夢inシアター
みてある記/No. 94

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クロスゲージ
クロスゲージ

四面楚歌の主人公はどう出るか。サスペンス・アクションの佳作。

1998.10.24 銀座シネパトス3 にて


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岸戦争のときに上官を殺害したかどで死刑判決を言い渡された狙撃手ジェームズ(キーナン・アイボリー・ウェイアンズ)が護送中に何者かに誘拐され、軍の秘密部隊に入れさせられてしまいます。そして初仕事は薬品会社の社長の狙撃です。ところが現場で彼以外の誰かがターゲットの隣にいた大統領夫人を狙撃、ジェームズはファーストレディ狙撃犯として1000万ドルの賞金をかけられてしまいます。さらに、彼を追う捜査責任者ウッドワード将軍(ジョン・ボイト)って、ジェームズに狙撃を命令した張本人じゃないですか。完全にハメられたジェームズの運命やいかに。

ナにはまった主人公が孤立無援で、さてどう出るかというサスペンスです。主演のウェイアンズが自ら脚本を書いていまして、なかなかスピーディなうまい展開を見せてくれます。主人公が大きな陰謀にハメられたことはすぐにわかり、その主犯はウッドワード将軍であることも早々に観客に明かされます。そして陰謀の全貌を小出しにしながら、アクションシーンを盛り込んでいくあたり、デビッド・グレン・ホーガンの演出も快調です。多少のご都合主義もあるものの、アクション映画としてはもとのとれる映画に仕上がりました。

クションシーンも意外と手をかけていまして、特に中盤、主人公が賞金首として群衆に追いかけられるシーンが見物です。ハイウェイを横断しようとして、群衆が次々に車にひかれるは、車同士でクラッシュするはで、エンドクレジットでもスタントマンの数がムチャクチャ多いのもうなづける、かなりな見せ場になっています。また、警察の狙撃部隊に主人公が追いつめられるシーンも、臨場感のあるカメラワークで、

かなかに盛り上がります。ヘリコプターや空撮を効果的に使っているのもマルでして、全体的にアクションシーンをていねいに撮っているという印象です。

方、謎の陰謀の部分では、ジョン・ボイトが偏執的な悪役を怪演しています。また、それに敵対する立場らしいCIA側にも、ポール・ソルビノ(ミラのお父さんです)を配してなかなかの布陣です。最近は筆頭悪役を演じることの多いエリック・ロバーツ(ジュリアのお兄さん)も登場するのですが、この二人の前では貫禄負けしちゃっています。また、巻き込まれ型ヒロインを演じるのは、「ロボコッブ3」のジル・ヘネシーで昔の可憐なイメージからするとだいぶいいオンナになったという感じでしょうか。

本的にドラマはストレートに展開するのですが、それでもあちこちに散りばめられたユーモアのセンスも悪くありません。特に、主人公が警察に乗り込んだら、彼と間違えられたらしい坊主頭の黒人がゾロゾロ登場するのがおかしかったです。また、ヒロインのジル・ヘネシーがなんともトボケた味わいを出してこれまたマルです。できればエピローグまで登場して欲しかったのですが、ちょっと残念。

体としてはムダのないキリっと締まった印象のアクション映画でした。主人公も含めてキャラクターを深追いしないで、テキパキとドラマを進行させ、アクションシーンを丁寧に見せたのが成功しています。「マーキュリー・ライジング」とは逆のアプローチなのですが、これも一つの娯楽映画のアベレージとして位置づけたい作品でした。ポール・バックマスターの音楽もいかにもアクション映画らしい音を聞かせてくれますが、妙なハッタリのない音はこの映画にふさわしいものになっています。こういうのがコンスタントに見られたらいいなあと思う一品です。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 なかなかにお金のかかってるように見えるアクション。
ちょっとひねったエンディング。
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