-Great Expectations-
文豪ディケンズの原作を旬な俳優グィネス・パルトローとイーサン・ホークのコンビで現代風にアレンジ。
々に文芸の香り高いラブロマンスを堪能したくて、チャールズ・ディケンズ原作の「大いなる遺産」を見て来ました。
0才になる少年フィンは、フロリダの漁師町で姉とその恋人ジョーとの3人暮らしです。ある日彼が海でスケッチしていると突然脱獄囚(ロバート・デニーロ)が現れ、逃亡の手助けをするように脅されます。夜にボードを沖に出して彼を逃がしたフィンでしたが、その時の恐ろしさは生涯忘れられない体験となったのでした。さて、その後フィンは古い大きな屋敷に住む老女(アン・バンクロフト)から姪のエステラの遊び相手となってくれるように頼まれます。気まぐれでわがままなこの美少女にフィンは振り回され続け、やがて幼馴染の二人は大人に成長するのですが・・・。
映画の序盤は文芸ものらしくミステリアスでファンタジックなムードがたっぷり、なかなか好調な滑り出しなのですが、その後主人公たちが大人になると急に音楽やら衣装などが現代風になってしまいます。この辺のアレンジはは好みの分かれるところだと思いますが、しっとりとした文芸ロマンスを期待していた私にはちょっと意外な展開でした。
長後の二人をイーサン・ホークとグィネス・パルトローが演じています。二人ともルックスは申し分ないのですが(と言っても、イーサンは顔は痩せてるがボディはたるみ気味。グィネスは・・・)、いまひとつキャラクターに深みが感じられません。設定を現代に置き換えたぶん、リアリティーにおいて登場人物が新しい入れ物に追ついていないと言った印象を受けました。特に、思わぬ援助のおかげで夢の実現へのチャンスをつかんだ主人公、いろいろなことを経験し人間的に成長しているはずなんですが、田舎にいた時とラストの場面でほとんど変化がないのですね。結局、エステラとの関係はどう変化したのでしょうか?わからないまま終わってしまったという印象です。
んななか、冒頭に登場する脱獄犯を演じたデニーロが強烈な印象を残しています。この映画は若い二人のロマンスに重点が置かれていますが、主人公に匿名の援助をする謎の人物にもっとウェイトをかけたら面白かったのではないかと思いました。あと、ベテランのアン・バンクロフトが資産家で気がふれた老女を怪演しているのですが、のっけから思い切りシワシワの老けメイクで、その後十何年経っても老化しない(?)のご愛敬。彼女は古く荒れ果てた屋敷に住んでいるという設定ですが、それにしても使用人もいないようだし、不潔感すら感じてしまうこの荒れ果てようは、あまりに大袈裟ではないかしらん?
お、画家志望の主人公が描くさまざまな絵は、イタリアの画家フランチェスコ・クレメンテの手によるものです。魚をモチーフにしたものや、グィネスをモデルにしたヌードのスケッチなど、心惹かれる作品の数々は一見の価値があります。
魔女っ子★マキ 88721053@people.or.jp
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アートっぽくて、なおかつ気品があるところは買い。 |
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