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Une Chance Sur Deux
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往年の二大スターが一人の娘をめぐって父権(?)を競い合うフランス製の痛快アクション。
年のスター、アラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドが「ボルサリーノ」以来29年ぶりに共演した「ハーフ・ア・チャンス」を見て来ました。私の年代ではなじみの深いこの二人を、「仕立て屋の恋」や「イヴォンヌの香り」など大人の恋愛劇を得意とするパトリス・ルコントがどう料理するかが興味津々だったのですが、意外なことに今回はハリウッドのB級アクションを彷彿とさせる痛快な娯楽作品に仕上がっていたのでした。
動車泥棒常習犯のアリス(ヴァネッサ・パラディー)は、若い身空で刑務所を出たり入ったりの不良娘。服役中に病死した母親の遺言テープで、彼女は自分の父親の存在を知ることになるのですが、遺言によれば母親は20年前に同時に二人の男と恋をして、そのどちらかが彼女の父親だと言います。で、その二人が高級レストランのオーナー、アラン・ドロンと高級車のディーラー、ジャンポール・ベルモンドというわけなのですが、母親の趣味が良かったせいか(?)、二人とも一筋縄ではいかない隠された過去を持っていたのでした。
画全体の印象としては、ついこの間公開されヒットしたフランス製アクション映画「Taxi」よりもはるかにスケールが大きくて面白いです。気になるのはこんな面白い映画なのに、往年のスターを懐かしむ単なる顔見せ映画だと誤解されて、若い人が敬遠してしまうのではないかという点なんですね。マニアックなイメージの単館ロードショー公開というのも作品の内容になじまないような気がします。
人のビッグスターを知らない人でも十分に楽しい映画ですが、彼らの最盛期を知っている人なら満足度は120%でしょう。だって、二人ともこれを見ると「まだまだ現役」なんですもの。特にアラン・ドロンの渋い熟年紳士ぶりは本当に素敵です。なんでわざわざ「カサノヴァ・最後の恋」みたいな映画に出て自分の老いを自嘲したりしたのかなぁ? なにやら映画引退説などが出ていますが、「フランスのショーン・コネリー」になれるのは彼しかいない!と私は思います。まだまだ頑張って欲しいですね。
方のジャン・ポール・ベルモンドは、もともと個性的な俳優でしたが、熟年になってますます噛めば噛むほど味の出るキャラクターになりました。そこにいるだけで人生の深みを感じさせる存在感はさすがですし、彼の持ち味であるユーモアのセンスは昔のままです。
クション映画ファンにとっては、父娘の情愛ものから一転マフィアがからんで大立ち回りの展開となり、爆発シーンやら銃撃戦が繰り広げられ、ついには車とヘリコプターの追跡シーンも登場するサービス精神たっぷりの大活劇が見ものです。でも、そこはフランス映画、ハリウッドみたいな特撮技術の厚化粧をしていないので、どことなくレトロな味わいがあります。
魔女っ子★マキ■者■
88721053@people.or.jp
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このコンビで「おかしな二人」みたいなコメディが見たい!
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