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Lost In Space
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健全娯楽SFだけど、意外やよくできてて、滅法面白い。
口増加と環境破壊に悩む地球の希望はアルファ・プライムという植民地、そこへ向かうためのタイムワープトンネルのためにロビンソン教授(ウィリアム・ハート)の一家が宇宙船ジュピター号で地球を飛び立ちます。ところが反対勢力がドクター・スミス(ゲイリー・オールドマン)を使って、この宇宙船のロボットに破壊司令を仕込んでおいたので、宇宙船は軌道を大きく外れてしまいます。一方、スミスも逃げ損ねてジュピター号に乗り込んでいます。そして太陽の引力圏に取り込まれそうになったジュピター号はワープ用のハイパーエンジンでなんとか危機を脱するのですが、そのワープした先は見たこともない宇宙、ついにロビンソン一家は宇宙の迷子になってしまったのです。
が幼少のころ、テレビで放映されていた「宇宙家族ロビンソン」の劇場版リメイクだそうですが、私はあまり記憶に残っていません。宇宙で迷子になったロビンソン一家が宇宙で色々な冒険を繰り広げるという1話完結のドラマでしたが、今回の映画はその導入部プラス1エピソードといった構成の内容で、まずは視覚的にお金と手間のかかった映像を見せてくれます。オープニングの宇宙ステーションの周りでのドッグファイトに始まり、ロボットやクリーチャーのイフェクトやら、ミニチュアイフェクトも盛り込んで、エンドクレジットでは特殊効果のクルーがこれでもかという位並びます。
ラマの方も、スティーブン・ホプキンスの演出はテンポもよく、好調で退屈させません。設定だけでなく、登場するロビンソン一家のキャラクターがきちんと描かれていまして、それぞれが魅力的に見えるあたりは職人芸的なうまさを感じます。頼り甲斐はあるけど普段は仕事人間のパパ、そんなパパに不満はあるけどしっかり家庭を守るママ、知的美人の長女、ちょっと人を食ったキャラの次女、頭はいいけどまだまだボーヤの長男と、役者の適役適演もあって、ファミリー映画としての骨格がきちんとしています。さらに、導入部のプラスアルファとして挿入されるエピソードも文字通り家族愛の物語にSF的な味付けをしたもので、アキバ・ゴールドマンの脚本は「宇宙家族」という設定を十分に使いこなしたドラマを構築することに成功しています。
族の絆を謳いあげたドラマになっているのが意外や古風な気もします。仕事一途の父親とそこから自分への愛情を見つけ出すことのできない息子の確執も登場します。でも、そんなことも家族が一体となって頑張れば乗りきれるというところを見せてくれます。それも説教臭くならないよう、宇宙冒険物語の中に織り込むあたりに、アメリカ映画のうまさを感じます。登場する家族が、みんないざというときはきちんと働いてるってところも、要チェックです。
者陣の好演もありました。タイトルトップのゲイリー・オールドマンは「え、この人ファミリーピクチャーに出てもいいの?」と思う役ばっかやってる人ですが、さすがは役者、コミカルな悪役をいつもより軽めにこなして、ドラマのアクセントになりました。ウィリアム・ハートはテレビのロビンソン博士のイメージにやや陰影を与えて科学は一流、パパ二流のキャラクターを好演しています。娘二人がどっちもかわいいのもマルでして、ヘザー・グラハムのアダルトっぽさと、レイシー・シャベールの篠原ともえと榎本加奈子を足して2で割ったような素っ頓狂なキャラがうまい対照を見せました。
だか宣伝を見ても見所なさそうな印象しかなかったのですが、SFXの見せ場は一杯ですし、RPGを思わせる展開、そして、親子の情でホロリとさせるという、御家族で御覧になるには、いい映画ではないでしょうか。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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さーて、みんなで映画行こうかって時はいかがでしょう。
ラストの強引な景気よさはご愛敬。
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