L.A.コンフィデンシャル
L.A.コンフィデンシャル
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-L.A.Confidential-
情念の作家、ジェームズ・エルロイの同名小説を「激流」のカーティス・ハンスンが映像化。50年代のロサンゼルスを舞台に、ギャングの抗争事件を追う刑事たちの生きざまを描く。
子さま向きが並ぶ夏休み映画の中、「L.A.コンフィデンシャル」は、幅広い年代の観客を集めて平日の昼間でも立ち見の出る盛況です。
台は50年代始め頃のアメリカ、ロサンゼルス。サンサンと降り注ぐ太陽とオレンジの香りにつつまれた映画の都ハリウッドは、アメリカの夢と富の象徴のような町。けれど、その裏側では凄惨なギャングの権力闘争が続いていました。ある日、カフェで6人の男女が惨殺されるという事件が起き、被害者の中に免職された元刑事が含まれていたことから、ロス市警はその面目をかけて犯人逮捕に乗り出すことになります。
にかく次々に死体が転がる映画でして、暴力描写も多いしショッキングなシーンにもたびたび驚かされました。それじゃぁ、単純なバイオレンスものかというと決してそうではありません。ストーリー展開もそれほど意外性があるわけではないのですが、それでもこの作品にはゾクゾクするような映画的な面白さがありました。それは映画を見終ったあと、登場人物の人生がまるであぶり出した文字のようにくっきりと浮かび上がってくるからなのです。
の映画の主人公である3人の刑事が大変個性的でして、しかも面白いことに彼らが最初に登場するシーンとラストではその印象がかなり違ってきます。つまり2時間18分というこの映画の上映時間を通して、私達観客は、彼らの人生を見つめ、彼らの心の中にある「なにか」を感じることになるわけです。きっとラストシーンでは、自分自身とスクリーン上の彼らとの距離ははるかに短くなっているはずです。感動とか興奮というのとは違うけれど、これもまた違った意味での映画の醍醐味なのではないでしょうか?
人の刑事を演じるのがガイ・ピアーズ、ラッセル・クロー、そしてケヴィン・スペーシーでして、どれも甲乙つけがたい程の好演です。ハンサムが好きな私としては一番肩入れしたいのはやっぱり女に優しい熱血漢、ラッセル・クローですが、ガイ・ピアーズとケヴィン・スペーシーの意外性のあるキャラクターも気に入っています。特にガイ・ピアーズはアカデミー賞にノミネートされても不思議じゃないほどの活躍でした。今回のケヴィン・スペーシーはスポットライトからちょっとそれた位置にいましたが、一番美味しいところをしっかり押えていますので、逆に強い印象を残しています。
ム・ペイシンガーは評判通りのあでやかさなんですが、あとから良く考えるとメイン・ストーリーとはあまりつながりがありません。「いったい何だったんだろう」という人物でありながら、そこにいるだけで作品に華が出るのですから、これってかなりの難役だと思います。他に「ベイブ」のジェームズ・クロムウェル、「レインメーカー」のダニー・デヴィート、「激流」のデーヴィッド・ストラザーンなど芸達者が脇を固めて、作品をより一層骨太なものにしています。
魔女っ子★マキ 88721053@people.or.jp
お薦め度 |
採点 |
ワン・ポイント |
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皮肉とユーモアを交えた軽妙な語り口の中に、濃密な人物造形をバランスよく調合 |
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