夢inシアター
みてある記/No. 109

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恋の秋
恋の秋

- CONTE D'AUTOMNE -

中年の恋のストーリーはちょっとした揺らめきと、ときめきと.....

1998.12.29 東京 日比谷シャンテシネ2 にて


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ガリ(ベアトリス・ロマン)は葡萄畑を経営する独身の中年女性、友達のイザベル(マリー・リヴィエール)の娘の結婚式に呼ばれてるけど、あまり人前に出たりはしたがらない仕事オンリーの人。そんな彼女にいい男いないのかしらと思っている連中がおりました。マガリの息子の彼女は、今自分が付き合っている高校時代の先生を、彼女に紹介しようとしています。一方、イザベルの方は新聞の交際募集の広告から見つけたナイスミドルをマガリと出会わせようと画策しています。当のマガリは結婚しようとは思いながらも、自分から行動を起こすことができないタイプです。果たして、縁結びの神様はマガリに微笑むのでしょうか。

リック・ロメールという監督の四季の恋シリーズの秋篇だそうです。とはいえ、冬も夏も観たことがないので、一本の映画として臨みました。出だしは、物語の全貌がつかめなくて、何じゃこりゃの気分で、睡魔と闘ってしまいました。友人の娘の結婚式に出る出ないとか、葡萄の出来がどうとかって世間話が続くもので、あまりな淡々とした展開なんですもの。マガリの新しいボーイフレンドを探そうって話が見えてくると、映画もはずんできます。

とえ、年いっても、女性の恋する気持とか、見栄はったり、不機嫌になったりする気持って乙女のころとそうは変わらないってところを、落ち着いたタッチで見せてくれました。入れ違い、勘違いのドタバタコメディにもできる題材を、静かな暖かいタッチで描いているのが、好感を持てます。その分、セリフのうまみとか、表情の細かい変化とかを追っていく楽しみがあります。特に、ナイスミドルに心ひかれるマガリの表情の変化がいいんですよねー。ブスっとしたオバサンの顔に、一瞬よぎる少女の顔がなんだかおかしくて、でもちょっとペーソスも感じさせます。

の映画サブプロットとして登場する、マガリの息子の恋人ロジーヌ(アレクシア・ポルタル、かわいい、ジェニファー・コネリー系。)がなかなか面白いキャラクターになっています。今はマガリの息子の恋人でありながら、高校教師エチエンヌと色気抜きのいい関係を持とうとします。(友情ですって、ぬけぬけと。)そして、マガリのことが好きでいい友人になろうとしてるという自由奔放なお嬢さん。一方、エチエンヌとしては、そんな半端な関係には不満なのですが、そこは大人の分別でロジーヌの相手をしています。そんな彼の気持ちをどう思っているのか、この娘さんは、エチエンヌを恋人の母親に紹介しようとします。一見軽やかに見えるロジーヌの生き方ですが、何だかどこか寂しげなツッパリを感じてしまうのは、私だけでしょうか。そのツッパリはマガリの生き方に似たものがあります。ある意味で、マガリもロジーヌも素直じゃないんですよ。でも、その素直じゃないってところが、年の行ったマガリは結構かわいく見えるのに、若くて美形のロジーヌはかわいくないのです。このあたりの見せ方が面白いと思うとともに、いつまでも若いつもりで、軽やかにかっこつけようったってそうはいかないよなあって気がした次第です。

もかくも、女性の恋の物語にはなっています。でも、その受け取り方は、男性、女性、その世代でかなり違ってくると思います。特に、ロジーヌの若さをどう受け取るかで色々な見方ができる映画だと思います。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 後半はなかなか笑いもあるけど、出だしがちょっとしんどい。
ときめく心は、おかしくて、暖かい。
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