-Hard Rain-
超大作とはちょっと違う、大雨の日の犯罪アクション。
雨のおかげでダムは決壊寸前です。放水しながら持ちこたえてはいるものの、下流の町はすでに水浸し状態。そんな町の銀行から集めた金を運ぶ現金輸送車は、冠水した道を走っているうちに路肩を外れてしまいます。運転手のトム(クリスチャン・スレーター)は助けを呼びますが、そこへ通りかかった車がなんと銃撃してくるではありませんか。ジム(モーガン・フリーマン)率いる一味が輸送していた大枚300万ドルを狙っていたのです。流れ弾でトムの相棒は死亡、そしてトムは現金を持って水の中を逃げ回る羽目になるのですが、果たしてトムの運命は? そして、まだダムは増水を続けているのです。
督のミカエル・ソロモンは「バック・ドラフト」などの撮影監督として有名な人です。「スピード」のヤン・デ・ボン、「ファイアー・ストーム」のディーン・セムラー、「グランド・コントロール」のリチャード・ハワード(リック・ウェイト)などが撮影監督出身の監督さんが最近頑張っていますが、今回の「フラッド」も撮影監督出身らしい、絵作りのうまさが光るアクション篇となっています。非常にわかりやすくい(ドラマの流れを把握しやすい)丁寧なカット割、構図になっていまして、撮影監督のピーター・メンジースJrの仕事もお見事です。
画の中身は、逃げる主人公に追う強盗団、さらに両者を追う保安官、そして何故か巻き込まれちゃった教会の女性(ミニ・ドライバー)の追っかけがメインになります。ただ、舞台が洪水の町というのがミソで、洪水をうまく小道具に使ってドラマを盛り上げています。特に、ジェットスキーやボートで町中や建物の中をチェイスするというアイデアを、スピード感あふれる映像化に成功した演出のうまさが光ります。
た、役者にスレーター、フリーマン、ドライバーに、エド・アスナー、ランディ・クエイドといった演技派と呼ばれる面々を揃えて物語の展開の面白さも抜かりありません。タイトルのトップがモーガン・フリーマンで、これが強盗団の首領の役だというのが、もうただ事ではありません。とはいえ、シリアスなドラマで時間を引き延ばすことはしていませんで、徹底した追跡と善玉悪玉の攻防戦のみで、1時間37分という比較的短めの時間でタイトにまとめた映画という印象です。ラストのあっけらかんとしたストップモーションまで、一気に見せてくれますが、ノンストップアクションのような観ていてくたびれるようなテンションの高さはないです。まあ、お気楽に観て、「滅法面白いじゃん」という後味の映画です。
れでも、ダム決壊とか洪水のシーンはなかなかのスペクタクルになっていますし、ホントに全編水浸しの中で撮影したスタッフ、キャストは大変だったろうなーって思いました。視覚効果はデジタル合成のチームと、ミニチュアイフェクトのチームがいるようですが、あまりデジタルっぽくない、ミニチュアによる洪水シーンがなかなかに迫力があって、好感が持てました。また、オープニングのパラマウント映画のタイトルの山からふもとへと空撮でキャメラが移動していくカットは一体どうやって撮影したのかわからないほど見事でした。とはいえ、「ダンテズ・ピーク」「ツイスター」のような自然災害の映画だと思ってるとちょっと様子が違うようで、犯罪アクション映画の舞台が大雨の夜だったというお話でした。
ジャックナイフ 64512175@people.or.jp
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娯楽映画としてよくできてる週末のお楽しみ的作品 役者もみんな水の中で頑張ってます |
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