夢inシアター
みてある記/No.67

dummy
dummy

オスカーとルシンダ
オスカーとルシンダ

-OSCAR AND LUCINDA-

ちょっと大河ロマン風、でもどこかおかしなヒーローとヒロイン。

1998.7.5 東京 日比谷シャンテシネ1にて


dummy

1
9世紀中頃のイギリスで厳格な父親の宗教になじめず、石を投げて決めた英国教会の道に進んだオスカー(レイフ・ファインズ)ですが、オックスフォードで友人からギャンブル指南を受けて開眼、お金には無頓着だけどギャンブルそのものに病み付きになっちゃいます。根が真面目なので堕落したと悩むオスカーは自らをオーストラリアへと向かわせます。一方オーストラリアには奔放に育ったルシンダ(ケイト・ブランシェット)という女性がおりまして、彼女は親の遺産を整理してガラス工場を買い取ったりする自立心あふれる女性、しかもギャンブル好き。そんな二人がイギリスからオーストラリアへ向かう船の上で出会うのですが、これがすぐに恋愛ドラマにならないってところが面白くて、そしてちょっと悲しき物語でございます。

「イ
ングリッシュ・ペイシェント」のレイフ・ファインズが今度はオーストラリアを舞台に一大メロドラマを繰り広げると言いたいところですが、今回の役どころは只の二枚目ではありません。何だかヒョロっとした青二才で、そのくせギャンブルが結構強くて、でも信仰心の厚い牧師さんです。そして内に秘めたる熱き想いは人一倍、でも恐水症で海を見ただけで腰が砕けちゃう。そんな、オスカーがルシンダという女性と知り合い、いい感じになるのですが、オスカーの前任の牧師さんとルシンダがウワサになってまして、恋愛の対象からはちょっと身を引いてしまうのです。このあたりは煮え切らないタイプという感じなのですが、一方のルシンダの方も彼に惹かれながらも、その先へ進めません。でも、お互いがじれったい思いをしているのかって言うとそうでもなさそうなのが面白いところです。その辺りの恋愛の展開の仕方は劇場でご確認ください。

スカーもルシンダもいわゆる変わり者の範疇に入るタイプです。二人に共通しているのは、物欲はないけど、賭け事が好きだということ。そして、社会一般との折り合いが悪い、不器用な人間だということ。こんな二人が出会ってみたのはいいけれど、恋愛感情がストレートに出てこないのがおかしいような、切ないような、滑稽でちょっと泣かせる展開になっています。ルシンダ役のケイト・ブランシェットがたくましさと純粋なハートを併せ持つキャラクターを魅力的に好演しました。個人的には久々にスクリーンに恋したくなるような素敵な女性に見えましたが、他の方にはどう写るのかしらん。ギリアン・アームストロングの演出はちょっとおかしくて魅力的な二人を丁寧に描きました。

半はオーストラリアの奥地にガラスの教会を届けようというお話になってきます。ちょっと冒険モノの趣も出まして、血生臭い展開にもなってくるのですが、この辺りの波瀾万丈がいかにもロマン、それも舞台となる大自然の美しさが素晴らしいので、大河ロマンという感じなのですよ。イギリスの荒海、緑の丘、オーストラリアの川、そしてジャングル、といった風景がシネスコの大画面に展開するのを見てると、それだけでドラマを見てるなあという気分になってくるのが不思議です。ジェフリー・シンプソンのキャメラがロケ、セットとともに風格ある画面作りをしています。

た、脇のキャラクターでは「フルモンティ」の上司役のトム・ウィルキンソンとか、ナレーターが「シャイン」のジェフリー・ラッシュだったりする位で、あまり知ってる人はいないのですが、こういうコスチュームプレイにふさわしい顔ぶれがきっちり揃っているのが楽しいです。見終わって、映画を観たなあって実感できる映画です。あっけらかんとしたラストのラストでじわじわくる感動がありました。

ジャックナイフ
64512175@people.or.jp

お薦め度 採点 ワン・ポイント
◎ 2点2点2点1点0点 なんとなく映画館で観てねってオススメしたくなる映画。
やっぱりこういう映画のシネスコはいいなあ。
dummy