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Deep Rising
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ゲテモノだと思って観れば、なかなかに面白い快作。
の海を進むオンボロ船、船長のフィネガン(トリート・ウィリアムス)は胡散臭い乗客と荷物を乗せて大洋の真ん中、謎のポイントに進みます。実はそこではチョー豪華客船の処女航海中、ところが船の機能が突然の停止。何とかその船にたどりついたフィネガンですが、オンボロ船の乗客は重武装してその客船に乗り込むじゃありませんか、どうやらこいつら海賊らしいです。ところが船の中には人影がありません。何だか混乱の後みたいで、血痕もあちこちに。ところが何千人といるはずの乗客の姿はないし、救命ボートもそのままです。船を調べてまわる海賊たちの前に得体の知れないモンスターの触手が迫っていたのです。
の中から怪物が出てくる話というのは、昔からいろいろと語られてきています。無人の漂流船というのも「世界の謎、怪奇シリーズ」といった本で読んだことがあります。この映画もそんな物語にゲロゲロ描写も交えてモンスター活劇に仕上げてあります。メインスタッフ、キャストも地味目ですがSFXのチームがすごい。「ロボコップ」のロブ・ボッティンのチームがモンスターを作り、視覚効果をドリーム・クエストとILMの両巨頭があたっています。となるとモンスターが主体でお話もへったくれもない映画かというとそういうわけでもありません。まっとうな善玉キャラが登場しないのですが、それなりにキャラクターも描けていますし、お約束もきっちりと踏んで定石の面白さははずしていません。
回のモンスターはタコのような触手の先が花のようにひらくとその中に牙のある口がついているというもの。そして、丸呑みされた人間は触手の中で消化されちゃいます。どんな風に消化されちゃうのかもきちんと見せてくれるサービスぶり(どっひゃー)で、気色悪いのがお好きな方にはオススメの一品です。でも、人間側の動きもきちんと描いていて、いわゆるサバイバルゲームの面白さも出ました。フィネガンとその相棒、海賊チーム、生存者の船主と船長、そして美人泥棒といった面々がこの神出鬼没の触手群と闘う(ほとんど逃げ回っているのですが)展開はなかなか快調で飽きさせません。紅一点の女泥棒が「007ゴールデン・アイ」の殺し屋ファムケ・ジャンセンでして、ドレスアップすると色っぽくて、ラフな格好をするとアクションヒロインにもなるという、藤原紀香をスリムにしたようないいオンナになっています。
人公のトリート・ウィリアムス以外は、男性陣はあまり名前を知らないのですが、どこかで顔を見たような連中ばかりがそろっています。まあ、この類の映画の定石として次々と食われてしまうのですが、その趣向もなかなか凝らしてありまして、いろいろな映画からいただいたシーンも含めて娯楽映画としては佳作と呼べる仕上がりになりました。この映画の宣伝コピーが「90分で3000人、喰って、喰って、喰いまくれ!」という久々のケッ作なのですが、残念ながら喰ってる最中は見せてくれません。でも喰いまくった後はきっちり見せてくれてますから、そういうののお好きな方はお見逃しなきよう。そして、このコピーにふさわしく要所要所に散りばめられたユーモアのセンスも買いです。そして、ラストの処理も何だか文字通り「人を喰ったもの」でして、これが続編ねらいに見えない、完結したオチになっているのも好感が持てた次第です。(笑っちゃいましたけど)
匠ジェリー・ゴールドスミスの音楽が全編に元気におどろおどろしく鳴っているのも聞き物です。オープニングの冒険もののようなテーマから、ブラスがモンスターのうねうね感を出して、エンドクレジットのノリのいい曲まで快調に飛ばしてくれます。この音楽のメリハリが映画に軽快なテンポを与えています。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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ゲテモノだけど、よくできた面白いゲテモノの一品。
ファムケ・ジャンセンはこのジャンルに期待。
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