夢inシアター
みてある記/No. 93

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沈黙のジェラシー
沈黙のジェラシー

- Hush -

嫁と姑の抗争、まあ日本もアメリカもやってることは....

1998.10.24 東京 銀座セントラル2 にて


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レン(グウィネス・パルトロウ)は恋人のジョナサンの実家でクリスマスを過ごします。ジョナサンの母親マーサ(ジェシカ・ラング)は一人で牧場をきりもりしていますがその経営は思わしくないようです。マーサとジョナサンの密着ぶりにちょっと首をかしげるヘレン。そんなヘレンが妊娠してしまい、二人は結婚、そして、ある事件がもとで、牧場の再建のために二人はマーサと同居するようになります。ところが、マーサはニコニコしながらも、二人の仲を裂こうと画策してます。段々とおなかが大きくなるに連れて、ヘレンのジョナサンとマーサに対する疑惑もふくらんでいきます。そして、いよいよ臨月、マーサはその正体を現してきました。

ジェ
シカ・ラングがいよいよお姑さんをやるようになりました。それもちょっとこわーいお母さんです。劇場映画初監督のジョナサン・ダービーは大女優に敬意を払いながらも、徹底した悪役で彼女を使い切り、サスペンススリラーとしてこの作品を仕上げています。アメリカといえども二世帯同居となればやはり嫁姑の問題は出てくるようで、この映画のように母親が一人息子を溺愛しているケースなんてのは、日本人でも感情移入しやすいわかりやすい愛憎のドラマが展開します。

はいえ、この鬼姑のパワフルなやり口はお見事と言いたくなるほど徹底しています。まずは、若夫婦の間を取り持つようなふりをして、お互いにウソを伝えて疑心暗鬼にしてしまいます。これくらいなら、日本のご家庭でもよく見かける風景なのですが(ホントかよ)、その先はなかなか肉食人種らしい展開になってきます。特にヒロインが臨月になってからの展開は、かなり怖いです。出産経験のない(当たり前だ)私でも、うひゃーと思ってしまうような鬼姑の追い込みは劇場でご確認下さい。その被害者である嫁が、グウィネス・パルトロウ演じる線の細いキャラクターだけに、観ていて痛々しいものがありました。

方のジョナサンはいわゆるバカ息子の役立たずなのですが、彼はほとんど存在感がありません。徹底して嫁対姑の図式で物語は進んでいきます。野心家で息子溺愛の母というのは、ジェシカ・ラングにとってはステレオ・タイプのキャラクターなのかもしれませんが、徹底してエゴイスティックな女を余裕の貫禄で演じきるあたりは、さすがに大女優という印象でした。一方のグウィネス・パルトロウはひたすらかわいそうヒロインから、後半なかなかしぶといところを見せはじめるあたりに、女の凄味を感じさせたのが、意外でした。映画はこの二人の女優で見せる映画になっていまして、ダービーの演出も、彼女たち二人にドラマを絞り切っています。その結果、ラストも妙な余韻をつけずに一気に落としたのですが、このあたりに、二人のヒロインへの敬意が感じられました。

た、クリストファー・ヤングによる重厚なオーケストラ音楽が映画に落ち着きを与えました。95分という比較的短めの時間の中に過不足なくドラマを積み上げていったダービーの演出、特に2時間ドラマのような蛇足な結末をつけなかった脚本は評価されていいと思いました。でも、クライマックスの追いつめられるヘレンの件は、かなりこわいです。女性の方が観たらその恐怖度はまた違うのかもしれませんが、うーん、やっぱり鬼姑という名前が一番あてはまるなあ。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
○ 2点2点2点1点0点 女優対決になったあたり、パルトロウの奮闘ぶりが光る。
男は黙って見てるしかないよなあ。
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