョン・デ・ボーマンのキャメラは、街の表情をリアルにとらえ、合体した二人の開放感あふれる絵作りが見事でした。また、別班で撮ったのでしょうが、空撮の美しさも印象的で、ホント、アメリカ映画って、都会の空撮で、いい絵を切り取るなあっていつも感心してしまいます。また、この映画のために書かれたスティングの歌う主題歌がまた泣かせます。トレバー・ジョーンズの音楽もコミカルな部分とシリアスな部分にメリハリのある音をつけました。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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キーラン・カルキンが妙にシリアスにならないところがマル。
闘うだけが勇気の持ち方じゃないです。
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