シティ・オブ・エンジェル
シティ・オブ・エンジェル
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City Of Angels
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天使の恋の物語は静寂がポイント。
1998.9.19
神奈川 ワーナーマイカル茅ヶ崎シネマ4
にて |
の世には、普通の人には見えないんだけど、天使があっちこっちにウロウロしているんですって。そして、彼らのお仕事はいわゆる「お迎え」役、死に行く人をあの世へと導くお仕事。そんな天使の一人セス(ニコラス・ケイジ)はある病院で仕事中、死に行くオヤジを蘇生させようと懸命な医師マギー(メグ・ライアン)に心ひかれます。天使と生身の人間が心を通わせるなんて、なんか無謀な試みですけど、とうとうセスはマギーの前に姿を現してしまいます。そしてお互いに愛情を感じ始める二人ですけど、天使であるセスは、彼女に触れても彼女を感じることができないのです。果たして二人の募る想いは成就する時が来るのでしょうか、それとも......?
ャスパー」で幽霊と女の子のささやかなロマンスを描いたブラッド・シルバーリング監督が描いた切ないラブストーリーです。ヴィム・ベンダース監督の「ベルリン/天使の詩」のリメイクだそうですが、その映画をビデオで見たときは、なんだか陰気臭くて理屈っぽいオヤジ映画という印象でした。今回はニコラス・ケイジがオヤジながら少年のような恋心をうまく表現してずいぶんととっつきやすい映画になっています。好き合っていながら結ばれないというよくあるメロドラマ的な展開なのですが、その理由が民族でも家柄でもない天使だからって言うのが面白いところです。それに天使の制服がロングコートってのが妙な感じです。下手をすれば変態オジサンかマカロニウエスタンの殺し屋なのですが、天使って言われるとなんとなく納得してしまうのは何故なのかなあ。
はいえ、燃え上がる恋という類の映画ではありません。全編にわたって静けさが感じられる展開でして、この透明感と静寂が映画の芯になっているように思いました。ロスの空撮のショットが何度も登場しまして、ビルの屋上にたたずむ天使たちの絵が美しくも印象的です。夜明けの海岸、図書館の吹き抜けといった場所に無言でたたずむ天使たちが静寂の音を運んできます。実際、この映画は音響効果に大変気を配っていまして、全体を静かなトーンでまとめあげています。街の雑踏、夜の虫の声、病院や図書館の静けさ、こういった静寂の効果がドラマを影で支えています。また、天使がお迎えに来るシーンも静寂です。特に最初に主人公二人が言葉を交わす夜の病院のシーンの静けさが圧巻でした。ですから、この映画は、できる限り音響効果のよい映画館で観ることをオススメします。文字通りの「愛は静けさの中に」という映画なのですよ。
グ・ライアンとニコラス・ケイジの二人はドラマの透明感とうまくシンクロして、不思議な存在感を作り出しました。いつものようなキュートなめりはりを殺したライアンと、濃いキャラクターを控えたケイジの間で、恋心が芽生え、そしてその想いがだんだんと募っていくところをシルバーリングの演出は淡々と描きました。そして、見終わったときのイメージも、やはり静寂なのですよ。時間や空間を超えた静寂こそが、愛を永遠なものし、そして、その静寂の中で、天使は人間を見つめている、そんな感じの映画でした。
ジャックナイフ
64512175@people.or.jp
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ガブリエル・ヤードの音楽も透明な時間を運んできます
メグ・ライアンのこういう役もいいなあ
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