夢inシアター
みてある記/No. 84

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スピーシーズ2
スピーシーズ2

- Species 2 -

コテコテのエログロSFをお好きな方にオススメ。

1998.9.23 神奈川 川崎チネBe にて


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人火星探査ロケットが土のサンプルをとって地球に帰還の途中、通信が数分間途絶えます。何はともあれ無事に帰還した飛行士3人ですが何だか気分悪そう。その一人パトリック(ジャスティン・ジェラード)がパーティで知り合った女の子とエッチしちゃうと、その女の子にとんでもないことが起こります。一方、前回のエイリアン、シルの遺伝子をもとにローラ(マーグ・ヘルゲンバーガー)はイブ(ナターシャ・ヘンドリッジ)というクローンを作って研究を続けていました。一方、パトリックの行くところ血まみれオネエちゃんだらけになっています。どうやら、彼にエイリアンのDNAがとりついたみたいです。もはや人間のようで人間でなくなっちゃったパトリックを、シル事件の立役者ローラとプレス(マイケル・マドセン)が追っかける羽目になるのですが、またしてもエイリアンは自分の種を殖やすべくお励みなのでした。

作はベン・キングスレーを初めとする役者陣の丁寧な描写、「宇宙からの贈り物」というプロットの説得力といったものが、なかなかにきちんとしたドラマを形作っていました。ロジャー・ドナルドソンの演出も骨太で、人間の役者にきちんと演技をさせたあたりがなかなかに買いだったのですが、今回は一応、設定は前作の続編なのですが、中身は徹底的なお下劣B級SFになっていまして、もうムチャクチャな構成を見せてくれます。最近の、ゲテモノだけどA級の味のするSF映画(「エイリアン4」とか「イベント・ホライゾン」などなど)に物足りない方には、久々のテレビ東京の深夜映画のテイストに満ちたゲテモノモンスター映画の一品です。監督のピーター・メダックは「チェンジリング」や「蜘蛛女」でいいところを見せた人だけに、なんでこんなの作っちゃったの?って印象です。

ロットとしては「原子人間」「エイリアン」「光る眼」なんてのを食い散らかしたという感じです。宇宙生物に乗っ取られた飛行士があっちこっちで女漁りをしては、「エイリアン」ごっこをしているというお話なのですが、DNAが人間にとりつくって発想が物凄すぎて、そこからしてぶっとんでるのですが、その先も、エッチした後あっちゅう間に人間の子供の姿をしたエイリアンが出来あがっているのですから、お料理番組の真っ青の手際のよさ。その上、基本的には違う種のはずのパトリックとイブがお互いをテレパシーで感じ合って発情するという、都合がいいんだか悪いんだかよくわからない設定まで、「どうして?」「ま、いいか」を繰り返すが如き、怒涛の展開は最近の映画にちょっと見られなかったものです。

写は全編、血みどろゲロゲロでして、死体からエイリアンがピューと出てくるショックシーンまで物語としての必然性はあまりなさそうなのですが、80年代の特殊メイクホラーを懐かしむには、まあこういうのもありかなって感じです。じゃあ、それがすごいのかというと、何だか前作よりはチープ感が漂うのは見せ方の問題かしら。また、クライマックスのモンスター化したパトリックとイブのエッチシーンも人形フェチのなれの果てに見えてしまった(リカちゃん人形を重ねてキャーエッチーっていうノリ)のは私だけでしょうか。何しろ、モンスターのデザインが観音菩薩像が鎧で武装したような感じなので、それで抱き合って、どーするってツッコミ入れたくなっちゃうのですよ。

はいえ、視覚効果は満載でして、エイリアンはCGと着ぐるみの併用のようですし、火星ロケットのシーンはミニチュアイフェクト、犠牲者の皆様は特殊メイクと、様々なテクニックが駆使されています。そういう意味では安上がり映画ではないのかもしれませんが、でも何だかチープな印象を持ってしまうのはどうしてかしら。

者は前作のマドセン、ヘルゲンバーガー、ヘンドリッジに、ジョージ・ズンザ、ミケルティ・ウィリアムソン、ジェームズ・クロムウェルにピーター・ボイルまで登場というそれなりのコマを揃えてあるのですが、お話のゲロゲロ(=エロエロ+グログロ)に引っ張られて、影が薄くてお気の毒という印象でした。93分という時間にまとめあげたセンスは悪くないのですが、もう少しドラマとしての潤いが欲しかったように思います。

まるところ、久々に緊張感のないドテドテホラー映画を観たという感じでしょうか。あまり、明確なセールスポイントのなかった前作が、映画としてはよくできていたんだなあってことを再認識させてくれる映画といったら、ちょっとボロクソな言い方ですね。特に、前作以上に続編を意識したあざといラストは、なんか笑うしかないよなあ。そんな中でエドワード・シャーマーの音楽だけが、ドラマ以上にメリハリのある音作りで、ラストの静かなテーマまできっちりといい仕事をしています。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
△ 2点2点1点0点0点 主演女優の二人はどっちも好きなタイプなのだけど
後で公開時に劇場で観たことを自慢できるかも
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