夢inシアター
みてある記/No.69

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ウィッシュマスター
ウィッシュマスター

-WISH MASTER-

おとぎばなしにギトギトのトマトソースをかけました。

1998.7.20 東京 銀座セントラル2にて


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人宝石鑑定士アレックス(タミー・ローレン)のところに持ち込まれた美しい宝石、それは古代の石像の中に埋め込まれていたのでした。そして、不気味な声「おれをよみがえらせたな」。この石にはジンというとんでもない邪悪なやつが封じ込められていたのです。こいつは人に何か望ませ、それをかなえる代わりに魂を持っていく困ったやつ。その上、望みのかなえ方も詐欺みたいなのばかりで楽になりたいって人を殺して、ハイ楽にしましたなんていうとんでもない奴。そして、自分を甦らせた人間に3つの願い事をさせ、3つめが成就すると地獄の扉が開いてしまうとのです。アレックスに3つの願いをしろ迫るジン。妹を人質にとられて八方塞がりのアレックスですが、果たして地獄の扉が開いてしまうのかしら。

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つのお願いってのは、よくお伽話にでてくるパターンです。でも、この映画では3つめのお願いをしてはいけないというところがミソです。そうすると地獄の釜の蓋が開いて地獄の皆様が現世に流れ込んでしまうんですもの。でも、ジンは妖術を使ってアレックスを追いつめていきます。このあたりのサスペンスはなかなかのものでして、その決着もちょっと反則のようだけど許容範囲内でピーター・アトキンスの脚本は好調です。

ころが、監督がロバート・カーツマンという特殊メイクで有名なKNBイフェクツグループの人でして、そのせいか特殊メイクの出番が異常に多いです。ジンの悪魔メイクはわからなくもないのですが、それ以外に登場するグロメイクの数々は、本筋とはまるで関係のない特殊メイクを見せんがためのゴアシーンとなっているのが、何だか80年代のスプラッタ映画みたいです。その上、無意味なビックリシーンまで何度も登場するとあっては、せっかくの面白いストーリーも、この下品な演出に足を引っ張られているという感じです。こういうのが確かに一時期はやったのは事実ですけど、今頃こんなのやられても、気色悪いのもさることながら、何だか出し遅れの証文みたいです。

はいえ、ヒロインのタミー・ローレンがなかなか、気丈で、かつ頭も切れる女性を好演しています。その上、彼女の悲鳴顔がすごいんですよ。最初はこれも特殊メイクかと思ったのですが、どうも彼女の地顔らしいです。なんか夢に出そうなインパクトのある悲鳴顔ヒロインは劇場でご確認下さい。願い事のウラを書いては相手をひどい目に遇わせるジンの悪知恵にどう対抗するのか、そのへんが見所です。

た、このお話は願い事をするときは気をつけなくてはいけないという教訓映画でもあります。お金が欲しいと願ったとき、それはお金を得るかわりに何か他のものを失うというのがこのお願い事のルールのようです。まあそうですよね、楽して得取るなんてことはありえないはずですから、その辺は一種の戒めの意味もあるのでしょう。ただ、この映画のジンは相手に望みをさせるようにそそのかすので、これは現代の悪徳勧誘みたいです。いい話で客を釣っておいて最後にサラ金へ連れて行くような商売でしょうか。もっと強引な勧誘をかましてきます。そういう時は「いりません」とはっきり言いましょう、たとえ相手がヤクザでもこの世のものでない化物だとしてもというお話でした。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
△ 2点2点2点0点0点 ゲロゲロシーンの苦手な方はパスした方がいいかも。
お願い事は具体的に、つけこまれぬように。
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